コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: Last Days ( No.6 )
- 日時: 2015/08/28 15:21
- 名前: 久遠 ◆rGcG0.UA8k (ID: GX8mvGbi)
- episode2【すれ違う思い】 
 栞side
 翌日、学校に来てから思い出すのは今日が陸上大会だということで。
 校庭には既に生徒達で溢れかえっていた。
 「これなら会長と会うこともないかも……」
 生徒会は準備に忙しく私も忙しなく走り回ってる。
 昨日は一度に色んな事がありすぎて全然眠れなかったし、変に緊張もしてたけど。
 これなら心配する必要はなさそうだった。
 でも、私が帰った後にあんな事になってるなんて思わなかったな。
 あんな事、と言うのは栗山さんの生徒会入隊の為の条件のことだ。
 花房さんが提案者らしいけど、会長複雑だろうな。
 今日の大会で全種目一位、並大抵で出来ることじゃない。
 そう思うのに遠目から見た栗山さんの表情を思い出すと本当にやってしまいそうな雰囲気があって、他の皆も口にはしないけど注目してるのが分かる。
 「応援したくなっちゃうな」
 会長との関係は気になるけど、それでも私は転校してまで桂くんを追いかけて来た栗山さんを応援したいと思う。
 「でも応援するなら仕事終わらせないと……」
 そう思い直して、大会で使う道具を持ち直した。
 *
 お昼も過ぎてあと二種目を残して大会が終わるという頃。
 ようやくひと息つけた私が耳にしたのは栗山さんの事だった。
 「あの桂君を追って来こ、凄いね。今までぶっちぎりで一位だよ」
 「あと二つで制覇って……ホントに達成しちゃうんじゃない?」
 どこへ行っても話題は栗山さんの事で持ち切りで、純粋に凄いと思った。
 それだけ本気なんだ、栗山さん。
 もし栗山さんが生徒会に入ったら、歓迎したいと思うし仲良くなりたいとも思う。
 結局、昨日は話せなかったけど……友達になれたらいいな。
 そんなふうに思って、立ち上がった瞬間だった。
 グラりと視界が歪んで、次いで体がズシリと鉛のように重たくなる。
 可笑しい、そう思った時には体が言うことを聞かなくて、意識を失った。
