コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- ぶりっこ男子
- 日時: 2015/10/29 14:36
- 名前: あんずa-me (ID: 0K0i.3Zc)
- アタシ、ほのか! 可愛い女の子 
 ..ってわけじゃないけど、一応女子..
 そんな私が、アイツと出会ったのは、
 私がある高校に転校した日からだった。
 上目遣い に 甘え上手
 顔だけはクールなのに〜〜
 そんな男子ってありなの!?
 「ぶりっこ男子 」
 宜しくお願いします♪
 初めての投稿です。
 作者 あんずa-me
 アレンジ 村島モモ
- 綺麗な男性... ( No.4 )
- 日時: 2015/10/24 13:55
- 名前: あんずa-me (ID: 94JDCoDX)
- 案の定、遅刻をしてしまったけれど、「桜に見惚れていて……」と 
 呟いた私に先生は、「そうか! そうか! それは仕方ない!」と
 大口を開けて笑いかけてくれた。
 その後、私は先生の後をついて、
 教室の前まで移動する。「大丈夫だ」、さっきと同じ笑顔を浮かべ
 肩を叩いてくれた先生のおかげで、ほんの少し緊張が和いだ私は
 自分でドアを開いた。
 (今日からここで新しい生活がはじまる———っ!)
 これからともに生活していく仲間の顔を見ようと、
 私はドキドキしながら、1人1人に視線を送る。そして——、
 私は1人の男性の顔を見て、視線を止めた。
 それは、さっき私が無断で写真を撮ってしまった彼だった。
- 綺麗な男性... ( No.5 )
- 日時: 2015/10/23 16:36
- 名前: あんずa-me (ID: 94JDCoDX)
 (同じクラスなんだ!)
 さっきと違う意味で、胸が高鳴っていた。
 自己紹介を済ませると、先生が真ん中付近の席を指定してくれた。
 彼と同じ列の、だけど、2つ机を挟んだ席。
 席が近くて自然に会話……、という展開はあまり期待できなさそうだ。
 
 でも、どうにかして話しかけるきっかけを作りたい、早速授業が始まろ
 うとしている中で、私はそんなことばかり考えていた。
 授業中、彼の前の席の男性がこそこそと話しかけている。
 「滝下、あのさ。滝下」、なるほど、彼の名は滝下というらしい。
 
 消しゴムを貸してくれ、ということだったらしく、
 滝下くんが「はい」と消しゴムを手渡す。
 クールな人かと思っていたけれど、優しく笑った顔は、
 どこか人懐こく、無邪気な印象を受けた。消しゴムを貸し、
 再び授業に集中した彼は、熱心に黒板の文字をノートに
 書き留めている。真面目な人でもあるようだ。
- えっ?かなちゃんって..なに? ( No.6 )
- 日時: 2015/10/29 14:41
- 名前: あんずa-me (ID: 0K0i.3Zc)
 放課後。
 結局今日は、転校生を珍しがるクラスメートに囲まれ、
 滝下くんに話しかけるタイミングはつかめなかった。
 まぁ、このクラスでの生活は始まったばかり。
 これから幾度となく話しかけるチャンスはあるだろう。
 私は、今日は諦め、体操服に着替え、部活に向かうことにした。
 1週間はどの部に入るかを検討するため、
 いろいろな部活を見て回っていいと言われている。
 私は前の学校と同じようにこの学校でも陸上部に入るつもりだったが、
 興味本位で、テニス部を見に行くことにした。
 パコーン、パコーン——。
 コートに近づくと気持ちよくラリーを打ち合う音が響いてくる。
 気持ちのいい音だと耳を傾けていると、
 1つだけ、多くの女性が集まっているコートを見つけた。
 そのコートでラリーを続けている1人は、彼だった。
 (あ、やっぱり、人気なんだ! それはそうだよね!)
 うんうん、と1人頷いていると、
 ちょうど滝下くんのスマッシュが決まる。
 パチパチパチ。
 思わず拍手をしたけれど、予想に反してその音は小さく、
 私しか拍手をしなかったと気づく。
 それどころか、数人の女性に睨まれたような……、そんな気がした。
 そこで私は彼女たちが応援していたのが
 彼ではないことをようやく知った。
 彼女たちが応援しているのは、滝下くんではなく、もう1人の対戦相手の方なのだ。
 (ルックス的には、滝下くんの方がよっぽどいいと思うんだけどなぁ〜)
 なんだか居心地の悪くなってしまった私は、陸上部へと急いだ。
 練習に加えてもらい、走り込みの練習をしていると、
 ちょうど走り終えた私の足元にテニスボールが転がってくる。
 もしかして……、そう思い、辺りを見回すと、
 思ったとおり、滝下くんがボールを探してキョロキョロしているのが
 見える。
 「おーーい! こっちこっちー!!」
 滝下くんを呼び止めると、私は彼めがけてボールを投げる。
 1度バウンドしたものの、まっすぐに飛んで行ったボールは
 彼の手の中におさまった。
 「あ。ありがとーう!」
 滝下くんは少し驚いているようにみえる。
 確かに私たちの距離は、女性がバウンド1つでボールを
 飛ばせる距離ではなかったかもしれない。
 そのくらい離れていた。
 女性らしくしなきゃ、って思ってたのに……、
 私は急に恥ずかしくなって、走って練習に戻った。
- えっ?かなちゃんって..なに? ( No.7 )
- 日時: 2015/10/29 14:45
- 名前: あんずa-me (ID: 0K0i.3Zc)
 翌日。
 私が自分の席に着くと、話しかけてきてくれる人がいた。
 ———滝下くんだ。きっと私の目は大きく見開かれていただろう。
 自分の身に何が起きたかわからなかった。
 「おはよう、ほのかちゃん」
 (さ、爽やかすぎる……っ! あなたは王子様ですか!?)
