コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: EUREKA ( No.83 )
- 日時: 2015/03/07 02:46
- 名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: nlCdadAl)
- *番外編 
 +ヘキエキエモーション+
 父さんは所謂“仕事人間”だった。どんな仕事してるのか知らんがな!
 家は畳四畳分くらい? 知らん! 只管に小さい。小さい。小さい(大事なことなので三回言いました)。
 俺は不死鳥とか、そういうのでなんかすっごく有名な種族とかそんなの。ちなみに俺も飛べるんだけど、下手くそだったから母さんにより禁止された。ひでぇ話だ。
 その日、父さんは朝っぱらから家にいて、やけに優しかった。正直気色悪かったな。
 ちらりと母さんを見ると、めっちゃ良い笑顔してた。それはそれで怖い。
 「……今日は、少し遠出をしても良いか?」
 「は?」
 「お前と行くところがある」
 母さんが「いってらっしゃい」と勝手に見送り、俺はほぼ強制連行されてる状態。家を出てしばらく歩いてから、何もない所で父さんはとまった。
 「千破矢、お前は父さんの仕事が何かわかるか?」
 「知らん」
 「だろうな。教えてやるよ」
 父さんの真紅の髪を風がなびかせ、顔が見えた。父さんは、裂けているんじゃないかと心配になるほどの笑みを浮かべていた。
 「なんだよ……」
 「そう言う肝が据わっているところは、誰に似たんだろうな?」
 お前だろうな……。
 「これから俺の仕事場。ケーフィキ・ヘレ、略してKHの実験材料となってもらう」
 「誰が?」
 「お前がだ」
 「はぁ?」
 訳がわからん。ケーフィキ・ヘレ。とか、何ほざいてんだこいつ。どこの厨二だよ大丈夫かよコイツ……。
 その後の父さんの力が強く、抗う間もなくその“ケーフィキ・ヘレ”とか言う訳分からん仕事場に連れて来られた。町みたいな場所で、廃墟みたいな建物がずらりと並んでいる。
 「ロッカスというんだ。ここでお前たちは手術をし、実験対象として留まってもらう」
 「……母さんは?」
 「俺から伝えておく。“千破矢は死んでしまった”とな」
 「なんでだよ!?」
 状況がつかめて来て、初めて俺は怒った。
 「なんで……。ふむ。“終末の為”だ」
 「しゅーまつ……? 何だよそれ」
 「そろそろ黙れ」
 父さんによる腹への一撃で、意識が吹っ飛んだ。
 ——と、そこまでは覚えている。それ以上俺は思い出せないが、気付けば殺風景な部屋に大勢の子どもと入っていた。
