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- Re: KEEP THE FAITH ( No.241 )
- 日時: 2016/08/30 23:41
- 名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: 5YqwrR3X)
 冷たい。埃のにおいがすぐ近くにある。
 うっすら目を開くとそこには胡坐を掻いて座るアステルと、体育座りをしているデジェルの姿があった。
 「どういう状況?!」
 「やっと起きた」
 「おはようございます。気分はどうですか?」
 「……空気がまずい」
 *
 「えっ、一大事じゃないの、それ!?」
 「これがあいつの求めていた反応か」
 「そうだこの状況一大事だ本当だ」
 「何言ってんのこの人たち怖い!!」
 一通り状況を理解したアルマの一言が牢屋のような部屋に響く。そう、これが普通の反応……のなかでもけっこう冷静なものだ。
 「さっきは凄まじい勘違いをしてたけど、もしかしたら何かの罠かもしれないし、気をつけないとな」
 「それでいうとあいつらも馬鹿と見せかけて強い可能性もありますね」
 「あー、某真白ちゃんみたいに?」
 「真白様は馬鹿じゃないです」
 精神的にはだいぶおこちゃまですよ。言いかけた言葉を飲み込み、アステルは錆びついた扉へ目を向ける。
 いきなり真剣に悩みだしかけた空気にアルマは一瞬おいて行かれるが、ふと疑問が浮かび上がる。
 「そう言えば、アステルさん。すっごく強いって聞いてたんですけど……。この縄くらい自力で破れるんじゃないですか?」
 「そう思う? オレも思った。でもね、オレちょぉっと制御が苦手でさ。たまーにやっちゃうんだよね、どかんって」
 「ど、どかん……?」
 「うん。辺り一面吹っ飛ぶ程度のどかん」
 「それどかんで済むの!?」
 「ドクロとかキノコとかが作れそうなどかんにはなる!」
 「そんなの求めてな——」
 遥か下の方からかなりの轟音が響く。こころなしか悲鳴も聞こえた。扉の向こう側からも慌ただしい足音が聞こえてくる。「敵襲」だの「単身」だの、やや不穏な単語とともに。
 「何、今の……?」
 「まさか詩音とかじゃ」
 「えぇっ? さすがにシオンさんはそんな無茶しないと思う……思いたい」
 「まあ、他に考えられる人が今は俺たちの記憶の中に存在しませんからね」
 「だとしても無謀だよ……。最悪どかんに巻き込まれるしかないよ」
 「めちゃくちゃ不穏ですねそれ」
 「とにかく万が一に備えて作戦でも立てとくか」
 *
 一方その頃遥か下——1階では、まあ見事なまでに大惨事が始まろうとしていた。
 後に被害者は口を揃えて述べたという。
 ——「あれはアカン」、と。
