コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 雨のち晴れの恋愛模様。 ( No.25 )
- 日時: 2016/06/30 16:55
- 名前: ももたん ◆hjAE94JkIU (ID: y47auljZ)
- 雨の章 1『やっぱりこたえはふせいかい』 
 昨日は、電話しようか迷って結局夜10時に明里に電話してしまった。
 迷惑じゃなかったかな…。
 まあ、なにはともあれ。今日から積極的に井上君に近づいていかないと!
 「おはよー乃愛!今日からがんばろーね!」
 「あ、明里。おはよう。今日から頑張る」
 「そうそう、その調子!あっ、来たよ、ほら」
 明里に背中を押されて、井上君の近くに行く。
 「お、おはよう井上君」
 「ん?あ、おはよー美月さん」
 井上君は、返事をしてくれたあと、友達と一緒に校舎に入っていった。
 「よかったね、朝の挨拶ミッション、完了!」
 「はは、そうだね。今のは明里のおかげ」
 「いや、あいさつしたのは乃愛だから」
 そんなことを話しながら教室に向かう。
 すると、教室の前の廊下で、井上君が誰かと話していた。
 誰だろう、と思い、明里と一緒にさりげなく移動する。
 相手は女子だった。1つ上の先輩、水城心結先輩。
 サッカー部のマネージャーで、ぽわぽわしているように見えるけど、結構しっかり者だから、この学校の人気者だ。
 そうか、井上君、サッカー部だった。部活の話かな。
 それにしては、楽しそう。
 「ちょっと聞いてみる?」
 明里がボソッと言ってきた。それはつまり、盗み聞きってわけか。
 「…うん。少し」
 本当はしたくないけど、気になってしょうがないから、少しだけ聞くことにした。
 さりげなく近づいて行って、耳を立てる。
 「心結、今日もかわいー」
 「は、恥ずかしいから、やめてよっ」
 「ほんとーじゃん。もっと見せてよ」
 『ズキン』
 胸が痛い。なんでだろう。
 「の、乃愛。行こう」
 「…うん、行こう」
 *
 あんなことしなければよかったんだ。
 しなければ、きっと…。
 …事実は変わらないか。どうせ悔やむことになる運命だった、それだけだ。
 昼休み。お昼を食べるのを忘れて、私はぼうっとしていた。
 「乃愛、お昼食べよう」
 「あ…。うん、そうだね」
 お昼を食べるのを誘ってくれた明里は、やっぱり苦笑いだ。
 「…朝はごめんね」
 「いいの。事実は変わらないんだし」
 「…そっか。ありがとう」
 気にしてる。気にしてくれてる。
 やっぱり明里は私の親友だ。分かってくれている。
 私たちは、特に会話もなくお弁当を食べていた。
