コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: A quirk of fate〜運命の悪戯、君に届けたい〜 ( No.10 )
- 日時: 2015/05/30 15:45
- 名前: 音宮 ◆93nWkRSozk (ID: laaGvqHD)
- 6day — in the morning — 
 「麗」
 だれだ、生意気な。仮にも候補生として立候補とした私を呼びつけで呼ぶのは。
 そう、私は立候補したということを国民に伝えると、一気に地位というか、居やすくなった気がするんだ、ここに。
 それに私の事を覚えてくれている人も知っている人も何人か、宮殿内にいるし。
 立候補生は、未来の花嫁だから、仮にも。だから結構地位が高い、みんなから大事にされる。
 そんな私を呼びつけで呼ぶなんてこの宮殿には一人しかいない。
 そう、
 「なんですか、サイト様」
 眉をピクピクとあげながら聞いてみる。
 こいつしかいない、ショウ様だって私の事を『麗さん』と呼ぶ。
 やっぱ、次期国王は違うんだよなぁ、これなどとあのショウ様の素敵な声にうっとりしてしまう、自分。
 いけないいけない。今はこいつのことだったぜ。
 「お前に護衛をやるよ」
 むか、お前だなんて。おいおい、私はお前と呼ばれるほど、おちぶれてはないぞ。
 「ごえー?」
 そんな心のうちは我慢して表に出さず、復唱するように彩都に言う。
 ま、仮にもこいつは『ショウ様の弟さん』だから?我慢してやんよ。
 「ああ、お前も”仮にも”立候補生だからな」
 なッ……、て、てめぇ……と言いたくなるのを必死に歯を食いしばって我慢し、
 「へぇ……、ありがとうございます、サイト様!!」
 うふふっと笑いながら眉をピクピクさせ、お礼を言う。
 こいつ、仮にもって強調した……、くそ、ムカつく野郎だぜ、ったく。
 「ま、感謝しろ。……ってことだ、タク」
 タクと呼ばれた人が柱の後ろから出てくる。
 うわぁ、これもまた違う意味でのイケメンさんで。
 濃い紫の長い髪を高く結わいて、綺麗な漆黒の瞳がキリッとしていてかっこいい。また、身長が高く180㎝でがっちりとした少し焼けた小麦色の肌。なんてかっこいいの……、なんというか、庶民的なかっこよさというべきだろうか。
 「初めまして、タクト=ハーベルです。
 よろしくお願いします、麗様」
 そして美しく、私に頭を垂れる。
 か、かっこいい……。
 「はい、よろしくお願いしますね、ハーベルさん」
- Re: A quirk of fate〜運命の悪戯、君に届けたい〜 ( No.11 )
- 日時: 2015/07/20 12:36
- 名前: 音宮 ◆93nWkRSozk (ID: qizRGjjT)
- 6day — in the afternonn — 
 ああ、紳士の威力ってすごいよねぇ……。
 なんでもしてあげたくなっちゃうんだもん。
 いつも優しくてきれいなショウ様もそうだけど……ビバ、紳士。
 そんなバカなことを考えながらうっとりと護衛であるハーベルを見つめる。
 いやぁ、ショウ様もいいんだけど……、こっちもいい!!
 無駄のない筋肉の付き方、きりっとした眉。
 す、素晴らしいんでやんス。
 「ふ、ふふ、ふふふ」
 じろじろとなめまわすように、どっかの気持ち悪いジジイのように私のために紅茶を入れてくださるハーベルさんを見ている私は、どこからどうみても変態。
 「麗様、私を変な目で見ないでください」
 困ったようにはにかみながら私に紅茶を渡していう。
 「だ、だぁって、ハーベルさんがかっこよすぎるから、いけないんでぇすよぉ!?」
 そうさ、この人がイケメンだからこのなんだっけぇ……。
 『必勝!マナーと礼儀作法の完璧マスター問題集』が進まないんだよ。
 これは私の鬼……じゃなかった、家庭教師ことフレッド先生が作ったものだった。
 「麗、これをやっとくんだぞ。僕はやむおえない事情で出張することになったからこれを作ったから。いいな?」
 はい。いつの間にか敬語は外れ、呼びつけです。
 ち、畜生……、逆らえないのが憎たらしい。
 「はぁい……」
 こんな感じで無理やり渡されたのです。
 こんなの、本当は私どーでもいいんですけどッ、でもこれやんないと……あの先生怖いし。
 「はぁっ」
 私はそんなことを考えながら大きくため息をつき、とぼとぼと進めているのでした。
 「麗様……、あともう少しですよ。頑張りましょう!!」
 とかさっきから激励してくれているハーベルさん。
 ありがたいです。
 でも、できないのが現実なんですよ……。
