コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- の甼
- 日時: 2017/07/22 00:39
- 名前: Garnet (ID: z/hwH3to)
- Welcome to ???street. 
 Nickname is,"KUMACHI"
 Their birthday...4th May 2016
 To start writing...7th May 2016
 (Contents>>)
 【Citizen】(読み仮名・敬称略。登場人物の括弧内は誕生日)
 ●上総 ほたる (5/4)
 ●氷渡 流星 (12/23)
 ●佐久間 佑樹
 ●柳津 幸枝
 ○ひよこ
 ○てるてる522
 ○亜咲 りん
 ○河童
 ☆ ただいまスレ移動措置に伴い、スレッドをロックしております。 ☆
 ☆ 『 の甼』は、新コメライ板へお引っ越しする予定です。 ☆
 *
 ──────強く、なりたい
- Re: の甼 ( No.21 )
- 日時: 2016/09/22 17:43
- 名前: Garnet (ID: UQpTapvN)
 月美町は、この長い歴史の目で見ると、比較的、水害に見舞われることの多い地域に位置している。特に、河道整正が行われる前の町の北側はカーブの外側にあったため、内側の南地区より、被害が大きくなりやすいものだった。
 しかしそれは、人々が忘れた頃にやってくるもので、100年以上間が空いたりすれば、最悪の場合、記録が残らないこともあるらしい。だからどうしても記憶が侵食されてしまう。そんななかでも、鎌倉時代の大洪水は何故か資料が保管されていたようで、ここに引っ越してきて1年しか経たない僕でも知っているほど有名だ。
 もともとこの地方の土壌はあまりよろしいものではなく、作物によっては、遠くから土をいただいたり、念入りに枯れ葉などを鋤き込んだりして農業を続けてきた。全ては生きるために。そして、前述したとおり、温厚な川に甘えていた部分もあったのだ。土と石で、正しく、護る知識さえあったかどうか怪しいのに、そんなことをしていたらどうなるか。言うまでもない。
 それから時が流れていき、少しずつ、土手も強くはなっていったものの、ご機嫌が優れないことは何度もあった。柳津さんたちの時代だと、その年の一年前に台風で町が冠水したのが、最後だ。
 また何時川が暴れるかもわからない、そんな危険な場所に柳津さんたちを住まわせたということは、彼らの生命が軽く見られることになってしまった、といっても過言では無いのだ。
 ……もう部屋の時計は、世間的にはおやつの時間だということを指し示していた。そして、来客用のものであろうお洒落な和菓子が僕の目の前にもそっと置かれている。そんなにお腹は空いてないし、くれるとしても、スーパーとかで売っている煎餅で構わなかったのに。
 ほたるさんは食べるのかなと思って、ちらりと隣を見やると、嬉しそうに僕のと同じ和菓子を口にしているところだった。
 さっきから二人の様子を見ていて、少しだけ気になっているんだけど、もしかして、ほたるさんは前から柳津さんと一緒に住んでいたわけじゃないのだろうか。どちらかといえば、久しぶりに会ったという感じがする。
 でも、そうなると彼女は一人暮らしをしていたということになるし、義務教育も終えていない状態でそんな環境に置かれて、仮に不登校なのだとすれば、中学の先生や、家の近所の人もかなり気に掛けている筈。それなのに、未だに家族である柳津さんのところへ連絡が来ない(多分)のは不自然だ。でも、不思議な力を持っていたり、いつも綺麗な格好をしているところから、幽霊なんだと考えたこともあるし……って、じゃあ何であの日、血を流していた?今日、触れることが出来た?
