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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: いけない人と、恋をした ( No.7 )
- 日時: 2015/08/29 10:34
- 名前: 珈琲Time (ID: lQjP23yG)
 __いや、離したい。
 お父さん以外と繋いだことが無かった手が、緊張故かだんだん汗をかいてきた。
 離したい。けど、離したらなんかもったいない気が…
 いやいや、離さなければ、嫌な顔をされるかもしれない。
 悶々と考えた末に、いきなりバッと手を振り払った。
 スクラッチツーブロックマッシュの茶髪がゆらっと揺れて、黒眼鏡の奥の瞳が私をとらえた。
 少し見開かれた漆黒の目は、驚きと困惑が混ざっていた。
 「私!お母さんを受付においてきちゃって!」
 と、やや叫んだ。
 ちょっとした罪悪感がきた時、通路の向こう側で声がした。
 「白石先生!未歩さんが玄関で待ってますよ!」
 看護師らしき人が、ニヤニヤしながらを呼んだ。
 イケメンさんが、看護師さんをみて頷いた。
 白石…っていうんだ。
 「ね、佐藤さん。この子、歩けないから受付まで送ってあげて。」
 そういうと、イケメンさんは私のことは見ずにさっさと行ってしまった。
 隣にあった温かいものが、サッと消えた。
 なんか、寂しいようなもの足りないような。
 「行きましょ!」
 そう言われて看護師さんに手を繋がれても、さっきまで握られてた手の方が温かい。
 もう、あのイケメンさんには会わないんだろうな。
 そう思ってた。
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