PR
 
コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 雨の社 ( No.6 )
- 日時: 2015/03/19 09:49
- 名前: はにわ ◆wrfkg3Dbu. (ID: De6Mh.A2)
 ◆
 あのね、周——
 「私、ここに来てこの神社を見た時に、すっごくぼうっとしちゃったの。でも、貴方が神様なら、それも納得できる気がする」
 京が俺の方を見て、まるで訴えるように話してきた。
 うーん、としばし額に手を当てて考える。
 「……まぁ、この社は、特別なとこだからな。」
 そして、少女の耳元で、
 ——雨が降るときにしか、見られないんだよ。
 「……なんで?」
 少し遅れて聞き返された、
 「さあ、なんでだろうな……」
 ——やっぱり俺が守ってる社だからな!
 そう言って笑う。京も困ったような笑みを浮かべた。
 「ま、この社に害なすものであれば、俺だって迎撃をするぜ?」
 すっ、と視線だけ凍らせて、笑顔のまま言った。
 しかし、京は動じなかった。口を開いて、
 ——でも、周はそんなこと出来なそう。
 「周はやさしいよ。私あの時、怒られたらどうしようとも思ってたの」
 「でも私を見つけたのが、貴方でよかった」
 ふふ、とおよそ子どもらしくない笑みを浮かべて言い放った。
 「そーかぁ……でもそれじゃあ、駄目なんだよなぁ……」
 どうしても、守らなきゃいけないわけだ、神様だから。
 「さ、そんな事してる間に雨があがっちまうぞ?」
 縁側のほうへ歩いていくと、やはり晴れていた——否、正確には雨も降っていた。
 「狐の嫁入りってやつだよな」
 わぁ、とそれを見た京が、表情を明るくしてはしゃいだ。
 「私、この天気好きだな、すごく綺麗」
 PR
 
 
 
