コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- episode10 肉球あらし市松名人 ( No.20 )
- 日時: 2017/01/23 11:30
- 名前: 雪姫 (ID: 8MLsWoCW)
- *ちょっとした小話 その参 
 ある日。寮に帰ると
 モフーン。
 「わんっ」
 子犬(シベリアンハスキー)がいました。
 「るーるるるるーるー」
 とりあえず北国の人を見習い、ファーストコンタクトをとってみるです。
 本家はきつねでしたが、犬もきつねも同じ犬科の動物なので大丈夫でしょう。
 「るるーるるるるるー」
 「…いや。俺、だけど。カイト」
 子犬さんの正体は、アニマルverになったカイトさんでした。
 「アニマルverの姿変えたです?」
 前に初めて見た時は、狼男さんでした。ニホンオオカミの。
 「オオカミの姿だといろいろめんどう、だから」
 「あー」
 捕獲されるですね。珍しい&お高いですから。
 絶滅したとされるニホンオオカミがいるとわかれば、日本だけではなく世界中が大パニックになるでせう。
 それは確かにめんどひ。なのです。
 「うずうず」
 「……?」
 モフモフなのです。触りたいのです。
 ですが、噛みつかれたりしないでしょうか。元は狼なわけですし…。
 「少し、だけなら……いい」
 「ぅ…ぅ…」
 「なんだ?」
 モフモフしたい!モフモフしたいのでせう。
 「カイトさんに触っても病気になりませんか?」
 「人をバイ菌みたく言うな」
 【主に狂犬病を恐れています】
 モフモフ。スリスリ。
 モフモフ。スリスリ。
 この肌触り。例えるならそう、西川のふわもこ毛布のようなのです。
 くるまれるだけで深い眠りにいざなわれるような…あの感覚に似ているような気がするです。
 「モフモフでござる。モフモフでござる」
 「(くすぐったい…)そろそろはなれ「あのカイトさん」なに?」
 ふわもこ毛布のような肌触りの狼なのです。きっと゛あちら”の方も…。ゴクリ。
 「カイトさん。肉球を触ってもいいですか?
 かわりに市松をどうこうしてもいいです」
 「どんだけ肉球好きなんだ!?(こひな相手になにもするか)」
 【狐になにされるか…と静かに俯く狼さんなのであった】
 「ほら」
 カイトさんは右前脚を差し出します。
 真っ黒な肉球です。ぷにぷに感はやや硬めなのです。匂いは香ばしいいい香りです。
 ぷにぷに。
 ぷににににににににににににににににに。
 ぷにににににににににににににににににににに。
 「はっ(一秒間に十六回ぷにされている!?こいつ…できる)」
 【肉球あらし市松名人誕生の瞬間であった】
