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- ビニール傘に虹が映れば
- 日時: 2016/05/28 23:48
- 名前: 雨久花 (ID: 5YqwrR3X)
- はじめまして、雨久花(みずあおい)と申します。 
 未熟者ですが、一人でも多くの方に楽しんでいただければと思っています◎
 感想、アドバイス、誤字脱字への指摘いつでもお待ちしています! ぜひお気軽に話しかけてくださいませ。
 □登場人物
 水無月文(みなづき あや)
 日下慶悟(ひのした けいご)
 高瀬朝香(たかせ あさか)
 岸井諒助(きしい りょうすけ)
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- Re: ビニール傘に虹が映れば ( No.1 )
- 日時: 2016/05/26 23:32
- 名前: 雨久花 (ID: 5YqwrR3X)
 あーあ……。
 どんよりと重苦しい灰色の雲。いきおいよく叩き付ける雨に顔をしかめた。さっきまではぴかぴかに晴れていたっていうのに、補習を受けていたらこれだもん。蒸し暑いし、まったく嫌になる。
 仕方ないーー、
 「あ、あのっ!」
 雨音を遮り、急に耳をついた声に肩がはねた。とっさに振り返る。
 見慣れない男の子。へらりと気の抜けるような笑顔で立っていた。体格的に先輩だろうか。
 辺りを見回し、誰もいないのを確認。また彼に向き直った。
 「……ハイ」
 自分が怪訝な表情になるのを自覚できるくらいに困惑する。エ、あれ、知り合いではないよね?
 「あのっ」
 「はい」
 「どうぞ!」
 にこにこと元気に口数の少ない彼は、びしっと何かを差し出した。
 反射的に受け取ってしまう。黒い柄の無骨なビニール傘。よくコンビにとかで売っているやつ。
 「傘、ないのかなと思って! 貸してあげる」
 固まる私に、
 「あっ大丈夫。俺、雨に濡れて帰るのが好きだから、お気遣いなく!!」
 言うだけ言うと、どしゃ降りの中、弾丸のごとく飛び出して行ってしまう。声をかける暇もない。あっという間に濡れて色の変わったワイシャツの背を見送るしかなかった。
 ざあざあと雨音が耳に痛い。
 手の中の傘を見る。
 なんというか、すごい罪悪感。
 「折り畳み傘、持ってきてたんだけど、な」
 今日の出番を奪われた折り畳み傘を、スクールバッグの上から、そっと撫でた。
 
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