コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: カワルミライ ( No.4 )
- 日時: 2016/02/07 17:11
- 名前: むつ (ID: HSAwT2Pg)
- 私の言葉を聞くと、功さんは嬉しそうに言った。 
 「そうか、ありがとう」
 功さんは目に少し涙を浮かべていた。それを見て私は少し切なくなった。
 でも、その感情を押し殺して私がやることをやる。そして今のことには関係ないけどこう思った。お付の人は、何か意味あるのかな・・・・・・。と。でも聞かない事にした。
 今からやることには関係のだから。
 「それでは、この紙に手を置き、あなたがどう過去を変えたいのかを正確にしたいのかを思い浮かべてください」
 私は功さんに紙を差し出した。紙を渡された功さんの顔はみるみる険しくなっていく。
 「これにか?」
 まあ、そう言うのも仕方がない。紙といっても《見るだけでは》何の変哲もない紙だ。ペラペラの髪切れた。真っ白いA4のコピー用紙だ。
 「まあ、一応やってみてくださいよ」
 でも、功さんは信じずに怒ってくる。
 「いい加減にしろ! 俺のこの話をバカにしているんだろ!! そして、俺の話を聞いてあざ笑っていたんだな! そうだと思ってたんだ! 怪しいって! もうs・・・・・・」
 「だったら、帰っていいですよ。まだお金もおらっていませんし。でもすごいですね。そんなお店に勝手に足を運んできたのはあなただというのに。【勝手に】被害者ズラして」
 私は功さんの言葉を遮った。ムカついたから。それに・・・・・・。
 「それに、そんなことを言うのはまず、やってみてから言ってください」
 これが私の本音だ。私と功さんの間を隔てる机にバンッと激しく紙を置く。机の上に置いてあったディーカップの中身はみんなほとんど飲み干していたので飲み物はなにも零れなかった。お付の人が功さんに「彼女の言うとおりでは・・・」と恐縮ながら言葉を促す。怖そうな人だが、結構いい人なのかもしれない。
 それを聞いた功さんが、怒りを抑えるようにしながらコクリとうなずき、言った。
 「わかった。やってみよう。ただし、何も起こらなかった場合は、わかっているな」
 凄く怖い顔で言われた。ドスが少し聞いていた。そして私はうなずく。
 「わかっています。では、手を紙の上にのせてください。全て思い浮かべるまで、目を閉じて、絶対に紙から手を離さないでくださいね」
 「うむ」
 功さんは頷き紙に手を置いて目をつぶる。その瞬間、紙にあることが起こる。それを見たお付の人は驚愕の表情を浮かべた。それもそうだろう。功さんが手を置いている紙は、今、光ながらあるものを綴っているのだから。
 「な、なんだこれ」
 功さんのお付きの人が呆然とその光景をているなか私は真剣にその様子を伺っていた。その光景は私にとっては見慣れたものだから。
 でも私も、最初この光景をみた時には驚いた。けれど今は驚かない。
 私がお付の人たちの反応を見ているうちに功さんは全部思い浮かべ終わったらしく、「よし」と言って目を開け、紙から手をどかした。
 「!!」
 そして驚いた。こんな光景も見慣れている。言うならばこの店の恒例みたいなものだ。
 「それでは、大丈夫ですね。では、この紙もらいますね」
 私は彼から紙をもらう。そうしている間も功さんたちは呆然とその紙を見つめている。でもそんな功さんたちの視線を無視し、私はその光っている紙を見る。
 そこに描いてあるのは手を置いた人物がどういうことを改変したいのか、そしてどのような感じにしたいのかが文章と動画みたいな感じに描いてある。
 要するに把握するのだ。これから私が起こそうとしていることを。
 だが今回は、いつもを違うところがここにはあった。いつもこれを見ている時は無表情で少し動揺をしても隠せていた。しかし今回の私は動揺を隠せなかった。
 「うそ・・・・・・」
 そこには見覚えのある顔が1つあった。名は彩穂 徹(さいほ とる)。
 この前やはり過去を変えたいといって来た、かつての依頼人である。
 「こんな事ってあるんだ・・・・・・」
 光る紙を見ながら驚いている私を見て、顔を少し青くしている私を見て、功さんは心配そうに声をかけてきた。
 「お嬢ちゃん? どうした? そんな驚いた顔をして」
 「いえ、あの・・・・・・」
 私は言おうかどうしようか迷う。それもそうだ。このことは偶然起きてしまった、絶対あってはいけないことだ。言ってしまえば禁忌だ。
 私が過去を変えたせいで依頼した人は死に、その依頼した人が生き残って欲しいと願った人は生き残った。そして今は、その生き残った人が、かつての依頼人である人を一緒にこの時代で生きたいと願っている。なんか怖い。自分にはあまり関係ないなんていうことはわかっている。
 ただ、無限ループになりそうだから。怖いんだ。この人たちの願いを私は弄んでいるような気がしていやなんだ。私はどうすればいいのだろう。そう思いつつ、功さんたちの顔を見ると、私のことを心配そうに見ていた。
 私のことを“心配”してくれているのだろうか?
 「お嬢ちゃん? ほんとに大丈夫か?」
 している感じたなこれは・・・・・・。どうしよ・・・・・・。でも、言わなくちゃいけないよね。
 私は、一応確認を取るために功さんに少し低いトーンでこう言った。
 「私が驚いた事を言っても、驚きませんか?」
 その言葉を聞いた功さんは頷いてくれた。コクリと。何も言わずに。
 「そうですか——。では、あなたが今、助けようとしている人は、この前にここに来ました。あなたを——助けるために。あなたを——生き返らせるために」