 「あっ! 奏多君。おはよう」
 できるだけ内心を悟られてしまわないように、
 ほかのクラスメートと同じように挨拶を返す。
 たぶん私のドキドキは気づかれていないと思うのだけれど、
 なぜか滝下くんは無言で顔を寄せてくる。
 (ち、近い近い近い近い近いっ!!!!)
 「な、ななななに?」
 滝下くんは、私の耳元で、
 私にしか聞こえないであろう小さな声で囁いた。
 「僕のこと……かなちゃんって……呼んで」
 「…………。かっ。かなちゃん?」
 (私は、緊張しすぎて、どこかにトリップしてしまったんだろうか)
 自分で彼のセリフを繰り返してはみたものの、
 その内容と彼の外見が全く一致せず、私の頭は混乱する。
 からかわれたのかな、だとしたら、怒るべき?
 次に言うべきセリフが思いつかないまま、
 私がただ彼を見つめていると——、
 彼はいつのまにか私から体を離していた。
 「何かあったら遠慮なく僕に頼っていいから」
 そう、優しく微笑みかけてくれる彼に、私は確信した。
 あれはただの聞き間違いだと。
 昼休み。私は、滝下くんを探していた。
 (きっと女の子たちに囲まれて……)
 女の子たちのグループができているところを探すけれど、
 彼は見つからない。
 あんなにイケメンなんだから、きっと誘いがいっぱいで
 大変なことになってると思ったんだけど……。
 教室内をぐるっと見渡すと、
 窓際の方に滝下くんと数人の男子を見かけた。
 「かなちゃん、弁当食おうぜ!」
 —— 聞き間違いだろうか。
 乱暴ないかにも男子っぽい言葉の前に、何かついたような……。
 そう、それは彼を呼ぶものだったはず……。
 「かなちゃんの弁当はいっつもうまいからな、
 今日もなんかくれよな!」
 —— 聞き間違いではなかった。
 滝下くんを囲む男子たちは、はっきりとその言葉を口にした。
 今朝、滝下くんから告げられた言葉がよみがえってくる。
 「僕のこと……かなちゃんって……呼んで」
 (……うん、そっか)
 私だって幼いころ、“ほのりん”なんて呼ばれたことがある。
 高校生になっても小学校のあだ名が定着してしまっている、
 とかそういうオチだろう。
 勝手に1人納得した私は、別の女の子たちからの誘いに応じ、
 教室を後にした。
- イメージ、くるっちゃう!?? ( No.8 )
- 日時: 2015/10/29 14:48
- 名前: あんずa-me (ID: 0K0i.3Zc)
 放課後。
 更衣室まで来てペットボトルを忘れたことに気付いた私は、
 教室へと戻っていた。
 見ると、滝下くんが1人、腕まくりをして、
 廊下側の窓を拭いている。
 この前あれだけ華麗なラリーを魅せただけあって、
 華奢な彼の体型からは一見想像できないくらい、
 彼の腕にはしっかりと筋肉がついている。
 (やっぱり、男の人なんだなぁ……)
 ペットボトルの水を飲むふりをして、彼に見惚れてしまう私。
 彼を好きだという想いは、私の中でだんだんと膨らんでいた。
 チラッと——気付かれないように——
 視線を送っていただけのつもりだったのに、
 どうやら彼は私に気付いたらしい。
 こちらを見てニコッと微笑んでくれた。
 その微笑みに私は思わず俯いてしまう。
 (キラースマイルってこういうのをいうのかなぁ)
 タタタタタタッ———。
 「え」
 ガシッ
 一瞬、何が起きたのかわからない。
 私の方に駆け寄ってくる音がして、
 驚いて顔を上げた私を、誰かが強く抱きしめた——。
 (え、そ、そんな誰かが見てるかもしれないよ……?)
 期待と緊張が入り混じる瞳で滝下くんを見つめた私に、
 彼が告げた一言——。
 「か、か、か、かなちゃん、蜘蛛苦手なのっ!!」
 「は、はぁあああ——————!!?」
 (こ、この人は、今、な、なんて言ったのでしょう……?)
 さっきまで淡い恋心を抱いていた私は、
 目の前に突然押し付けられた現実についていけないでいる。
 頭がフリーズする、というのはきっとこういう状況なんだ。
 「お願いぃ——!! 退治して〜!」
 そんな私の動揺を知ってか知らずか、彼は言葉を続ける。
 彼が震える手で指差す方向をみると、確かにそこには、
 小さな小さなクモがいた。
 とりあえずこのまま放置すると、
 足をジタバタ動かしてきそうなので……、
 私は、すぐ横の掃除用具入れからほうきを取り出し、
 クモの巣ごと、それを取り払ってあげた。
 にっこりと「ありがとう」と笑う滝下くん。
 (あ〜……、そりゃ、女子に人気ないわ……)
 たぶん、私の中で、
 見た目で奏多くんをかっこいい男子と決め付けていたんだろう。
 だからそれが違ってショックだったのかもしれない。
 うん、それだけだ。

