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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: もう一度、青空を。 ( No.12 )
- 日時: 2016/01/30 19:06
- 名前: あき朱音 (ID: 4xvA3DEa)
- 参照: 貴方が大好き。
- 「好きです」 
 彼、告られちゃったのね。
 今日で何回目?
 ……私が知る限りでは、まだ三回目。
 人生で三回目の告白に、彼は驚いている。
 中学三年生、卒業の近いこと。
 でも残念ね、貴方は私以上に「愛されていない」。
 私は知っている。
 彼の愛する人も、ぜんぶ。
 「……ごめんね。
 嬉しいけれど……君のこと、まだ全然知らないから……」
 とても申し訳無さそうに目じりを下げる姿が、ただただ可愛らしい。
 そのおどおどと困り果てた態度に、後輩らしきその女生徒は小さく涙を浮かべた。
 ふにゃん、と罪悪感に駆られて笑う顔は平均よりは可愛いもの。
 そう、私よりは可愛いもの。
 「大丈夫です。……聞いてくれてありがとうございます」
 彼女が、先輩に直接の嫌がらせをしようなんて悪い事に至る子じゃなくて良かった。
 「じゃあ、私。行きますね」
 深々とお辞儀をして。
 その生徒は去っていった。
 それは私の横を通っていったが、哀しさで気付いていないようで。
 覗いてしまったことに『罪悪感』を感じたのは、初めてのことだった。
 彼は呆けたような顔で空を仰いだ後、悲しそうに一瞬、くしゃりと顔を歪めた。
 苦しそうな、哀しそうな、息を止められたかのような、何とも言えない表情。
 その表情の憂いさに、私はもっと、もっと彼の中に堕ちていくのだ。
 まるで、彼に汚されてしまったように……依存してしまったように。
 「……これで、良かったのかな」
 小さく声が聞こえた気がしたけれど、途端ひんやりとした冬の風が吹いて、言葉を聞くことは出来ず仕舞いだった。
 「私も、貴方が大好きですよ」
 だから、気付いて下さい。
 私はそう呟くと、其処を後にした。
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