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- 【リクエスト作品】ザ・オールスターズ【感想募集!】
- 日時: 2016/07/23 20:29
- 名前: 全州明 ◆6um78NSKpg (ID: GrzIRc85)
- 初めに 
 本作はモンブラン博士のリクエストにより、モンブラン博士のオリジナルキャラクター五人全員を登場させる短編集となっております。そのため、パクリ、盗作等では決してありません。
 目次
 第一話『最弱、故に最強。』 >>01 >>04-05 >>9-11 >>14-23
 感想 >>02
 第二話『他人の不幸は蜜の味』 >>26-27 >>30-33 >>35-42
 第三話『不動の意志』 >>43-46 >>49-53 >>55-74
 ※注意
 ・作品の内容によっては、登場キャラの口調や設定が、一部異なっている場合があります。
 ・本作は二次創作です。そのため、本家様とは作風が異なります。
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- Re: 【リクエスト作品】ザ・オールスターズ ( No.70 )
- 日時: 2016/07/16 17:40
- 名前: モンブラン博士 (ID: EBP//tx7)
- 口調は問題ないです。瞑王の正体が気になります。 
- Re: 【リクエスト作品】ザ・オールスターズ【千回突破!!】 ( No.71 )
- 日時: 2016/07/17 17:28
- 名前: 全州明 ◆6um78NSKpg (ID: GrzIRc85)
- 第四話 「死す」 
 視界を覆っていた煙が晴れると、二つの人影が、変わらずそこに佇んでいた。
 うち一人の足元には、既に原型をとどめていない、こげついた怪しげな装備が転がっている。
 爆風の残滓か、一陣の風が吹くと、最後まで顔を覆っていた鈍色のマスクはあっけなくその残骸の中に落ちた。
 「……やはりお前も、俺と〝同類〟か」
 不動は瞑王の〝額〟に刻まれたものを一瞥し、左腕で自らの〝額〟を拭う。
 「本当はもう、随分と前から分かっていた。が、俺にはそれが許せなかった。認めたくなかった。……だから、だからせめて、俺は、————ここでお前を倒す!!」
 「……」
 瞑王は空気に殺気が滲み出たのを敏感に察し、さりげなく身構えた。
 「覚悟っ!!」
 タイルが凹むほど強く踏み出して、不動は急激に加速する。瞑王はそれに、ただ無言で向かい打つ。
 不動は全身が張り裂けるような雄叫びとともに、瞑王の懐に特攻した。
 *
 しばらくした後、ガブリエルはようやく瓦礫の中から抜け出した。爆発の衝撃で壁に突っ込んでしまったのだ。
 「不動さん?」
 肩から滑り落ちた壁の破片が、嫌に大きく響く。まるで、世界に一人取り残されたようであった。事実、煙が晴れ切って尚、動く物影は見当たらない。
 「不動さ————」
 言い掛けて、前方の瓦礫の山が弾け、巻き起こった砂埃の向こうに人影を見つけた。
 「そこにいるんですか?」
 ややあって、瓦礫の山から身を起こした人物は、〝不動〟でも、〝瞑王〟でも無かった。
 「不動は死んだ」
 立ち上がった金髪の男はただそれだけ言って、左の方を指す。ガブリエルが恐る恐るその指先を視線で辿ると、そこには示し合わせたように鏡合わせの姿勢で横たわる、二つの死体があった。
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 モンブラン博士と読者の皆様へ
 おわかりいただけたでしょうか。設定の崩壊も矛盾もありません。
 ヒントは、……そうですね、〝研究過程〟です。
 研究に○○は付き物ですからね。詳しくは次回に。
- Re: 【リクエスト作品】ザ・オールスターズ【千回突破!!】 ( No.72 )
- 日時: 2016/07/22 20:11