 考えれば考えるほど頭がこんがらがってくる。
 本当に、何者なんだろう。
 「あの、柳津さん」
 「何だい?」
 「それから川が整備されるまで、水害は起こりませんでしたか?」
 何度も何度も、同じところをぐるぐる回る。今度こそ、話が終わるまでほたるさんのことを考えるのは止めよう。
 今は柳津さんの話を聞く。今この瞬間、知るべきことは、そっちだから。
 「幸い、あっし達の命が脅かされるようなことは起きんかったわい」
 ただ、問題はそれからだ。
 幼い頃の緑が埋もれて消えた、どこか暗くも見える目を細めて、彼女は続ける。
 「バレたんさ。月美の者達に、あたしらが村を追い出された訳がな」
 出所はわからない。
 その噂はまるで、明陽村の歯車にズレが生じたあのときのように、あっという間に広まった。やはりそれは都合よくねじ曲げられて、彼らの悪意の矛先は、柳津さんに向けられるようになった。瞳の色がほかの人より鮮やかなだけで、まだ少女だった柳津さんを、彼女を守る家族を、ずるいやり方で傷つけるようになった。
 いつの時代にも、嫌がらせやいじめは絶えないんだなと思う。しかもその根は単純な構造なのに腐っていて、ちょっとやそっとの力では葬ることができない。
 ああ、今わかった。柳津さんが、この町の人から嫌われ続けている理由。うっすらと、彼女に陰がかかり続けている理由。佑樹が言っていた彼女の悪口のことも、思い出してしまった。
 ───でもな、この子が笑顔で過ごしていけるんなら、あたしゃ悪者にでも何でもなっちゃるわ
 後世の笑顔を、明陽村を守るために、考えて考えて、悩んで、この道を選んだんだろう。
 「大人になるまでは、どんなことをされようと、何も言わずにひたすら耐えたさ。そうしていたら、そんな私の傍に居たいと、言うてくれる人が現れた。あっしは藤波家を出て、町内に住む彼と結婚し、ふたりの子どもをもうけた。……そのうちの一人が、この子の母親だよ」
 ほたるさんの、お母さん。
 どんな人なんだろう。会えるのなら、一度でもいいから会ってみたい。きっと、ふたりのように心が美しくて、凛とした女性なのだろう。
 「そして、今まで黙っていた分、彼らが一人立ちするまでは周りに愛嬌を振りまき続けた…………この子達に罪は無いんだぞと、固く植え付けるつもりで。その後のことは、知っての通りさ。まあ、それが予想以上に効いてしもうて、今じゃ森に潜む虎を見るように言われてしまっているがな。ハッハッハ」
 「あの、旦那さんにはそのこと、反対されなかったんですか?」
 「そんなことは止めさせられるだろうと踏んで、相談なんてせんかったわ。そんで、最初のうちは何事かと思われて、病院に連れていかれそうにもなったけどねえ」
 「うわぁ」
 彼女にしては珍しく恥ずかしそうに頭を掻きながら「今の図太い自分とは、正反対な性格の人だったから」と言って、半分ごまかすように、またお菓子を勧められてしまった。図太くなんてないのに。
 それに、僕が幸枝さんの旦那さんに似ているから余計気が引けてくるらしい。それを聞いたほたるさんは、そんなことないと笑って流したのだけど、暫く、お菓子を食べる僕のしょうもない顔から目を離してくれなくて、頬に穴でも空くんじゃないかと少しだけ心配だった。
 
 「あのじいさんも、この子が7歳のときの冬、雪に溶けるように逝ってしもうて。そん頃からずっとひとりだ。あぁ、懐かしいねえ」
 やっぱり、亡くなっていたんだ。……他人に対して恋愛感情を抱いたことなんてたぶん無いから、幸枝さんの表情が何故こんなにも優しいのか、温かいのかは、今の僕には難しい問題だ。
 
 「親戚も少なくなってきて、藤波家の人間を忌む人も随分減ってきて……。お祖母ちゃん、何十年振りに、肩の荷が溶けてきたんじゃないかなって、思ってる。それが本当の安らぎなのかは、わからないけど」
