コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: なるやん、時々へたつん。【オリキャラ募集!!】 ( No.12 )
- 日時: 2015/02/14 23:13
- 名前: 彼方 (ID: SrUKMM4y)
- 練習試合の相手は成風高校だった。鉄壁のブロックが特徴で、攻撃力が突出しているうちとは正反対の高校だ。 
 結果は両チーム1セットずつ取り、3セット目も接戦が続き、22対24と、こちらがあと1点取れば勝ち、というところまでいった。
 そして、最後の1点は望が決めた。
 さすが望、美味しいところを持っていった。
 「お疲れ友哉ーっ。あんっなに嫌がってたのに調子良かったじゃん!」
 後片付けもミーティングも終わり、昇降口で靴を履いている時、望がそう言いながら、俺の肩を叩いた。
 「いやあ。体がなまってて、あんま上手くいかなかったわ。何度かサーブミスしたしな」
 俺は笑って軽く伸びをした。
 「まーそれは思ったけど、許容範囲でしょー。最後のトス最高だったし。オレのスパイクほどじゃないけど」
 さすが望。ちゃんと自慢も織り込んできた。でもこれってこいつなりにかなり褒めてるんだよな。しょうがない、感謝してやるか。
 「はいはい、ありがとな。まあ、あれは望の実力があって成功したもんだけど」
 「だろだろー?オレがいたからこそあそこは勝てたんだよなーっ。オレマジ最高。あーそうだ、これからちゃんと普段の練習来いよーっ?お前が上手くなればなるほどオレがより際立つからなっ!」
 「あーまあ考えとくわ」
 そんな他愛ない話をしながら望と歩く。ふと、思い出したように望が俺に尋ねた。
 「あ、そだ。お前、月詠とどーなったよ?」
 月詠?……あっ!?
 「忘れてた……!部活終わったら体育館倉庫来いって言われてたんだった……ッ!!」
 俺が青ざめていると、呑気そうに望が言う。
 「あーマジか。でもまだ学校出てないし、こっから体育館倉庫ってそんな遠くないし、大丈夫っしょ」
 そんなこと言われても、忘れてたことへの負い目が募る。うわあどうしよう。かなり待たせてるんじゃないだろうか。
 その時、何気無く、本当に何気無く、望がすごく驚くようなことを零した。
 「しっかし、何で友哉かなぁー、オレの方がかっこいいのになぁ。何かお前に敗北した気分だよ」
 「……え、何?何で友哉かなぁーって、どういうことだよっ?」
 「どういうことって、そりゃー、何で月詠はオレじゃなくてお前に告るんだろうなーってそういうこと」
 「…………はぁッ!?」
 月詠が?告る?俺に?……つまり、いきなり声をかけてきた理由は罵倒するためじゃなく?
 望は呆れたように俺を見た。
 「……えっ?お前、それすら気付いてなかったのっ?あれ明らかに告白の前フリじゃん」
 「え、あ、いや、そんなこと気付く訳……ええぇッ!?」
 思わずしどろもどろになってしまう。だって……、告白っ!?本気で罵倒のための方が信じられるほど信じ難い。そもそも、
 「なっ……何で俺っ!?」
 「お前もそー思うよなー!オレの方がかっこいいしモテるし部活で目立ちまくりだしいいとこてんこ盛りなのになー」
 悔しいけどそれは本当に俺も思う。俺なんていいとこひとっつもないだろう。
 「まーお前がモテるのも分かるけどね?オレにしとけよ思いっきりフッてやるのに」
 「……えッ?俺モテるって何ッ?」
 めんどくさそうに望がため息を吐く。
 「あーもういいよ。お前モテないってことにしといてやるから、はよ月詠んとこ行って来いよ」
 そして望はしっしっと手で俺を追い払った。
 「え、お前ついてきてくれねえの?」
 心細さを感じて望に言うと、望は知らん顔をして、背を向けて手を振りながら行ってしまった。
 「他人が告白されてるとこに一緒にいてどーすんだよっ!オレに得ねーじゃん?それにオレは今日さっさと帰って菜々架ん家行きたいんだよっ!」
 少しずつ声が小さくなって行く。早く菜々架ん家行きたいとかイラつくなあこのバカップル。
 「こんのバカップルの片割れめ!!」
 そう背中に叫んで、俺は歩き出した。
 ……え?告白?望の変な勘違いじゃなくて?何で俺?何でいいとこない俺?
 釈然としない顔で歩いていると、あっという間に体育館倉庫に着いてしまった。体育館倉庫近え。
 そこにはやっぱり月詠がいた。体育館倉庫に背を向け、スクバを後ろで持っている姿は、どこかのアニメから抜け出して来たのかってぐらい現実味のない可愛さだ。
 月詠が俺の足音に気付き、顔を上げた。そして、嬉しそうに顔を輝かせる。
 「吉岡くんっ」
 どう対応していいか分からず、とりあえず
 「えーと……ごめん、待った?」
 と聞いてみた。
 「いえっ。一回家に帰ったので、今来たところですっ」
 「そっか、なら良かった」
 ……何だこの、デートで待ち合わせしてた男女みたいな会話は。ダメだ、デートしにきた訳じやあるまいし。
 「えっと……、何の用?」
 そう尋ねると、月詠は顔を赤くして、
 「えーっと、そのー」
 とどもり始めた。
 望!お前が変なこと言うから「もしかしてこれ、本当に告白なんじゃね?」とか期待しちまうだろうがよ!とここにはいない望に俺は文句を言った。
