コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: えっ、今日から私も魔法使い!?【新章突入 ( No.217 )
- 日時: 2015/09/21 21:35
- 名前: 雪兎 (ID: VIeeob9j)
- 第八十七話 <波乱のお見合い編> 
 「お、お見合い〜〜〜!?……むぐっ」
 私が思いっきり大声で叫び、リュネが慌てて私の口を塞ぐ。「……しっ。誰かに聞かれる」
 (い、いや、そんな事言われてもっ)
 「本当、なの。リュネ」「うん……嘘は、ついていない」
 ———こんな話になったのはなぜか。それは、数分前にさかのぼる。
 
 ☆
 リュネに話があると言って呼び出されたのは、金曜日の放課後だった。
 ————ボクの部屋に、フィリア一人で来て
 (なんか、様子変だったよなあ。深刻そうな表情だったし。……まあ、いつもとほとんど変わらないんだけどさ)
 廊下をしばらく歩いて、リュネの部屋の前に立つ。そういえば、初めて来たかも。
 コンコンッと、ノックを二回。「リュネ、私ー。いるー?」
 すると、ドアが音もなくスッと開いた。かと思うと、腕をガッと掴まれて部屋の中に引きずり込まれる。
 「わわあっ、ちょっと!!」
 そしてまた音もなく、ドアが閉まった。
 ☆
 リュネの部屋は、一面真っ白だった。まあなんというか、想像通りだ。
 「……ごめん、誰にも聞かれたくなかった、から」
 「そう、いいよ別に。それはそうと、そんなに重要なことなの?」
 リュネは、うつむいて黙ってしまった。瞳が揺れている。話すのをためらっているようだ。
 「大丈夫だよ。———話してごらん、誰にも言わないから」「……っ」
 リュネは覚悟を決めたように顔を上げると、ぽつりぽつりと話し始めた———
 ☆
 そして、冒頭につながるわけだ。
 「なんでそんないきなり……?もしかして、ずっと黙ってたの?」
 コクリ、とうなずくリュネ。「最近、父様の会社が上手くいってなくて。……セイリャクケッコンて、いうらしい」
 「リュネは……それでいいの?知らない男の人と、一生なんて」
 唇を噛みしめる、同い年の少女。いいはずがない、だって年頃の女の子だもん。
 確かに、この国では15歳から結婚が認められてるけど……
 「……それに。もし結婚したら、学校には来れなくなる」「ええっ!?そんな、みんな絶対悲しむよっ」
 せっかく、打ち解けてきた頃なのに!———やっぱ、納得いかないっ。
 「それなら、私が直接話つけてやるっ」「!!」
 私は勢いよく立ち上がった。リュネが、微かにうるんだ瞳で見上げてくる。———こんな、つらい表情……もう絶対させない!
 そのとき。部屋の外から、何やらささやき声が聞こえてきた。
 『ねえ、ちょっとっ。今の話、聞いた!?本当なのかな……』
 『ううむっ。かよわき少女が助けを求めているとあらば、助けに行くべしエリオット君!』
 『……そんなに気になるんなら、直接聞いて来いよ。ホレ』
 『ええっ!?ちょっと押さないでっ————、』
 「わああああーーーっ!!」
 「きゃあっ。な、何!?」
 ズダンッ!と凄まじい音とともにドアが開いたかと思うと、そこにはうつぶせに倒れこんだリリアン&エリオット君と、片手を前に突き出しているジークの姿があった。
 「あ、あはは。聞かれちゃった、みたい……?」
 唖然として固まっていたリュネットは、はあ、とため息をついた———。
 次回、第八十八話。お楽しみに☆
