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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- 観覧車。短編集】ssにて300突破さんきゅ&謎解き実施中 ( No.19 )
- 日時: 2016/03/09 18:54
- 名前: 湯呑ゆざめ@告白エピをネタにしたい← (ID: HT/LCIMm)
- ≫花火とラムネの三時間 
 お祭り独特の喧騒が私を包み込む。時は午後七時。初めての彼氏と待ち合わせ中である。心臓がこんなに高鳴ったのはいつぶりだろう。
 浴衣の裾を気にしたりしていると、彼は少し駆け足でやってくる。
 「あ、こんばんは?」
 「ふは、こんばんわ〜じゃいこっか!ん!」
 いつも通りの顔で手を差し出す。うわあ・・・夢みたい。
 それから、出店を回ったりしてる内に時間は九時半になった。
 花火の時間だ。
 「じゃあ、みにいこ〜」
 私がそういうと「ちょっとまって」といって何かを買いに行った。
 ほんの少しして彼の手にあったのは昔ながらのビンのラムネだった。
 それから、二人で花火を見る。一口、と言われ差し出したラムネ。
 花火に照らされる喉元がなんだか男っぽくて、不意にドキドキした。
 てか、間接キスじゃん…
 動揺する私をよそにラムネを私の手に収めると前で歓声が上がった。
 我にかえってみると最後の大きな華火が打ちあがるところだった。
 でも、打ち終わる前に私たちはキスをした。
 何度もキスをついばむようにされ視界はぼやける、彼の目は憂いを帯びて、頬を包む手が丁寧なくせしてごつごつしててああ、男の子だって
 思い出したように気づく。
 長いキスの後、彼は耳元で囁く。
 「もう、我慢できないんだけど。」
 キスより甘く、夏より熱い夜が始まる・・・
 空のラムネのビンの中のビー玉がコロン、と揺れる音がやけに火照った耳に響いた。
 end
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