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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: Gimmick Game ~僕たちの歯車を狂わせたのは君~ ( No.63 )
- 日時: 2015/10/21 17:33
- 名前: 逢逶 (ID: GlabL33E)
episode10
title リスク
大和side
蓮と会ってから約二時間。
KISSTILLの楽屋には沈黙が流れていた。
俺が蓮と付き合っていることを報告したからである。
みんなが蓮を好きなのは共通認識で。
だからショックなんだと思う。
「…俺、蓮ちゃん諦めないから」
蒼は涙をためてゆっくり噛み締めながら言った。
「渡さないから」
俺ははっきりと言い切った。
無駄な期待持たれても困る。
だって蓮は俺のことが好きなんだから。
そう考えると少しにやけてしまう。
「…何、笑ってんの」
京也は明らかに怒っている。
「どうせさっき会って来たんでしょ」
遼介の口調はいつもと違って冷たい。
目も合わせずテーブルの上でボールペンを転がす。
「…そうだけど」
「写真撮られたらどう責任取るわけ?」
司が俺を睨みつける。
「撮られても良いと思ってる。何があっても俺のだし」
「ふーん、蓮のこと少しは考えなさいよ」
京也が怒りのこもったいつもより低い声で言う。
「…どういうこと?」
「写真載ったらすぐに蓮の家が特定されて、俺たちの過激なファンに狙われるだろ」
そうか…。
何も考えていなかった。
蓮が傷つくのはだめだ。
でも、
「そんなことになったら俺の家で一緒に暮らすよ。セキュリティ良いし。安心だろ?」
誰も返事はしなかった。
俺は肯定と受け取った。
今日の収録は盛り上がったけど
俺はあまり話せなかった。
そんな俺の様子に気付いて糸村が心配そうに声をかけて来たけど、大丈夫、とそう言った。
糸村も蓮のこと好きなのかな。
余計なことをつい考えてしまい俺はぎゅっと目を閉じた。
目を開けると視界がぼやけていた。
…俺の心のようだと思った。
結局気持ちは濁っていたけど蓮を想うと明るくなれた。
俺の中の蓮の存在は確実に大きくなっていた。
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