コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: えっ、今日から私も魔法使い!?【オリキャラ募集中】 ( No.181 )
- 日時: 2015/05/13 20:59
- 名前: 雪兎 (ID: VIeeob9j)
- 第六十八話 <何でもアリな体育祭編> 
 「エ、エリオット君…?」
 顔がくっつきそうなほど近い。熱に浮かされたように私を見つめるエリオット君のほおは、いつもの倍赤かった。
 「フィ、リア……」
 ……わおおおおお!?な、何だこの展開はっ。冷静に実況してる場合じゃない…!
 「ねえ、どうしたの…ねえっ」
 私も精いっぱいエリオット君の肩を押して引きはがそうとするけど、そこはやっぱり男女の差である。
 はあ、と、エリオット君の口から吐息が漏れる。…なんか目もうつろで、自分が何をしているのかもわかってないような感じ。
 ……ちょ、ちょっと待って!!だんだんエリオット君が顔を近づけてくる。や、やばいって、このままじゃ。
 「……っ!!」
 思わず目をつむった、その時。
 「何をしている、そこの生徒!」
 はっ。
 その声に、私もエリオット君も目を見開いた。
 「…?貴様ら…」
 「た、隊長」
 私はやっと、それだけ口にした。するとエリオット君は我に返ったようにぱっと顔を赤くすると、手を放して勢いよく立ち上がった。
 「わ…、ぼ、……ご、ごめんっ!!」
 「エリオット君!」
 「おいっ、待てっ!」
 腕で顔を覆って走り去る背中を、私は呆然と見送ることしかできなかった。
 …と思ったら、息をつく間もなく、隊長が鼻息荒く近づいてきて無理やり立たされた。
 「フィリア・ヴァレンタイン、貴様何をされた!?怪我は!」
 「は、はいいっ!何も無いでありますっ!!」
 …思わず軍隊さんのように答えてしまった…。ていうか隊長、顔怖いよ!
 「……そうか、ならば良いが」
 ほっと溜息をつく隊長。言い方はきついけど、私のこと心配してくれてたみたい。
 「しかし一体どうしたというんだ?いまのはロジャースではないか」
 「なんか…ハハ、何でしょうね?でも、本当に大丈夫ですから」
 私は苦笑した。エリオット君もきっと、悪気があったわけじゃないもんね。まあ、ちょっとびっくりしたけど…。
 それから事情を聞いた隊長は、何かあったらすぐ知らせるように、早くテントに戻るようにと念を押してから去って行った。
 …エリオット君、どうしてるかなあ。気まずい…。
 ☆
 僕はッ…、一体なんてことしてしまったんだ!
 テントに向かって走りながら、火照った顔を冷ます。
 フィリアの笑顔を見たら、体が勝手に。最低だ、最低だ……!
 一所懸命励ましてくれたのに。衝動に駆られて、あんなにも見境なくなってしまうとは。フィリアは自分のことを嫌いになっただろうか?
 …あやまらなくては。僕を変えてくれた彼女に。
 自分は確かに成長した。いろんな人の力を借りて。だけど、それに気づいてなかっただけで。
 ぱっと前を向く。前までの僕なら、落ち込んで立ち直れなかったもしれない。
 でも大丈夫。きっとわかってくれるはずだ!
 ……この気持ちはおそらく、思春期特有のものだろう……うう、
 頭の中でポンと音を立てて、フィリアの顔が浮かぶ。
 …やっぱり恥ずかしいぃーーー!
 エリオット君も、大人の階段を一歩登りましたね。次回、第六十九話。お楽しみに☆