 幸枝さんは見事に、大切な人を守ることに成功したといえる。現に明陽から月見に来た僕は、この1年いじめにあうこともなかった。彼女の話を聞くまで、そんな歴史があったと塵ほども気が付かなかった。
 でもそれって、少し捻曲がってはいないだろうか。
 時の流れに風化されることを望み、それが叶いかけている今、未来に生まれた不安は、形はどうであれ、同じ過ちが繰り返されることだ。
 この町の強い絆だって、もとは藤波の人間を、それとなく町民全員で監視していたところから生まれたものなのだろうと言うし。子供たちが悪口で仲良くなったみたいな偽物の繋がりが、時の流れであたかも本物のように固まったんだ。
 もしこの記憶が僕らから蒸発してしまったら、月美と明陽に限らず、日本や、世界のどこかでも、誰かに悲しい思いをさせてしまう。そんなことは起こってほしくない。
 そんなことを考えながらお菓子の包み紙を丁寧に畳んでいたら、ほたるさんが急に立ち上がり、僕の手をとって幸枝さんに言った。
 「ねえ、お祖父ちゃんにお線香、あげてきてもいい?」
- Re: の甼 ( No.22 )
- 日時: 2016/10/01 00:56
- 名前: Garnet (ID: Kot0lCt/)
 僕には、親戚の記憶というものが無い。母方の祖父も祖母も、僕が生まれる前に亡くなったと聞いているし、以前から、おじやおばはいないのかと訊いても誤魔化されることが多かったので、もう自分から訊かなくなった。だから、あの人との結婚を反対されて喧嘩にでもなり、距離をとっているんじゃないだろうかと、勝手な憶測を立てている。
 もともとお母さんは東海の人で、そっちで仕事をしていたときに父と出会い、僕が生まれてから明陽村へ住みかを移した。未熟児だったことも関係しているのか、僕はすぐに体調を崩す子どもで、空気の綺麗なところで育ててあげたいからとお母さんが言ったことから、あそこを選んだらしい。
 「ここなの、仏間」
 冷たい床の廊下をたどり、客間から少し離れたところにある部屋の前に立って、ほたるさんが音も立てずに障子をどかす。慣れた様子の影を追って、僕も仏間へお邪魔した。
 廊下よりも更に暗くて寒い気がするけど、濁る息は見えない。青い畳の匂いが、余計に僕の体温をうばっていく。
 コート、着てくれば良かったかな。
 「正直、7歳のわたしは、お祖父ちゃんが苦手だった」
 マッチを擦って、火が点る。蝋燭がじゅわりととろける匂いに、不思議と安心感があった。
 「何でも見透かされてしまうような気がするの。優しさは、怖い顔の裏返しなんじゃないかと思ってた」
 「じゃあ、あんまり喋ったりは、しなかったの?」
 「うん……恥ずかしい話だけどね」
 彼女のこういう横顔、表情にも、言いようのない既視感がある。軽く唇を噛んで目を細める、こういう微笑み方。
 「もっと、一緒に話してあげればよかった。ひどいことしてごめんね」
 お墓参りも、お仏壇に手を合わせたことも、小説やテレビの中でしか見たことがないから、ただほたるさんに倣って動くしかなくて。それがとても申し訳なく思えて、お線香は2本、香炉に立たせてもらった。
 ふたりであげた線香からは、蒼白い煙が静かに立ち上っていくだけ。
 蝋燭消しを炎の上に被せ後始末をする彼女の隣でりんを鳴らし、人生で初めて仏様に手を合わせた。
 「わたしが今、明陽に行きたいのは、ただ人捜しをするためだけじゃない。流星くんなら解ってくれる?」
 目を閉じ、祈りながら聴く声は、心の中にまっすぐ落ちてくる。さっき河原で感じていた一体感に、また包み込まれていくような気がした。
 ほたるさんに出逢ったこと。佑樹に出逢ったこと。幸枝さんに出逢ったこと。すべては、僕らだけの宿命であり、運命でもある。他のものには代えられない。
 「うん」
 彼女の言葉に頷いたとき、僕は彼女のすべてを……僕が知る限りのすべてのことを……、やっと思い出すことができた。
