コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: えっ、今日から私も魔法使い!?【募集あり】 ( No.45 )
- 日時: 2014/10/01 21:15
- 名前: 雪兎 (ID: hqWYiecP)
- 第六話 
 「あ、ありえない・・・。」
 入学早々、心が折れそうだった。
 いろいろ起こりすぎ・・・ていうか疫病神でも憑いてんのか!?・・・父さんのチョコ勝手に食べたのが悪かったんですか神様・・・。
 何がありえないのかというと。
 まず、昨日の騒動。魔法が使えない、つまり無能力者が、魔法を発動させた事件。あれから一人、また一人と魔法を発動させていき・・・。
 ついには、魔法が使えないのが私とエリオット君だけになってしまったのだ。
 コレ何の冗談ですか?と聞き返したくなった。そのことが先生の口から容赦なく発せられたとき、きっと私の顔は入学式の日に遅刻した子供のようになっていただろう。
 もっとも、唯一の仲間であるエリオット君は、さほど残念そうでもなかったけれど。
 リリアンは、「その分勉強でがんばればいいじゃん。ファイトファイト♪」と励ましてくれたが、とあるおバカな幼馴染は笑いをこらえながら「やっぱお前違う意味で才能あんじゃね?マジで尊敬だわ、オメデト」
 と言ったもんだから思わず殴り飛ばしそうになった。
 次に起こった事と言うのは、今日の朝の会での出来事。
 「ハーイ、皆さん席に着いて・・・ってもう着いてるわね。では早速ですが、転校生を紹介します。」
 先生はドアの外に向かって「どうぞ入って」と声を掛けた。
 転校生?何でまたこんな中途半端なときに・・・。
 リリアンが声を潜めて言う。
 「どうしたんだろーね、こんなときに。でも、あたしすっごい楽しみ!どんな子だろうね♪」「うん・・・」
 周りの生徒も気持ちは同じようで、さっきからざわざわと落ち着きが無い。
 ドアを開けて入ってきたのは、三人の男女だった。
 それがもうモデルの子みたいに美男美女ぞろいで、三人が現れた瞬間に教室にため息のような声があふれた。
 「紹介するわね。左からライム・シトリン君、フレア・ミイルさん、エルギ・ユズカさんです。三人ともまだ学校に慣れてないから、皆さん仲良くしてあげてね。」
 一人は黒髪の少年。一人は艶やかな藍色の髪の少女。もう一人は明るい赤毛の少女だった。
 先生が座る場所を指定し、三人がそれぞれ自分の席へと向かう。
 そのとき。
 三人が、不意に私を見た。
 え?
 三人とも不思議そうな顔をしたあと、何事も無かったように席に戻った。
 ・・・な、何なの?
 ジークもそれに気づいたようで、片方の眉を吊り上げてこちらを伺っていた。
 どうしたんだろ、私初対面のはずなのに。
 疑問を残したままチャイムが鳴り、朝の会は終わった。
 ☆
 それから、あっという間に放課後になり。
 疑問も解決できずに、リリアンと一緒に寮に帰ることになった。
 だってあの三人、ずっとみんなに囲まれてて話しかける隙無かったんだもん。
 三人はみんなに愛想良く対応していて、怪しいところなんてどこもなかった。何だったんだ、一体。
 「ねえ、フィルっち。」
 「ん?何?」
 「あれってさ・・・どういう状況?」
 リリアンが指差した方向を見てみると。
 三人の男に囲まれた、艶のある白髪の小柄な少女の姿があった。
 うっわ・・・何あれナンパ?
 男たちはさっきから何かと少女に声を掛けているらしかったが、少女は一切反応せずつまらなそうにどこか一点を見つめていた。
 「どうしよう、助けないと!・・・でもあたしたち丸腰だよね」
 「うん。でも・・・」
 やっぱり先生呼んでくるなんて悠長なことしてられないよ。
 ちょっと怖いけど・・・いかなきゃ。
 「リリアン、私行ってくる。」
 「え!?ちょっとフィルっち!」
 その様子を、木陰から一人の少年が見ていた。
