コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- 近いようで遠い距離
- 日時: 2016/03/22 07:38
- 名前: てんとう虫 (ID: Wz7AUOMy)
- 席替えの日が来た。 
 メガネの私は、いつでも変わることなく前列にいる。
 「じゃあ目の悪い人先に名前書いてー」
 先生の合図で、いつも通り私は黒板に名前を書いた。
 毎回最初に名前を書くのは
 私と友達のナツちゃんだけなのだが
 今日は違った。
 「あれ、はじめって目 悪かったっけ」
 「うん、なんかね」
 「何だそれ」
 私が書いた〈立野〉という文字の隣に、〈神山〉という彼の苗字が加えられる。
 (うそ!?)
 これが、全ての始まりであった。
- Re: 近いようで遠い距離 ( No.3 )
- 日時: 2016/03/22 10:40
- 名前: てんとう虫 (ID: Wz7AUOMy)
- 「びっくりしたよ、人見知りの帆乃が元くんと喋ってるなんて」 
 帰り道の会話は、この話題から始まった。
 同じマンションに住み、親同士仲が良い奈津ちゃんとは昔からいつも一緒にいる。
 だからと言って奈津ちゃんも私のように根暗なわけではなく、外見も普通に可愛い女の子だ。
 そんなに目が悪いわけでもないので、メガネもかけていない。
 いくら幼馴染だからと言って仲良くしてくれているのが不思議だ。
 そして彼女は、恐ろしい程正直な上に勘が鋭い。
 彼女に怖いものはないと思う。
 「話しかけてこられたら無視する訳にもいかないし」
 「帆乃が話せる男の人なんて、うちの兄ちゃんくらいしかいないと思ってた」
 「いや、さすがにそんな事ないよ」
 奈津ちゃんのお兄さんには昔からお世話になっている。
 友達を作るのが下手な私に構ってくれるお兄さんは、憧れの人だ。
 「帆乃、元くんの事好きになったでしょ」
 「……はい?」
 不意打ちの衝撃的な言葉に、思わず素っ頓狂な声が出てしまった。
 「懐くと思うなあ。優しい人に帆乃は弱いから」
 たとえ懐くとしても、今じゃ段階が早すぎるでしょ。
 それに、神山くんはライバルが多い。私はイケてる女子と張り合う気なんてさらさらない。
 「賭けてもいいよ。帆乃は元くんを好きになる」
 「じゃあ私はならない方に賭ける」
 奈津ちゃんはにやりと笑って私の肩に手を回した。
 「そうですか、それなら私は一つとなりの席から見守ってますよ」
- Re: 近いようで遠い距離 ( No.4 )
- 日時: 2016/03/22 12:37
- 名前: てんとう虫 (ID: Wz7AUOMy)
 翌日。
 今日も私は奈津ちゃんと登校する。
 学校まで来る道は、ずっとお兄さんの話だった。
 今日は図書館に来るらしい。
 最近会ってないから、行ってみようかな。
 教室に入ると、ほとんどのクラスメイトは来ていた。
 慣れない位置の席につき、昨日とは違う本を開く。
 ——ふと、放送が流れた。
 『2-Cクラス、誰でもいいから職員室までプリントを取りに来なさい』
 担任の声が聞こえた。
 教室は途端にざわめき出す。
 「誰行く?無視する?」
 「いや〜無視は怒られるでしょ」
 「お前行けよ」
 「やだよ面倒くさいし」
 騒がしい奴らが行きたくないという事を明確に表しているのは、私ら地味グループに行かせるように仕向けているからだということは分かっている。
 本当はずっとこのまま「放送?何ですかそれ」みたいな態度をとっていたかったけど、誰も行く気配がない。
 私は静かに立ち上がった。
 クラス中の視線を背中に受けながら、何も言わずに教室を出る。
 結局こうなるんだ。
 言われたわけでもないのに厄介を引き受けるのが、私の悪い癖であり、良いところでもある。
- Re: 近いようで遠い距離 ( No.5 )
- 日時: 2016/03/23 17:50
- 名前: てんとう虫 (ID: Wz7AUOMy)
 「私が行くから教室帰ってていいよ」
 廊下を歩いていると後ろから奈津ちゃんの声が聞こえた。
 驚いて振り返ると、奈津ちゃんは笑顔だ。
 「でも悪いよ」
 「いつも帆乃が行ってるから」
 悩んでいる間に奈津ちゃんは私を通り越して行ってしまった。
 仕方なく教室に帰る。
 皆の「何故?」という目線が痛い。
 席につくと、神山くんが昨日貸した本を出した。
 「はじめ、そんな本読んでんの」
 「面白いよ」
 友人の問いに神山くんは笑顔で答える。
 ちゃんと読んでくれてるんだ、と心の中で安心すると、「立野さん」と自分の名前を呼ばれた。
 「へ」と思わず出た言葉で返事をすると、神山くんは私に本を渡す。
 「ありがとう。なかなか読み応えがあった」
 「はい。……って、もう読み終わったんですか」
 結構長い話だから、少なくとも三日くらいは帰ってこないだろうと思っていた本が一日で帰ってきた。
 読書スピードが速い。
 何故か震える手で本を受け取り、そのまま机にしまう。
 「ごめんね、僕みたいなのが隣になっちゃって。頭良い立野さんには邪魔だよね」
 「い、いや……」
 会話を続けたいと思うのに、言葉が出ない。
 気付くと神山くんは後ろの席の人と盛り上がっている。
 落ち込んだ気持ちを紛らわす為に読書を再開すると、奈津ちゃんが帰ってきた。
 「皆さん、全教科プリント頑張りましょ」
 その強力な一言で、隣からも後ろからも斜め横からも「えぇ〜」という声が聞こえた。
- Re: 近いようで遠い距離 ( No.6 )
- 日時: 2016/03/29 17:11
- 名前: こん (ID: EqqRo75U)
- はじめまして…ではないですね。 
 この間は雑談掲示板の私のスレッドに小説紹介を書いていただき、ありがとうございました。
 ずいぶんと遅くはなってしまいましたが、拝見させていただきました。
 可愛い恋愛ものですね!
 私の大好物です。
 これからがすごい楽しみです。
 どことなく文体が少し私と似ているような気がして、勝手に親近感をいだいております。
 もう少し詳しい感想を雑談掲示板の
 私のスレッドにて載せさせていただきますので、気が向いたら足をお運びいただけると嬉しいです。
 それでは、更新頑張って下さい!
 また来ます。
- Re: 近いようで遠い距離 ( No.7 )
- 日時: 2016/04/06 09:36
- 名前: てんとう虫 (ID: Wz7AUOMy)
- こんさん! 
 来てくださってありがとうございます!
 お待ちしておりました^^
 大好物だなんて(/ω\*)良かったです。
 期待に添えるような作品にしていきたいです!
 こんさんに親近感を抱いていただけるとは…!
 光栄でございます。
 雑談掲示板の方の感想も見てきました。
 これからも読みやすい文章を目指していきたいと思います。
 ぜひぜひ応援よろしくお願いしますm(_ _)m
この掲示板は過去ログ化されています。

