コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 泡沫に消える前に /ほのぼの甘+切な
- 日時: 2015/08/20 18:52
- 名前: 英梨 (ID: wgYgxarx)
- □泡沫に消える前に□ 
 愛されていたかった。
 小さな頃、
 忘れられない思い出の中に居る“あの人”に。
 拗らせた想いは、重たくて、
 気付けば私はこんな風になっていた。
 でも、後悔なんて無い。
 いつかみんな、あの人のように離れていってしまう。
 泡沫に消えて、消え去って、
 私はきっと苦しむことになる。
 だったら、そうなる前に——泡沫に消える前に——
 『愛されたいんです』
 無邪気に笑った私のことを、どうか見抜かないで。
 □挨拶□
 初めまして、英梨って言います^^
 よろしくお願いします〜
 題名にある通り、ほのぼの甘+切ない感じの、恋愛小説になる予定!笑
 基本、沢山の人とわちゃわちゃ甘い感じです!!(?)
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- Re: 泡沫に消える前に /ほのぼの甘+切な ( No.1 )
- 日時: 2015/08/21 10:45
- 名前: 英梨 (ID: wgYgxarx)
- *1(出逢いと別れ) 
 「お前、藤代 真広?」
 雨の降りしきるあの日。
 灰色の世界を背景に、綺麗な手が伸びてきた。
 陽の光を知らないような、真っ白な、肌。
 __
 『真広。俺さ、家出ることにしたから』
 昔、両親と住んでいた家。
 あの頃の記憶は、あまり無いけど。
 ぼんやりと覚えている、あの人との思い出。
 『寂しい?』
 『当たり前じゃん!!!』
 『ごめんな。いつか、迎えに来るよ』
 『__、どこに行っちゃうの?』
 目を細めて笑う、その表情が大好きだった。
 だけど、そのときばかりは怖くて、儚く思えて、ただ寂しかった。
 小さな私には大人っぽく見えた、明るめの茶髪とか
 男の人のそれにしては、綺麗だった手の形とか色とか
 あと、私のことを“真広”と呼んでくれる声が何より好きだった、気がする。
 『遠いとこ。だけど、ずっと近いとこ』
 人の記憶は声から欠落していくらしい。
 否応なく、世界の摂理として。
 『じゃあな〜真広』
 両親よりも高かった背、
 風に吹かれてふわふわと揺れる茶髪、
 頭にポン、と置かれた手。
 あの独特の笑みを浮かべて、紡がれた言葉が——
 泡沫の如く、
 消えてしまったけど。
 ——
 「なんで知ってるの?誰?」
 「ん、アタリか。立て、行くぞ」
 「えっ!?」
 意味もなく、頭をくしゃくしゃと撫でられる。
 懐かしいような、
 胸の奥がくすぐったくて暖かくなるような。
 「初対面。でもないんだけど、まぁ似たようなものか」
 「??」
 「怪しい奴じゃないから大丈夫」
 「いやいやいや…」
 「あーそうだな。あいつ、__の知り合いって言ったら、わかる?」
 久々に聞いた名前に、
 心が冷えていく気がした。
 頬に流れたのは涙だった。ぼやけた視界に、なんとなく見覚えのある困り顔が映った。
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