コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 好きなんて、要らない。
- 日時: 2016/08/10 20:53
- 名前: 花野 千聖 (ID: 9yNBfouf)
- 神様は不平等だ。 
 カワイイ人、ブサイクな人。
 お金持ちの人、貧乏な人。
 恋が叶う人、失恋する人。
 あたしは当然、失恋する人の部類で。
 好きになる人は大抵、人気者。そして、誰にでも優しい人。
 その人を見ると大抵、彼女が満面の笑みで話してて。
 叶うわけもないのにヤキモチ妬いて。
 運命の人だけを、好きになることが出来たら。
 …何にも辛い思い、しなくて良いのにな。
- Re: 好きなんて、要らない。 ( No.1 )
- 日時: 2016/10/10 13:13
- 名前: 花野 千聖 (ID: 8PS445C3)
- おさげに眼鏡。制服も校則をきちっと守ってる。 
 つまり、地味な子。それが、私の第一印象だと思う。
 そんな私にも、好きな人ができた。
 黒田 浩介くん。
 でもやっぱり彼は、人気者だった。
 彼が廊下を歩けば後ろに大勢の人がついてくる。頭が良いのに面白いし優しい。容姿端麗、運動神経抜群。
 こんな人いるんだってくらい、完璧。
 そんなことを考えるだけで、とうの昔に切ったはずの涙腺が活発に動き出す。
 私はそれを誤魔化すように分厚い本に手を伸ばした。その時だった。
 「井上 咲良さん、だよね?ちょっと頼みたいことあるんだけど」
 聞き慣れた声が頭上から降ってきた。
 顔を上げなくてもわかる。鼓動がみるみる速くなっていくのが嫌でもわかる。
 顔を上げると、目の前には、あの。
 雲の上の存在だと思っていた黒田 浩介くんの顔があった。
- Re: 好きなんて、要らない。 ( No.2 )
- 日時: 2016/06/30 21:19
- 名前: 立山桜 (ID: ???)
  
- 面白いの発見です! (‾▽‾;)あ、ども。立山桜です。気になりますー!私もこれわかりますw作り話なのに共感できるっていいですね!更新ガンバってください〜楽しみにしてます! 
- Re: 好きなんて、要らない。 ( No.3 )
- 日時: 2016/07/01 06:56
- 名前: 花野 千聖 (ID: 8PS445C3)
 立山桜さん、ありがとうございます!
 桜さんの小説も拝見させてもらってます!コメント今の所多分出来ていません、ごめんなさい…。
 でも、とてもキュンキュンしちゃいました!
 桜さんも更新ガンバです!
- Re: 好きなんて、要らない。 ( No.4 )
- 日時: 2016/07/03 14:13
- 名前: 花野 千聖 (ID: 8PS445C3)
- 「はい!精一杯頑張らせて頂きます!」 
 
 後先考えず、返事をしてしまう私の悪い癖が、また出てしまった。
 ーー話は数時間前にさかのぼる。
 「井上 咲良さん、だよね?」
 はい。そうですけど…。そう言おうとしたところで、私の目にこちらを悲しげな表情で見つめる紫苑 翠さんが飛び込んできた。
 紫苑さんは黒田くんの幼馴染み。幼馴染みだからか、紫苑さんもまた、完璧超人だ。
 みんな同じ制服で、みんな同じ『校則』を背負わされているにも関わらず、何かが違う。
 もちろん、スカートをちょこっと短くしたり、夜寝る前に三つ編みをして寝て、僅かながらもウェーブをかけて登校してきたり、オシャレには気を遣っているけれど、そういう子ならたくさんいる。なのに、どこかが違う。
 とにかく紫苑さんはとてもカワイイ。スタイル抜群、運動神経抜群、頭も良い。それに、いっつも元気で、笑顔を絶やさず、時々ドジをする。でも、リーダーシップもあって、頼りにされてる。
 本当に、『私と同じ人間?』って思うくらい、私とは全然違う。
 そんな彼女と私の唯一の共通点。黒田浩介が好きってこと。
 どこからどう見てもお似合いなのに、まだ付き合ってないらしい。
 でも、同じ『好き』という感情を持つもの同士、紫苑さんの前では大きな声で了承するわけにはいかなかった。
 私は紫苑さんに聞こえないように、そっとささやいた。
 「はい。でも、黒田くん人気者なので、これ以上話してると誤解されます。放課後に屋上で話しませんか?」
 黒田くんは一瞬驚いたような顔をしたけど、すぐ笑顔に戻って、頷いてくれた。
- Re: 好きなんて、要らない。 ( No.5 )
- 日時: 2016/07/02 10:20
- 名前: 花野 千聖 (ID: 8PS445C3)
 キィィ、ガシャン。
 長い間油の差していない屋上のドアがきしむ。
 黒田くんを探すと、片足を投げ出した格好で柵にもたれて座っていた。
 「あの、…黒田くん」
 黒田くんは気づいたようにフッと顔を上げた。
 そして声を掛けたのが私だと分かると、花のような笑顔になった。
 ああ、私もこの笑顔に魅了されたんだっけ。
 ふと思い出しながら隣に座ると、「あのさ」といきなり切り出された。
 「いきなりこんなこと言われてもって思うかもしれないけど…俺翠が好き…なんだ」
 ああそうか。紫苑さん、が。そう、だよね…。
 「それでさ、今週の日曜日、まあつまり明後日なんだけど、アイツの誕生日なんだよ。そん時に告ろうと思ってるんだけど、よく考えたら俺、アイツにプレゼントあげた事無いんだよね、ただの一回も」
 
 だから…私にプレゼントを選ぶのを手伝って欲しい、とおっさる?いや、おっしゃる?
 「流石だな、井上さん。その通りだよ」
 でも、何で私?
 「わ、私なんか、地味で、紫苑さんみたいにカワイクて友達が多くて、リーダーシップのある子の好みを選べるとは、とても…」
 思えません。それは言えなかったから、語尾をゴニョゴニョと誤魔化す。
 ちらっと黒田くんを見ると、すごく驚いたような顔をしていた。
 「何言ってんの?井上さんカワイイじゃん」
 ……………は?
 「井上さん、自分で地味って思ってるかもしれないけど、すごくカワイイよ。翠だって、『咲良ちゃんみたいな子がちょっと髪の毛いじってデコって来たらマジで好きな人、奪われちゃうって』って言ってたし」
 唖然とする私をよそに、さらに黒田くんは続ける。
 「だって、井上さんて、見えない所で頑張ってるじゃん。こないだの職員会議の時、井上さん、一人で教室全部掃除してたでしょ。俺は用事あって手伝えなかったけど。人見知りだけど分け隔てなく優しいしよく見るとすごくカワイイって、男子に人気なんだよ」
 あり得ない、あり得ない、あり得ない。
 今、黒田くん、私の事カワイイって言った…。
 「だからさ、前もって午後に翠と待ち合わせて、プレゼント買った後にとびっきりカワイくしてもらえばいいじゃん」
 黒田くんに、カワイイって言われた。その事が、私を調子に乗らせた。
 「はい!精一杯頑張らせて頂きます!」
 私はルンルンなのが分からないように、帰る時も速度を速めないように歩いた。
 明日は、デートだ!
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