 そうして目覚めた僕らは、神様に糸で引っ張られたみたいに同時に立ち上がった。
 ◇
 「ぼっちゃん、長い話を聴いてもらったのに悪いんだが、今日はそろそろ家に帰ったほうがいいんでねーかい? 今から"あっち"に行くには、いくらなんでも無理がありすぎる」
 お手洗いから戻ってくると、幸枝さんが壁時計を見やりながら、強い訛りを混じらせて言ってきた。
 何だかんだでもう17時近くだ。長くて短い午後だった。
 「そうですね……」
 疲れてしまったのか、ほたるさんは幸枝さんの着ていた半纏を肩に掛けられ、座布団を寄せ集めた上で猫みたいに丸まって、眠っている。そのかたちに重なるようにお母さんの横たわる姿が見え、後ろめたさが重い塊になって、後頭部を容赦なく殴ってきた。
 現実逃避だとは解っているけれど、そんなことをされたら家に帰りたくなくなってしまう。
 ……だからといってふたりに迷惑を掛けるわけにはいくまい。ありがとうございました、と小声でお礼を伝え、ハンガーに掛けさせていただいていたコートやマフラーを、順に身に付けていく。ポケットの中で携帯の着信ランプが何度も光っていて、軽くめまいがした。遠くで鳴り始めたチャイムに頭痛まで引っ張り出されそうだ。
 「流星」
 「あっハイ」
 そんなときに名前を呼ばれたので、つい顔を歪めてしまう。勘弁してほしい。
 「やっぱり今日は泊まってきな。何かあったんだろ」
 そこで更に追い打ちを掛けられた。吃驚しすぎてマフラーで首を締め上げそうになったじゃないか。何でこう、変なところまでお見通しなんだ。
 勿論慌てて否定するすけど、それさえも無駄な気がしてくる自分が情けない。
 「……じゃあ、お言葉に甘えさせていただきます」
 「よろしい。今晩は頭を冷やしなさいな」
 もう全て諦めて、首を縦に振ることにした。無意識に頭も下がる。眠る彼女をまたひとりにさせてしまうのも忍びないし、孫と仲良くしてくれているせめてものお礼だなんて、あんなに嬉しそうな言われたら。それに、忘れていたけど明日は11月23日、祝日だ。これはもう、頷くしかない。
 幸枝さんは微笑みながら、軽い足取りで部屋を出ていった。たぶん僕の家に電話しにいったんだろう。お母さんのことだから、きっと空っぽになった頭であっさり承諾してしまい、朝になってから慌てて何か買って持ってくると思う。
 電池が切れたらちょっと困るので、携帯電話のロック画面で暗証番号をぱちぱちと叩いて、佑樹のメッセージだけに適当な返事をしてから電源を切った。
 彼には事が済むまで何も知らせない。それが正解であることを願う。
 いつの間にか背中が汗ばんでいたことにひとりで笑いながら、コートをもう一度ハンガーにかけ直した。
 「流星くん、ありがとう」
 「え?」
 ほたるさんの隣に座って幸枝さんが戻ってくるのを待っていよう、と歩き出したら、寝ていると思っていた目の前の彼女の声が、突然聞こえてきた。端から見たら頭がおかしいと思われそうなにやけ顔だっただけに、とても心臓に悪い。
 ほたるさんは丸くなったまま、目蓋だけを開いて、鼻まで半纏を株っていた。無抵抗に垂れた前髪の隙間で、青い瞳がぼんやりと光っている。
 眠ってなどいなかったのか、本当に目覚めたばかりなのかはわからないけど、その瞳はいつもより、弱々しいものだった。ただ目線が外れているからそう見えるだけなのかもしれない。
 「色んなこと、ありがとう」
 「気にしないでよ。全部僕が、好きでやってることだから」
 近くに腰を下ろし、できるだけ声を鎮めて答える。
 沈黙に言葉が吸い込まれていって、やらかしちゃったかなと、またダメージをくらいそうになっていたら、しばらくして彼女が僕の方に目を向け、笑いかけてくれた。
 「流星くんの優しさも本物だ」
 「はい?」
