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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 芹沢くんの秘密。 ( No.2 )
- 日時: 2015/08/19 01:08
- 名前: 七海** (ID: bF4j0KZ2)
- 参照: http://www.no-ichigo.jp/profile/show/member_id/792498?
 5月の空が、オレンジ色に染まってる。
 外からは、運動部員のかけ声や、カラスの鳴き声がきこえてくる。
 キラキラとした光が差し込む人のいない廊下を、わたしは足取り軽く歩いていた。
 向かう先は、図書室。
 カラカラと音を立てて、図書室の少しさびれた木製の引き戸をあける。
 今はまだ早いからか、まばらに人がいる。
 わたしはとりあえずカウンターに座って、当番の仕事にとりかかることにした。
 ちら、と左端の奥の、読書スペースをみてみる。
 (……いた、)
 ちょっと遠いけど、「芹沢くん」の姿が見えた。
 漆黒の髪で、ちょっと猫っ毛。
 下を向いてるから、前髪が被って顔は見えないけれど。
 金曜日の放課後、彼はいつもそこで本を読んでいる。
 台風だとか、非常時のとき以外はたいていいる。
 そして、図書室閉館時間の10分前くらいになると、静かに出ていく。
 それが「芹沢くん」。
 本の貸出のときに、学生証をみて初めてその名前を知った。
 下の名前は読めなかった。
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