コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- えっ、今日から私も魔法使い!?【参照2000突破感謝!!】 ( No.219 )
- 日時: 2015/09/28 21:45
- 名前: 雪兎 (ID: VIeeob9j)
- 第八十九話 <波乱のお見合い編> 
 次の日。私たちは、白塗りの大きなお屋敷の前に立っていた。
 三階建てで、どことなく四角っぽい。すごくメルヘンな、たとえるならグリム童話っぽい見た目かな。
 ちなみに驚いたのは、ここはいくつかある家の一つだってこと。主に家族が寝泊まりしている場所で、本社は別にあるらしい……唖然。
 「うええ……なんか、外観を見ただけで緊張で吐きそう。追い出されちゃったらどーしようっ」
 「だ、大丈夫だよフィリア。ぼ、ボクガツイテルカラ!」
 無理に笑顔を作って言うエリオット君だけど、明らかに言葉が片言だ。———まあ無理もない、今から足を踏み入れようとしているのは、国内で五本の指に入るような、大企業のトップの家なのだから……!
 「よし☆それなら一緒に深呼吸だよぉ〜、せーのっ!」
 「おっじゃましまーす」
 「うおわああああジークぅ!?」
 バカ、空気読めっ。まだ心の準備が……
 すると、案の定。
 「おい、誰だ君たちは!」「下がれ下がれ、ここを誰の家だと思ってる!」
 「うわちゃー、やっぱりかー」リリアンが、困ったように唇に手を当てる。
 黒服の男の人たちが二人、駆け寄ってきた。警備員さんたちだよね、きっと……
 追い出されそうな勢いだったけど、リュネの姿を見たとたん、ぺこぺことおじぎをしながら慌てて戻っていった。「さっすが、リュネ!」
 「あら?リュネット、帰ってきたの。————あら、あなたは」
 そのとき。建物の影から現れた女性に声をかけられた。———私は、その人に見覚えがあった。「あ、あの時の!」
 忘れもしない、体育祭の時。「腕時計」というお題を前に途方に暮れていた私に、高級そうな金時計を手渡してくれた、あの女性。
 すごくきれいな女の人だった。白くてつばの広い帽子に、白いワンピース。胸元にはエメラルドのネックレス。いかにもお嬢さまって感じの見た目だ。リュネのお姉さんかな?
 「い、いつぞやは……お世話になりました!」私は感謝の意を込め、深々と頭を下げる。「あらあら、やっぱり。いいのよ、お役に立ったのなら。それで……」
 女性はにこやかに返した後、私たちを見回す。そりゃ、家の前に高校生がたくさんいたら、驚くだろうなー。エリオット君が気をきかせて、一歩前に進み出る。
 「あの、お騒がせしてすみません。リュネットさんのお姉さまですよね?僕達、少しコーカーさんにお話がありまして……」
 そこまで行ったとき、お姉さんがこらえきれないというように、「ふふっ」と笑って言った。
 「ごめんなさい、申し遅れましたね。私、リュネットの母のエレオノーラと申します」「………えっ、」
 えええええええええええええ、
 「「お母さん!?」」
 次回、第九十話。お楽しみに☆