- 名前: 全州明 ◆6um78NSKpg (ID: GrzIRc85)
- 「そんな……不動さんっ!!」 
 ガブリエルが走り寄り、いくら揺さぶっても、不動の体は嫌に重く、まるで反応がない。
 「おかしい。あの不動さんが、こんなに簡単にやられるはず……」
 「ふん、素直に負けを認めろ」
 勝ち誇った顔でガブリエルを見下ろす早美。直後、真後ろのシャッターが紙クズの様に吹き飛んだ。
 *
 つんざくような轟音とともに現れた、入り口を覆い隠すほどの人影は、果たして不動仁王であった。
 「待たせたな。早美総一郎」
 猛禽類の如く鋭い眼と茶色の長髪。筋肉隆々の鋼。そしてはち切れそうな袖なしのシャツに迷彩柄のズボン。その全てが、彼の存在を肯定していた。
 「な……どういうことだっ!?」
 さすがの早美と言えど、驚愕で言葉を失いかける。が、すぐに頭を振って思い直し、フル回転させた頭で一つの可能性を見出す。
 「おい、ジャック、聞こえるか? ジャックっ!」
 無線機は未だ砂嵐の真っただ中にあり、復帰する気配はない。
 早美は短く舌打ちをして、不動達に神経を尖らせつつ倒れ伏す二つの死体へ歩み寄った。そして、その両の頭を持ち上げ、見比べる。
 「何をしている?」
 「黙っていろ! ————くっ、やはりか……」
 早くも人肌の血色を失いつつある二つの頭。その額には、それぞれ数字が刻まれていた。
 『02』と、『03』である。
 それは、この二人が滑稽な茶番劇の末犬死にしたことを示していた。
 なぜならこの二人が、〝盟王〟と〝瞑王〟だからである。
 仁王は、未だ健在だ。
- Re: 【リクエスト作品】ザ・オールスターズ ( No.73 )
- 日時: 2016/07/23 06:03
- 名前: モンブラン博士 (ID: EBP//tx7)
- どこで偽物と本物が入れ替わったのか気になります。 
 最後の不動の登場シーンは安定のカッコよさがありますね!
- Re: 『不動の意志』 (完) ( No.74 )
- 日時: 2016/07/23 13:29
- 名前: 全州明 ◆6um78NSKpg (ID: GrzIRc85)
- 『総一郎様、聞こえますか? 総一郎様っ!!』 
 唐突に復帰した無線機からジャックの声が漏れる。
 「ジャックか。一体どうなっている!? 状況を説明しろ」
 『あぁ、総一郎様。ご無事の様で何よりです。先程裏口のシャッターが破壊されているのを社員が発見いたしました。正面入り口のバリケードもたった今突破されたようです。お気を付け下さい! 不動めがまもなくそちらに————』
 「もう来ているっ! それよりも、状況を説明しろ!! 何故まだ盟王が生きているんだ? 人格に問題ありで処分したはずだろ!」
 具体的に言うと、正義感が強すぎたのである。
 『へぇ、それが、その、何と言うか、————脱走いたしまして……』
 「どういうことだ?」
 早美の声に怒気が混じり、ジャックは無線機越しに肩を縮こませる。
 『それが、どうも元連絡員の男がクビになった後もちょくちょく社内を出入りしていたようでして。データを取るのに使うと称して持ち出した様でして————』
 早美は大方状況を把握すると、そこで無線を切った。傭兵といえど、これ以上部下に情けない声を聞かせるわけにはいかない。
 顔をあげると、丁度不動達も何かの話合いを終えたようで、こちらをじっと見据えていた。
 「引くなら今のうちだぞ。熱海」
 「早美だ」
 「……まだ街の被害は少ない。怪我をした民間人もいない。ここで素直に降伏し、真実を公にするというのなら、俺はお前をどうこうするつもりはない」
 「ふん、隣のガキに何を吹きこまれたか知らないが、お前にしてはやけに平和的じゃないか」
 「……だがな、俺は天下の早美総一郎様だ。社長をさし置いて事実上ここのトップだ。部下たち————社員たちにも家庭はある。俺がここで、引き下がることはできないっ!!」
 震えを掻き消すように振り絞って出したその声は、ホールの壁に染み込む。
