コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: KEEP THE FAITH ( No.264 )
- 日時: 2017/02/10 18:23
- 名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: 5YqwrR3X)
 「ほう、大変でしたね」
 「まあな。お前はすっごい楽しそうだな」
 「楽しかったですよ、一撃で倒れてくれる爽快感がたまらなかったですね」
 「んな詳細聞いてない」
 帰り道にばったり再会・合流した詩音チームと千破矢チーム。カイン、フェイ、狼は送る必要はなくなったと言うことで別れた。アレンは絶対帰らないと駄々をこねまくり、最終的に「バーカ!」と情けない捨て台詞を残して消えてった。
 そんなわけで千破矢は今詩音たちと馬車でグラギエスへ帰還している途中だった。
 「まあのくそおや……貴方の父親がまたしても黒幕ですか」
 「いや良いよもうクソ親父だからあれ」
 「ではクソ親父様はカイン様のおかげで片足斬り落として撤退したのですかだっさ」
 「容赦ねェなお前」
 「よく言われますー」
 ふふふと笑いながら詩音は振り向いた。壁にもたれかかって座っている千破矢のすぐそばでは、デジェルが丸まっている。氷族は睡眠が必要ないとは聞いたが、よほど疲れたか暇なのか、死んだように眠ってしまっていた。
 ちなみに奥では魔王ことアステルが身を乗り出して外の景色を楽しんでいる。とても子どもっぽい。
 「グラギエスの方はどうなってるんだろうな」
 「私が出た時は平常運転でしたよ」
 「だいぶヤバいな」
 「ゼノの情報ががっぽり入ってたら良いですねぇ」
 「がっぽり言うなし」
 「で、結局貴方は強くなったんですか?」
 「ぜんっっっぜん! クソ親父にボッコボコにされたわ!!」
 「まさにぷぎゃーですね」
 「うるせェ!」
 日記を読みに行った詩音は無双乱舞し、強くなるためにグラギエスを離れた千破矢は肉親にフルボッコにされた挙句好きな娘の兄に助けられるという雲泥の差である。
 「まあ、千破矢は頑張ってると思いますよ」
 「はァ? どの口が言うんだヴォケ」
 「この口です貴方の目は節穴ですかぁ〜! だって私の魔法その他諸々ポテンシャルは全てシルアのものですし」
 「シルア? 誰だそれ」
 「あっやべ説明してなかった」
 「おいこら似非紳士説明しろ」
 「あーあーーあーーー聞こえませーんもうすぐ着きますよー」
 「お前シルアってあれだろラリッてる時のお前だろおいゴルァ!!?」
 やたらと騒がしい(そして口の悪い)2人のやりとりを余所に、馬達はせっせと馬車を進めるのであった。
