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- Re: 世界の果てで、ダンスを踊る ( No.21 )
- 日時: 2014/11/16 19:42
- 名前: Frill ◆2t0t7TXjQI (ID: GWJN/uhe)
- —17 異質 
 死線を交わし、死合う少女が、二人。
 その尋常ならざる戦いを一介の兵士である自分がどう表現したらいいのか皆目見当がつかないのは仕方ないだろう。
 破壊された輸送ヘリの残骸に動くことさえままならない身を寄せ、ただ有りのままに事の成り行きを見守るしかない無力な己。
 いや、例え万全な身体でも、ありったけの武器を持ってもこの少女たちの闘争に加わろうなどと微塵に思いもしない。
 それほどまでに常人の範疇を超えて、殺し殺されるを紙一重で繰り返す異様極まる者共の乱舞。
 無理だ。
 理解できない。
 したくもない。
 互いに一線、攻突迎撃する少女。
 どちらに勝利が齎されたとしてもなんら不思議ではない攻防の最中、現実味が感じられないまま、茫然と諦観していた。
 そして遂に訪れる詰みの決め手。
 必殺の斬り込みを片腕と片翼を犠牲に躱した機械の少女が放ったビームのような攻撃が銀髪の少女の右腕を切り落とした。
 双方、満身創痍。
 隻腕を晒し睨み合っている。
 これは分が悪いかもしれない。
 空を漂う少女は機械化されているらしく、躰を破損しても別段気にした様子は無く、新たな攻撃の隙を窺っている。
 一方、先程の攻撃で片腕を落とされた白銀の少女は大量の夥しい鮮血を今も尚迸らせて大地を真っ赤に染めていた。
 明らかに生身の肉体ではこれ以上の交戦は厳しい。
 このままでは失血死してしまうだろう。
 かといって自分が手助けできるとは考えられない。
 恐らく逃げる事も無理だろう。
 この少女が死んでしまえば次は生き残った自分が殺されるかもしれない。
 他人事のようにそんな事を考えていたら、やおら少女は誰かと通信機で交信しはじめた。
 時間にして僅かだが、その後少女の雰囲気が、その纏う気配が、そして場の空気が瞬間的に変わり果てた。
 まるでそこだけ切り取られた異空間のように。
 おいおい、これ以上一体何が、始まるってんだ?
 
