コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: なるやん、時々へたつん。 ( No.6 )
- 日時: 2015/12/30 21:09
- 名前: 彼方 (ID: dzyZ6unJ)
- 一時間目が始まる前の10分休みの時。あたしは隣にいる吉岡と三澤の方に向き直って問い詰めた。 
 「 あんたらねえ、一体何しでかしたのっ?」
 「何ってなにー?」
 三澤がとぼける。
 「朝のアレに決まってんでしょっ!何あれ!?」
 すると吉岡が困ったように頭をかいた。
 「いや、俺もよく分からん。……ただ俺と望で、日直が配布するプリント代わりに持って配っただけなんだけどな……」
 日直のプリントを代わりに、か。……もしかして。
 「……その日直って……、女子?」
 戸惑ったような顔をして吉岡が答える。
 「え?ああ、まあ」
 そういうことか……っ!とあたしはその答えだけで納得した。
 つまり、「女子の代わりにプリント持って配ってあげてた三澤くんと吉岡くんかっこいい!!」って皆が騒いでたってことだろう。
 ついでに、朝菜々架が盗聴しながら「彼女に成り代わりたい」って言ってたあれ。彼女ってその日直のことか。「望かっこいい」って言ってたあれも、「無償で女子助けちゃう望やっぱかっこいい」っていう、そういうことか。
 「流石望だわっ!誰よりも格好良くて優しくて魅力に満ち溢れている望だからこそ出来る事ねっ」
 きらきらを通り越して、最早恐ろしいほどに輝いた瞳で菜々架が言った。
 「だろ?このバカ、ちっともそんなオレの良さ分かってくれねーんだよ。友哉がいっくらがんばってもオレ様には敵わねーぜ?」
 むしろ尊敬するほどのイラつくドヤ顔を三澤が作る。今すぐ蹴りを入れたくなってきた。
 「その通りよ!こんな素敵な望の良さを分からないなんて一度死んだ方がいいと思うわ」
 そしてそれに本気で取り合う菜々架も菜々架だ。死んだ方がいいとか、幼馴染の一人に対して真顔で言うことだろうか。
 「あーはいはい、さいですか」
 めんどくさそうに吉岡が流す。これが正しい対応だと思う。
 「というか、死んで?友哉」
 「ちょ待って待って待って目がマジだよ菜々架怖い」
 恐ろしい笑みを浮かべる菜々架に対して半笑いで遠ざかる吉岡。
 「私が引導を渡してあげるから、潔く首を差し出しなさい」
 「え、待って俺死ぬの?望の良さ分からないと死刑なのッ?そんな重い罪なのかっ!?」
 「いいぞもっとやれー」
 吉岡の怖がるような声の間に、三澤の呑気な声が挟まれる。
 「ちょ、望っ!?お前裏切ったな!?」
 「裏切ったも何も、オレの良さを分からないお前が悪いっ!」
 「さあ、早く首を差し出しなさい!」
 それを見ながらあたしは思わず笑みをこぼす。異常事態だと思って焦ったあたしが馬鹿だった。三人は通常通り、だった。
