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Re: 他愛もない話ですが、 ( No.3 )
日時: 2015/06/30 22:35
名前: 名無したろう (ID: 1SpkEq/F)

唐突から始まる物語
テーマは「慣用句」


喘ぎ声にも似た声で息をはきつづけ、狭い路地を駆けていった。
残像が一つ目に残り、病気になりそうな日差しの下で縄目の恥を受けたもの同士の戦いは加速する。
徐々に増える援軍、好戦的で挑発的な青い瞳は真っ赤に染まった。

「敗色濃厚ってね。」

白眼視な目付きで俺は奴を睨み付けた。吐き気を催すこの空気、鉄分の香りが傷を疼かせ、血を騒がせる。鮮血に染まる、拳銃に這わせた細長い指と俺が渡した指輪。
かつては手元不如意だった俺だが、初めての仕事で得た金を使い奴にプレゼントした代物だ。

「…………」
「おい……黙ってると、お前でも殺すぞ…」

光陰矢のごとし、何年経ってしまったのかは残酷すぎて思い出せやしない。しかしお前は美しい。変わらない。時間が経ったのかわからないほどだ。

「なあ……苦肉の策で、俺らを、いや、俺を出し抜こうなんざ……おお早まるんじゃねー。」
「……………」
「俺が言いたいのは、つまり、その……やり直せねーか?俺達、」

お前は首を傾げた。

「こんな血気盛んな生活、やめて、俺のところにこねーか?」

お前は無視をする。耳に入らないようだ。
地面を蹴り、高く舞い上がった。引き金を引き弾丸は目を背けたくなるような有り様の俺の腹に当たった。

「…………許して……くれ…よ」

お前の飛んだ残像が残る場所からは無数の弾丸。つまり挟み撃ちにされることを分かっていて避けたのだろうか。
どちらにしろ、自分は死んでしまった。

「……………」

意識を手放す数秒前に、生暖かいものが額の上にこぼれた。

きっと気のせいだ。