コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: えっ、今日から私も魔法使い!?【募集あり】 ( No.85 )
- 日時: 2014/10/29 16:39
- 名前: 雪兎 (ID: hqWYiecP)
- 第十六話 <対抗戦編> 
 …っははー、こんな時にヤツと出会うとは。ついてねえな、クソ。
 カイル・マクディーンの噂は入学式以前から聞いていた。どうやら今年も、二種類の魔法が使えるやつが入学するのだと、もっぱらの話題になっていたからだ。
 こいつの属性は、確か…
 「おーい、ジーク、ハク君〜!」
 おっと?
 現れたのはフィリアとリリアンだった。二人とも急いで走ってきたのか、息を切らしている。
 「遅かったじゃねーか。ま、無事で良かったっつーことで。」
 「ホントよ…勝てたのが不思議だったんだから。…あれ?カイル君?」
 「おや、彼女たちも同じチームだったのですか。お久しぶりです、フィリア。」
 …こいつ、俺らの仲間が増えたっつーのに、まったく焦ってない。それどころか余裕すら感じさせる。一体なぜ?
 ま、ってところで俺のパートはおしまい。みんな、またこの俺が主人公になるのを待ってろよ?
 
 ☆
 戻るとなぜか、カイル君がいた。
 「あの、カイル君って…」
 「ええ、ディック君たちと同じチームでしたよ。…まあ今は、僕一人になってしまったようですが」
 言っていることは悲惨なのだが、カイル君は聖母のような美しい笑みを崩さない。私たちが一対四だってこと、わかっているのかな?
 そこでハク君が控えめに聞いた。
 「あのー、カイル…先輩?俺達今、一対四だってこと、分かってます?」
 おおー!ハク君、私の疑問をそのまま言ってくれた。
 リリアンも、うんうんとうなずいている。
 「そうですね…これでは私も勝てる気がしませんね。まあ、一応彼らがもうすぐ来るはずなので、先に始めていましょう」
 え?
 今のカイル君の発言にツッコミたいところがいろいろあるんだけど…
 そんな暇はなさそうだ。
 「僕の水魔法で、お相手しましょう」
 カイル君はそういって両手を広げ、短い杖を出現させる。そして杖を軽くまわすと、彼の周りに水の玉がいくつも浮かび上がった。
 「まずい…来るぞテメエら!」
 ジークの緊迫した声にそれぞれが身構えた瞬間、水の玉が発射された。
 ジークは大鎌で粉砕、ハク君は岩の防護壁で身を守り、私たちは必死で避けた…が。
 …たかが水の玉、なんて思っていた私が馬鹿だったようだ。
 運悪く餌食になった近くの木には、円形の穴がぽっかりと開いていた。
 こんなに威力があるなんて…!
 みんなも、「なんとか」回避しただけで、すでに何人かは擦り傷を負っていた。
 「あっははー…こりゃ油断してたら簡単にコロリだねえ。」
 リリアンが、額に汗を浮かべながら言う。頬には擦り傷とも切り傷ともいえない傷ができていた。
 実際、私だけ体の至るところに傷を負っていた。みんなとのレベルの違いにげんなりするが、ジークだけ無傷なのが無性に腹が立つ。
 「さあ、皆さんからもどうぞ。私が一方的に攻撃するのは、あまり気分が良い物ではありません…」
 カイル君はそう言って、優しい笑みに悲しげな表情を混ぜて見せた。これがそこらへんの美女より美しいのだから、困ったものである。
 ジークはその言葉に、唇の端を吊り上げて笑い、大鎌を構えなおした。
 「ああ、言われなくてもな。すぐに決着つけてやる!」
 その言葉でみんなが一斉に武器を構えたときだった。
 「きゃあ!」
 !?
 脇の茂みから転がるように飛び出してきたのは、深い緑色の髪をした、おさげ髪の少女だった。
 …誰?
 すると続けて、金髪碧眼の美少年。
 「やあ大丈夫かい、ロゼッタ嬢?…ああ神よ、どうか可憐な乙女にケガのないことを…!」
 またまたその後ろから、銀がかった長いカールの金髪に紫色の瞳を持つ少女が。
 「もうっ皆さん、少し歩調が早いのではなくて!?それにこんな獣道…スカートが破れたらどうするんですの!?」
 ああ、この人は知ってる。キャンディさんだ…
 ていうか、
 何、このメンツ!?見た感じみんなめちゃくちゃキャラ濃いし!
 どうなるんだよお〜!!
 …こうして波乱の対抗戦は、この三人の登場によってさらなる大波乱へとなっていくのだった。
 次回、第十七話。お楽しみに。