 また意味不明なことを。ここまでくると、女心を読み取れる能力が欲しくなる。佑樹なら持ってるんだろうか、妹さんいるし。
 「んーん、何でもない。あのさ……」
 「なに?」
 「…………わたしのこと、呼び捨てで呼んでくれていいんだよ。今までいちいち、さん付けさせちゃってたね」
 「あ……そうだったっけ?でも"ほたるさん"で慣れちゃったからなあ」
 それならちゃん付けはどうだろう。頭の中でシミュレーションして、そんな案は即却下された。僕がほたるちゃん、なんて呼んだら犯罪臭がしそうで笑えない。
 ほたるさんはほたるさんと呼んでこそほたるさんなのである。…………意味不明じゃないか。
 「そっか。なら、そのままのほうが良い」
 ここは決断するべきなのか迷っていたら、また目を逸らされてしまった。普通に失敗したかもしれない。
 「いつか呼べるようになったら、そうするから……ごめん」
 「ううん、大丈夫だよ。無理はしないで」
 眠気が誘ってきたらしい。睫毛がそっと、濃い影を落としていく。目元だけしか見えないけど、優しい、やすらかな寝顔だなと思う。
 自分の座布団の上に移動して、冷めたお茶を一気に飲み干しながら不意に、時計を見ると、もうあのチャイムから20分は経っていた。この家は、時間の流れ方が独特だ。
 「ほたるさん、君を呼び捨てられないのには、もうひとつ、別のワケがあるんだ」
 眠ってしまったんだから、届くはずがないのに。
 ぽろり、囁くように問いかけていた。
 「その名前、偽物なんだよね」
 直後、廊下から呼んでくる声がやけに大きく聞こえて、僕は逃げ出すみたいに部屋を飛び出した。
 ─────そういえば、君は何度か、僕を呼び捨ててくれてたっけ。
 第2章 『グリーンアイズ・ガール』 完
- Re: の甼 ( No.23 )
- 日時: 2016/10/10 23:34
- 名前: Garnet (ID: d5jr2q5v)
- ☆『 の甼』第2章完結まで 主な登場人物についてのまとめ☆ 
 wikipedia並みに細かく書くわけではありませんが、以下、本作品の盛大なネタバレが存分に書かれているため、
 □まだ本作を読んでおらず、ばらしもしてほしくない方
 □まだ第2章完結まで読み終わっていない方
 など、ネタバレによって支障をきたす恐れのある場合には閲覧をお控えいただきますよう宜しくお願い致します。
 また、現時点で本作中に具体的な表現がなく(これからも表記が無い可能性もあり)、わたし自身が勝手に書き加えたおまけがちょくちょく出てきます。
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 ・基本情報
 明陽町
 主人公が以前住んでいた場所。大昔から山村であった。
 10年前に近隣の村と合併し、村から町になる。
 月美町
 主人公が現在住んでいる場所。
 明陽町を流れる川の下流に位置している。
 町内は川を基準として北区と南区で分かれているが、両区同士の絆は昔から固い。河原の整備もきちんとされており、大きな橋も掛かっているため(自動車通行可の橋と自転車含む歩行者通行可の橋があるが、主人公たちはおもに歩行者用の橋を使っている)、小中学校の学区制定は、北区南区問わずにされていることが多い。
 ただ、昔、北区にあった田畑をはらって住宅地にした影響で、若干、南区は昔からの家系が多く高齢化気味で、北区は町外からやってきた人が多い傾向にある。
 ・登場人物
 ★ 氷渡流星 (ひど りゅうせい)
 中学二年生。弱虫で内気だけど、真面目で思いやりのある男の子。
 月美町北区のアパートに住んでいる。学校も北区内。
 中学一年の二学期の間まではずっと明陽町に住んでいたが、父のDVによる両親の離婚を期に母親と月美町へ移住。こちらの中学には、三学期から通いだす形で転校した。部活には入っていない。
