コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 秘密 ( No.358 )
- 日時: 2014/05/24 18:33
- 名前: 雪 (ID: 0n70nVys)
- 涙が流れている。 
 傷つけるのが怖かった。
 でもそれより怖かったのは…圭達が離れていくこと。
 ・・・大丈夫、僕はどんなことがあってもアリスの傍を離れないから。
 傷つけても良いんだ。その程度で僕は傷付かない。その程度で僕は離れていかない・・・
 その言葉に自然と涙が流れた。
 圭はふっと笑った。
 人差指で涙をぬぐった。
 「アリス」
 恭しく跪いた。
 「アリスのことが好きです。大好きです。」
 はっ、と息が止まった。
 ずっと願っていたはずのことだった。
 想いが通じ合うのを。
 まだ傷つけるのが少し怖い。
 気持ちの整理が付かない。
 あっという間にことが進み過ぎている。
 圭の差し伸べた手に手を伸ばす。
 けれど途中で手を止める。
 「…ありがとう」
 圭が顔を挙げる。
 私は首を横に振った。
 まだ眼の端にはまだ涙が溜まっていた。
 「…気持ちの整理をさせてください。」
 きっと顔が真っ赤なのだろう。
 精一杯言葉を紡ぐ。
 「圭のこと、よく考える。考えるから…少し…時間をください。」
 圭は笑った。
 笑ってただ1度だけ頷いた。
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 何時から好きだったのだろう。
 私の何に惹かれたのだろう。
 と、色々馬鹿な質問が頭を巡る。
 嘘だ。
 嘘だ。
 圭が私を好きだなんて…
 そんなの…
 そんなの、嬉しいに決まっている。
 枕に顔を突っ伏したままゴロゴロと布団の上をのたうちまわる。
 「っ〜!」
 声にならない叫びが口からほとばしる。
 嬉しい。
 その気持ちとは裏腹に
 怖い。
 友達より先に言ってしまう事はきっと圭を傷つける。
 本当に圭の言葉に甘えてしまっても良いのだろうか。
 私にはまだ人を信じるなんて高尚なことはできない。
 だから余計に考えてしまうのだ。
 明日は平日。
 結論がどんなふうになろうと。
 結論が出ようと出まいと。
 圭と顔を合わせなければいけない。
 それが苦しくも待ち遠しい。