 「例え如何なる形でも、……負けられないんだよっ!!!!」
 早美は空が割れるほど強く蹴り出して、瞬間的に加速する。張り裂けるような全身全霊の叫びで恐怖を打ち破り、不動目掛けて突っ走る。それを無謀だと、誰が笑うだろうか。勝ち目はないと、誰が言うだろうか。
 あの最強たる不動仁王でさえも身構え、早美渾身の一撃を正面から迎え撃つ。
 激突の寸前、不動が左腕を、早美はそれに被せるように右腕を、力の限り振り被った。
 「あれは、クロスカウンターっ!!」
 早美とて、勝算がないわけではなかった。不動の勢いをほぼ100%活かしたこの一撃は、事実不動に痛烈なダメージを与えることが出来る。が、一つ、大きな誤算もあった。
 「あああぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーぁぁ!!!!」
 断末魔をあげ吹き飛んだのは、早美一人。
 不動のパンチは躱せても、作用反作用の法則は絶対なのである。
 そして不動は例によって圧倒的防御力と脚力を兼ね備えているため、地面に大穴が開くことはあっても吹っ飛ぶことはない。一方の早美は背中で天井を突き破り、線となって空の彼方へ消えた。
 *
 崩れゆく秘密結社(以下略)を後にし、二人は、何故か人が座っていたかのような形で塗装が剥げたベンチに腰掛けていた。
 「ガブリエル。俺は、強くなりすぎたのかもしれない」
 「え?」
 「あの元連絡員の男から聞いた。街で暴れていた俺の偽物は、酷く恐ろしい姿をしていたそうだな」
 「うん」
 「だというのに、誰一人として俺だと信じて疑わなかった。それはつまり、俺があんな姿で、あんなことをしていてもおかしくないと思われているってことなんじゃないか」
 「それはそうだけど……でもそれは、きっと、知らなかったからだよ」
 「何?」
 「あの街の人たちが、不動さんのことを知らなかったから、強いらしいってだけで、勝手に恐い人だと思い込んでた。それだけなんじゃないかな」
 「だから、それが問題なんだ。こんな姿で、こんな強さで、今更、公の場に出て行っても、きっと誰も、俺を信じてはくれない」
 「大丈夫だよ」
 俯き落ち込む不動の背に、ガブリエルが優しく声を被せる。
 「不動さんは、今でも十分弱いから」
 「何故そう思う」
 「だって不動さん、まだ大好きなんでしょう、J-POP。だから集中できなくて、弱体化しちゃうんだ。じゃっく?って人が、そう言ってたよ。それが、不動さんの弱みで、それで、不動さんらしくて、親しみやすいところでもある。僕はそう思うよ」
 「ガブリエル……」
 「さぁ、行きましょう、不動さん。早く皆に、真実を伝えないと」
 ガブリエルはすとんとベンチを降りると、数歩歩いて振り返り、不動に手を差し伸べる。
 「不動さんはもう、この街を救った正義のヒーローなんですから」
 「あぁ、————そうだな」
 不動は、少し遅れてその手を取ると、おもむろに立ち上がる。
 きっと、二人が何を言おうと、如何なる証拠を突き付けようと、世間はその真実を、すぐに信じはしないだろう。それでも二人は、歩き出す。平穏を取り戻した、いつも通りの日常へ向かって。〝影〟のではなく、〝隠れた〟でもなく、誰にとっても、正義の味方であるために。
 不動の意志は、揺るぎない。
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 ご愛読、ありがとうございました。第三話、『不動の意志』はこれにて完結です。
 本当に、ありがとうございました。
 モンブラン博士、並びに多数の読者の皆様。
 大変お忙しい中僕の拙い文章とのろまな更新に付き合ってくれてありがとうございました。
 人様のキャラを僕なんかが使いこなせた気はしませんが、それでも本当に楽しかったです。
 ありがとうございました。ではまた、どこかで会いましょう。
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