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- 迂闊な僕は
- 日時: 2016/05/28 18:40
- 名前: 黎 (ID: KwIJCRrJ)
- 迂闊な僕は 
 
 「輸血増やして!」
 いつもいつも腹がたつ。なんでそうやって僕を焦らすんだよ。あぁ腹がたつ。
 「できないことはできないんだよ。もぉ無理なんだよ。」
 「麻酔科医。」
 「なんだよ」
 「いうことをきけ。」
 ああ面倒くさい。もうできないんだよ。やったらダメっていわれてんのって。まぁいっか。なんかあったらあいつのせいにすればいい。
 「わかりましたぁー。」
 「サンキュ。」
 「やっとオペおわったーー!」
 今日のオペも大成功!かっちゃんありがとー!本人には言えないけどね。心の中でしか言えないな。
 「よぉ!かっちゃん。」
 「なんだよ。」
 「あり…がと…」
 「急になんだ。」
 「私からのプレゼント。昨日白衣のポケットの中にお疲れって紙おいてくれてたじゃん」
 そう。昨日確かオペおわった後にりあが熱出して病院のソファーで寝てるってきいて白衣の中にお疲れって紙入れたな…。恥ずかしかったから気づきにくい白衣のポケットに入れたのは秘密。
 「ねぇ?かっちゃん?急に無言になんないでよ。」
 「おーい!!かっちゃーーん
 !!」
 「ごめんっ」
 プルルルルル…プルルルルル…
 「もしもし佐久本です。患者が急変?今すぐ行きます。麻酔科医も、連れてきます!」
 「もう夜中の12時になっちゃったね。ごめんね巻き込んじゃって。」
 「お前がそんなこと言うなんて珍しいな。」
 「好きだから。迷惑かけたくないなって思って。」
 急に言われた一言。聞き間違えたのかもしれない。もう僕の心は操れない。自分でもわからなくなった。
 「僕もだけど…好きだ」
 あぁ。いってしまった。オペ中に腹がたつのに終わったらそんな自分に後悔する。好きだって気付いたのはつい最近のこと。同僚にいわれて初めてなのそうなのかもなっておもいはじめた。
 外科医と麻酔科医という立場の僕たち。例え自分の意見を言い合って厳しいことを言い合っても僕たちの心は変わらないのだろう。もう一度言おう。彼女の気持ちが戻ってしまう前に。
 「みちののこと好きだよ。」
 つづく
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