 父親似ではっきりとした顔立ちだが、本人は気にしていない。
 読書が趣味。同年代の男子より家事(特に食品やお金の扱い)が得意である。
 穏やかな話し方のわりには用いる言葉にトゲがあることもあり、固いリアリストのようだが、言い伝えや伝説は、大人の都合よくねじ曲げられたものや嘘臭いものでなければ素直に信じる人。
 彼曰く、明陽での過去を忘れたくて今のような人間になったらしい。作中でも、体育の持久走が嫌いだと臭わせる台詞(文)があったが、後に"ほんとうの本当は、走るのだって大好きだった。"と自分に語りかけている。
 ★ 佐久間佑樹 (さくま ゆうき)
 流星のクラスメートでもあり、彼の唯一の親友でもある男の子。基本的に表裏が無く、柔軟な性格。時折芽を出すどうしようもない幼さに悩むことがある。
 南区在住。
 部活には入っておらず、放課後、流星と帰ったあとは家で妹の面倒を見ていることが多い。
 勉強はかなり嫌いだが、勉強しようとしない自分に多少の罪悪感はあるので、テスト数日前になってから喚き出すタイプ。
 男子にしては珍しく、女子相手の口喧嘩に強い。
 作者の謎の意向で、今まで苗字を作中に出しませんでした。
 ★ 上総ほたる (かずさ ---)
 ある日を境に、夕方になると必ず流星たちの通学路である土手に現れるようになった、謎多き女の子。青い瞳が印象的。
 彼らと同い年であるが、いつも私服姿。学校には"行かない"のではなく"行けない"らしい。
 シロツメクサの冠を数分で作りあげてしまえるという手先の器用さは、流星にとってのほたるの第一印象でもある。
 純粋な言葉遣いに相応しく、心も美しい。
 出会ったばかりの頃、流星に、いっしょに人捜しをしてほしい、と頼み込むものの、その人が誰なのかも、どこにいるのかもわからないという無茶なお願いをしていた。それによって、彼には手に負えないと判断され警察へ連れていかれそうになったこともあるが、最近は目的を思い出したようで、彼を明陽へと導いているようにも見える。
 実は幸枝の孫。最近は彼女の家に身を置いている。
 流星によると"上総ほたる"は偽名らしい……?
 ★ 柳津幸枝 (やなぎつ さちえ)
 ほたるの母方の祖母。
 北区の隅に大きく構えるお屋敷に、ひとりで暮らしている。
 旧姓は藤波。
 もともとは明陽村のノロ(いうなれば巫女のような血統)のひとりだったが、生まれ持った緑色の目や、彼女が生まれてから村に災厄がしがみつくようになったことなどから、自分から出ていくという形で藤波の家系の者とともに追い出される。
 ほかの明陽の者に罪はない、ということを少しでも解らせるため、自分の子どもが巣立つまでは周囲に愛嬌を振り撒き、その後は町民に冷たくあたるなどして自らが悪者になった。攻撃の対象を自分だけに絞るためである。
 その頃の名残で、今もごく一部の月美町民、特に昔からの家の人には嫌われている。
 歳の割りに動きは軽やかで若々しい。訛りがあるような話し方が特徴的。
 加齢とともに幼い頃の目の緑色はほとんど消えた。
 夫(つまりほたるの祖父)は、ほたるが7歳のときの冬に亡くなった。
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 ここまで読んでくださった方がいらっしゃったら、とても嬉しいです。
 こんにちは。『 の甼』作者、Garnetと申します。
 今回は親記事にきちんと挨拶文を載せておらず、このまま完結まで特に何もなければ、折角カキコに連載しても作者の顔が全く見えないじゃないかという結論に至りまして、このような形をとらせていただきました。
 長ったらしい1ページのなかへ更に長文レスを投げつけるようなものですから、次回以降の更新分に邪魔でしたら、飛ばしてくださって構いません。
 さて、第二章完結まで進行しましたが、いかがでしたか?
