コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

マラソン少年 ( No.9 )
日時: 2015/10/22 18:55
名前: キャッツアイ (ID: Z5cmkimI)



フリーダへ行くと部活の生徒達が多くいた。もう少し遅い時間じゃないと死のむ込むのは無理ね、部活の生徒がかえるのを待ちましょう、と華が言った。

都はそうだね、とうなづいた。
都は泥棒のほかにも、企業のマラソン選手をコーチする仕事をしていた。
しぜんと、都は運動場を見てしまった。


運動場のトラックを延々と走り続ける一人の少年がいた。その走り方はとてもきれいだった。
遠目にはまるで、かもしかの様だった。

彼は他の生徒が帰ってからもずっと走っていた。都は彼が気になった。

無駄な脂肪が一切ない体つき、走りに必要な鋼のような筋肉、あんなに真剣にトレーニングをしているのなら、プロの長距離選手を目指しているのは明らかだ.

都は彼をずっと見ていたかった。

スピードとタイムから、高校のなかでもレベルの高い選手だろう、それにしても、さっきから全然休まない。

いつまで走り続けるのだろう日が落ちて、他の生徒が帰り始めた頃に彼はやっと練習を終わることにしたようだ。

「すごいね、あのカモシカ君。」華も言った。

「うん。かれ、将来有望だ。」

他の生徒には目もくれず、都ははしるカモシカ君をみているので、華はしびれを切らしていった。
「都、私たち、学校に忍びこむんだよ。」
都はやっと、本来の目的を思い出したようだった。
「さて、いきますか 」



二人はトウチョウキをしかけ、学校中を調査して回った。あやしいのは職員室と理事長室。職員はまだ校内に残っているから、職員室は調べられない。
理事長室にはかぎが掛かっていた。華と都はその鍵を調査した。
「大丈夫、簡単にピッキングできる、旧式のカギだよ。」

調査を終え、2人は帰ろうとしたが。校内に生徒は一人もいない。
日は完全に落ちて、辺りは真っ暗。

それなのに、彼はまだ残っていた。カモシカ君は1人で、ストレッチをしていた

「都、ちょっとやめなよ。」

華が止めるのも聞かずに、都は練習を終えた少年の方へ歩いていった。

驚いた少年はしかし、都のスポーツマンらしい体つきと、走り込まれたシューズをみて、人懐こい笑顔でにっこりした。

「お姉さんたち、もしかして何処かの高校のコーチ?うちの高校に練習試合の申し込み??うちの陸上部、いろんなひとがよくるんだよね。」

都は話を合わせた。
「そうよ。君はキャプテンかな?さっきからずっと走ってたよね。いつもこんな遅くまでれんしゅうするの?」

「そうだよ」少年は答えた。

「 おれ勉強もできないし家族は金持ちじゃないんだ。

でも走りは得意でさ。スポーツ推薦で奨学金をもらってるんだよ。だから、走りで
結果を出さないとこの私学にはいられない。がんばらなくちゃね。」

「えらいんだね。」

にこにこと少年は話した。おしゃべり好きで人懐っこい性格の子だった。

「おねえさんも相当走り込んでる人でしょ?脚の筋肉を見ればわかるよ。
俺の走り、どうだった??早くなるアドバイスとかくれないの?」

都も嬉しそうに話す。

「君くらいに走れる人に、一目でアドバイスするのはなかなか難しいよ。とてもいい走りだったよ。」

「長距離選手のうちの部活ではおれトップなんだ。でも、他の高校には 俺より早い奴はいっぱいいる

そういう才能あるやつらに追いつくには、
沢山走るしかないんだ。一日の時間が足りないくらいだよ。

おれ、絶対にプロの選手になって陸上界のスターになるんだ!

キラキラした目で語る少年は、誰もが応援したくなるような明るさを持っていた。

「じゃあ俺帰るからね!また練習見に来てね」

少年はスポーツバッグを肩にせおって、家へ帰って行った。もう9時を回っていた。その後姿には、さっきまでの全力疾走の疲れは少しも感じられなかった・