コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: えっ、今日から私も魔法使い!?【募集あり】 ( No.79 )
- 日時: 2014/10/29 16:33
- 名前: 雪兎 (ID: hqWYiecP)
- 第十一話 <対抗戦編> 
 「はあ、はあ…。あの二人、どこに…。」
 探し始めてから五分が経過。一体どこまで行ってしまったのか、まったく見つからない。それにおばあちゃん化してしまったリリアンの手を引きながら走るのも、骨が折れるというものだ。
 ていうか、こんなに本番に弱いなんて聞いてないし。はあ。
 「んっ…!?」
 …考えている矢先に見つけてしまった。それもすごく嫌ーなタイミングで。
 ジークとハク君が、四人の男女と向かい合っていた。
 向こうは男子二人に女子二人。対戦しても勝ち目は薄いだろう。
 そんなことは気にせず、早く戦いを始めたくてうずうずしているジークに対し、ハク君はやっぱりビビッている様子だった。小刻みに震えている。
 四人組のリーダーらしい男子が口を開いた。
 「おいおい、君たちのチームはもう三人も脱落したのか?こりゃたいしたことなさそうだぜ。…ああそういえば君たちのチームには、魔法も使えない『能無し』がいるんだっけ?それに君のようなやんちゃな暴れん坊がいたのでは…当たり前かな?」
 周りの仲間がくすくすと笑い声を漏らす。
 その言葉に、ジークの耳がピクリと反応した。
 ハク君も、リーダーの発言で震えが止んだようで、「ジーク先輩。俺が援護します。」と勇ましい顔でつぶやいていた。
 ああ、こりゃ出て行かないとだめだな。
 振り返ると、リリアンはもう引き締まった表情になっていた。瞳の奥に闘志が燃えている。
 「もう…行けるよね?」
 リリアンは聞くまでもないという風にうなずいて、
 「モチロン。それじゃあ…」
 いつもの笑顔に戻ると。
 「戦闘開始と行きましょーか?」
 ☆
 「…さっきの言葉、死ぬほど後悔させてやる。」
 ジークの全身から、殺気にも似たオーラが立ち上る。
 「……っ」
 あまりの迫力に、少し尻込みするリーダー。
 だがたったの二人なら、と余裕の笑みに戻り、
 「それをそのままお返しするよっ!」
 武器である剣を振りかざし、ジークに突進する。
 刹那。
 ジークの前に、二つの影が立ちはだかった。
 キィィン!!
 直後、金属と金属が激しくぶつかる音。
 「…なーに、こんなトコでキれてんのよ。」
 「そーだよん♪男前がダ・イ・ナ・シ。」
 「!?お前ら…。」
 二つの影、フィリアとリリアンは、それぞれの武器でリーダーの剣をはじき返す。そして、尻餅をついたリーダーを見下ろし、一言。
 「…どーも、『能無し』でーす。」
 「アハハ♪ドッキリ大成功、なんちゃって。」
 「フィリア先輩、リリアン先輩…!」
 ハクが、今にも泣き出しそうな笑顔で言った。
 続いてジークも、さっきまでの殺気を引っ込め、ぶっきらぼうに返す。
 「…てめーら、俺の見せ場取んじゃねーよ。」
 「なーにを。助けてあげたんだから、礼くらい言いなさいよ。」
 「んなの頼んでねえ。…まあおしゃべりはここらへんにして」
 ジークは唇の端を吊り上げて、
 「行くぞ、お前ら。」
 「うん。」「らじゃー☆」「はいっス!」
 次回第十二話、初戦の行方は!?お楽しみに。