 お好みの登場人物や場面が、少しでも貴方様の心に残ることができたのなら光栄です。
 このお話は、最低でも5章はある予定です。なかば『COSMOS』のスランプから脱却したい勢いで始めたようなものですが、よくここまで来れたものですよね(笑) 自分でも驚くと同時に、軽く燃え尽きました。(果ててはいませんのでご安心を)
 あと1週間ほど休憩をいただいて、その間に他のスレッド分を更新し、それから新章に突入いたします。『COSMOS』は勿論のこと、その外伝である『メロディの無い歌を』(旧名:シリアス・ダーク板 にて連載)や、ほぼ放置している気まぐれスレッドの『春の風』、『あい。【短篇集】』などです。
 ……最近筆がよく進むのは、秋だからでしょうか。芸術の秋だとか読書の秋だとかいいますから、創作の秋、というのもありかもしれません。とはいえわたしは、ほぼ毎日のように創作活動をしていますが。(笑)
 次回からは、上総ほたる視点で進んでいきますよ。ほたるを好きな人に喜んでもらえたらいいなあ。
 参照数の伸び具合から察するに、きっと本作の読者様は、Garnetの文章を、ちょろっとでも、以前から知っている方の割合が多いのかなと推測しております。仲間内でも、『 の甼』を読んでくださっているカキコユーザーは、比較的長い付き合いである人が多いですね。
 そう考えると、こんなわたしでも成長できているかなと不安半分嬉しさ半分、某ドラマの、電車を乗り継いでは冒険に夢中な幼稚園児のような心境。
 今作では、感情に左右されて文章がぐらつくことは無かったので、そこは自分に拍手です。逆にわたしの暴走を見て笑いたい方は、COSMOSの初期か、別名義のファジー板の作品をご覧ください(爆発)
 物語の書き方だけじゃなく、相変わらず長いですがこういう文章を書くことにも慣れてきたようで調子に乗りそうですので、以上をもちまして今回の挨拶と致します。
 お付き合いいただきまして、まことにありがとうございました。
 『 の甼』をこれからもどうぞよろしくお願いします。
 10th,October,2016 Garnet
 *
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 Twitterの創作専用アカウントのほうに、このレスのちょっとしたおまけを投稿します。興味のある方は是非そちらにも遊びに来てください(笑)
 本スレッドへのコメントも、絶賛募集中!(汗)
 
 
 
 
- Re: の甼 ( No.24 )
- 日時: 2016/10/12 21:40
- 名前: てるてる522 ◆9dE6w2yW3o (ID: VNP3BWQA)
- 参照: http://From iPad@
- こんばんは……お久しぶりですm(*_ _)m 
 Garnetの新作だー!って、ずっと思ってて「時間ある時に読んでコメントしよう」って思っていたら、全然時間出来なくて凄い時間が過ぎてしまいました(((;°▽°))
 だから今も、つい最近少し余裕が出来てきてまた浮上し始めた感じであまり読めてないのが現状です(´×ω×`)
 少しずつでも読んで、Garnetの素敵な文章に……なんというか浸りたいなぁと思ってます!
 やっぱり本当に、去年とかまでは今では信じられないくらいの勢いで小説とかグダッグダでも書いてたのが本当に信じられない……(((;°▽°))
 今は、グダグダ且つ更新ナメクジだし……(´・ω・`)
 あまり時間を上手く使えなくて、ついつい他のこととかに時間費やして放置してる自分がいたなぁ……。
 なんとなくカキコから遠ざかっていくような感じだったけれど、やっぱり色んな人の小説読んでると書きたいなぁ、って思って←
 少しずつ、自分の今の出来るペースで小説書き始めてる最中←
 知ってる人とかもどんどん減ってきて、寂しくなるばかりだけど……大先輩で尊敬するGarnetがいてくれて本当に良かったな、って思ってます!(*´▽`*)
 本当にまたコメントする、とか言っていつ出来るかは分からないけど小説は読むし心から応援してます!
