コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 雨の社 ( No.4 )
- 日時: 2015/03/29 10:44
- 名前: はにわ ◆wrfkg3Dbu. (ID: Bl6Sxw0v)
 ◆
 日付は変わった、だが——
 何かに未練があるように、いじらしく小雨が降っていた。
 まぁ、雨は大歓迎だけどな……
 そう考えながら、薄目を開けた。
 あ、
 「うわ俺見張ってるつもりだったのに……」
 頭を抱えながら項垂れた。
 どうやら、椅子に座って考え事をしたまま、寝てしまったようだ。
 振り返る。壁だ。……。
 昨日、金平糖を少女の枕元に置いた事は覚えているのだが——
 仕方ない、と立ち上がり、少女のもとへ向かう。
 襖をそっと開けた。
 ——無心で、「それ」を食べる少女の姿があった。
 「あの」
 声をかける、と我に返ったように、こちらを見て硬直した。
 「わあああ!!ごめんなさい、ごめんなさいっすぐ帰る!! 」
 「あんたはいっつもそれだなぁ!!落ち着け!!摘み出したりしないから!! 」
 なんか真面目なんだろうけど、間が抜けてるというか……
 「いや、もう元気になったので、でもこれがおいてあってあの」
 金平糖——まぁほとんど残ってないけど、の器を掲げてアピールする。
 「食べなきゃ、って思って、それでっ食べたら——」
 そこで止まって俯く。なんだ、なんだと顔を覗き込む、と
 お、おいし……く……てっ
 頬に朱が差していた。そこ恥ずかしがるところじゃないだろう。
 「まぁ食欲があんのはいいこったな。直ってよかった」
 それも全部食ってしまえよ、と目線を傾ける。
 「う、うん……」
 遠慮がちに金平糖をつまんで、ぽりぽりと食べ始めた。
 なんだか、小動物のようである。やっぱり猫かなんかか?
 「でも、……どうしよう、母さんと父さんに怒られる」
 「知らない人の所にいさせてもらったとかいったら……」
 少女の表情がさっと暗くなり、そんな事を呟き始めた—ー何て?
 人? はは、言ってくれるねぇ————人じゃねえな。
 「俺はここの社を守る神様だよ」
 「……え」
 「うん。かみさま」
 「神様」
 信じられない、という目で、金平糖と俺を交互に見つめ、
 ——数秒後。
 昨日の豪雨にも肩を並べるほどの声が響いた。