 頑張ってね!
 byてるてる522
- Re: の甼 ( No.25 )
- 日時: 2016/10/15 01:38
- 名前: Garnet (ID: qXcl.o9e)
 >てるりん様
 (もうこのネタは仲いい人へのお決まりにしようかな)
 コメントありがとう。久しぶり!
 がーねっつの新作ですよ〜( ^ω^ )
 それあるあるですよ〜( ^ω^ ) (わたしの場合それで書き専だと思われているのが問題)
 部活大変だもんね。
 何かすごい偏見かもしれないけど、どこの学校でもバスケ部の子はいつも時間に追われてるイメージある(苦笑)
 中学の頃、ある運動部の子を端から見ててさ、そんなに走りつづけていたら、西も東もわからない砂漠に迷いこんで野垂れ死んでしまわないのだろうかとか、ぼうっと思ってたことがあるよ。(失礼) あんまり部活一筋なのも、もしある日突然、ぽっかりとそこが欠けてしまったときに……ってね。世間はそういう子供を誉め称えるものだけど、ほかに二筋三筋くらいあったっていいじゃないかって思うわ、勝手に変な言葉作り出してるけどW
 母校のバスケ部、県大会とかでてるりんの学校と当たったら嬉しいな〜【スヤァの顔文字】
 中学となると、通学中や休み時間にさあ執筆!っていうのができないから辛いよなあ。わかる、とてもわかる。
 わたしは時間がなかったとき、寝る前に少しとか起きてすぐ少しだけとか決めて、スマホのメモ帳に一行だけでも書いてたりした覚えがある。物語の構成とかは、家で宿題をしながらでも、お風呂に入りながらでも、学校で自習時間に課題を片付けながらでも、脳内同時進行で組み立てるとか。 でもこれは慣れが必要だろうから、他の人はそうかんたんにいかないかもしれないっていうのと、もし既にやってたら申し訳なっしん()
 てるりんの文がぐだぐだかどうかはわたしには何とも言えないことだけど、小説を書くことが好きで、強く作家を志望しているとかいうわけでもなくて、この場所が楽しいと思えているのなら、今はそういうところで焦る必要は全く無いと思ってるよ。
 あと、これは個人的な見解なんだけども、最近ネットで語彙力語彙力って言い出すの、わたしは正直、表現力が問題だと思うんだよね。語彙力って単語がゲシュタルト崩壊してきてちょっと殴りたくなる……。よっ、意識低い職人芸、とか言わない()
 背伸びして、自分も周りも意味のわかっていない言葉を使うだとかただ単に人の真似をするだけだとか、そんな見掛けだけの繕いなんて長くは続かないし余計成長しない。何でこうハード面ばっか……ああもう、言い出したら止まらないから止めます! わたしが偉そうに言えることでもありませんでした!
 コメント返信欄を荒らしてどうする、これに対する反論レスでスレッドが荒れたらどうする! もう既にわたしが荒野にしちゃったけどね!!あはは!(壊)
 ※念のために
 ※以上は一庶民の勝手な憶測ですので、反論等にはご対応いたしかねます点を予めご了承ください
 わかる、他の人のスレッド読んでると、創作意欲わいたりするよね〜(ФωФ)
 さあ、じゅんあいらいたぁのんびりふっかt((叩
 素敵な文章、だなんて。大先輩で尊敬するGarnet、だなんて。きみの言葉で、自分の寿命が伸びていくのが目に見えるようにわかる! ありがとうてるりん!
 定期的に褒めると長持ちしますって、トリ○ツかって感じだけど、今その意味がわかったww
 ほんとにてるりんは褒めるのがうまいんだから……でも何もあげられないぞ。TwitterとLINEを教えるくらいしかできないぞ(傍迷惑)
 わたしもてるりんと、こうして交流を続けていられることがとても嬉しいです。
 またそっちにもお邪魔するね!
 これからも創作生活を続けて、頑張っていきます(ФωФ)b
 是非いつか、この作品も読んでくだしあ……←
 応援ありがとう!
 See ya later!
 
 
 

