コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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  同居人は、旦那様。  
日時: 2015/09/16 16:44
名前: 悠。 (ID: 0a987INq)








皆様、初めまして*
以前は違うサイトで小説を執筆させて頂いてました、悠。と申します。

今回こちらの方で活動させて頂くのは初めてで、とても緊張してます(
精一杯頑張らせて頂きますので、宜しくお願いしますっ*



*、ご注意

誠に勝手ながら、荒らしや成りすましは勿論の事パクリなども禁止させて頂きますがご理解下さい。

また、主は呼び捨てやタメOKですので気軽に声を掛けて下さいね!
更新はスローペースですが、温かく見てやって下さい(*´`*)


*、あらすじ

世界的に有名な会社のお嬢様と、これまた有名会社の跡取り息子。
そんな二人に訪れた、「政略結婚」という名の奇跡——!?



私なりに頑張るので、宜しくお願いします!
アドバイスなど、随時受付中なので是非どうぞ。



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Re:   同居人は、旦那様。   ( No.31 )
日時: 2015/09/23 15:38
名前: 悠。 (ID: 0a987INq)






*、お知らせ




この度、参照が400突破致しました……!
何だかもう夢みたいです(*^_^*)

いつもこうやって感謝する事しかできなくて、申し訳ありません((汗
本編がもう少し進んだら、番外編などもしてみたいです!

これからも頑張るので、「同居人は、旦那様。」を宜しくお願い致します*




Re:   同居人は、旦那様。   ( No.32 )
日時: 2015/09/24 16:27
名前: 悠。 (ID: 0a987INq)



【 第十四話 】






それから、翼さんはまた辛そうに顔を歪めた。
彼の視線は相変わらず、机を向いたままで心が痛くなる。



 「俺たちは結婚して、ある日古都の家に挨拶しに行ったんだ」

 「古都さんの、家に?」

 「そしたら古都の親父、俺の家よりいい資産家見つけたんだ」

 「え——」




翼さんの話によると、古都さんのお父さんが朝日奈家よりも裕福な家を見つけて、その一人息子を新しい旦那候補にしたそうだ。

古都さんは断ってくれると思っていたけれど、古都さんは承諾し、その資産家の息子さんと結婚したそうだ。

そのまま断りもなく二人は別れてしまい、今に至ると話してくれた。
翼さんによると古都さんは「お金目当て」で自分と結婚したらしい。

私はそんな事思わないけれど、二人には大きな問題なのだろう。
何だか、私と理人のようでまた胸が苦しくなった。




 「……辛い事、話してくれてありがとうございました」

 「え、」

 「こんな事、話しにくいですよね」

 「茶娘って、意外に金持ちっぽくないよな」




(これは……褒められてるのか?)




私に見せた事のない微笑みを見せて、綺麗な八重歯が覗いた。
何だかそれだけで胸が鳴って、理人の事を忘れられた。

私も彼に向かって微笑みを返して、台所へ洗いものをしに立った。
その時、私の携帯が鳴ってぶるぶると震えた。

翼さんは気づいてなかったみたいだけど、そこには文字が表示される。
無機質な形で、「古都さん」と。

白い携帯ケースで覆われた携帯を片手に取り、寝室へと入る。
奥から私を呼ぶ声が聞こえたけれど、私には届いていなかった。




 「明日、空岬(そらみさき)公園で会いたいです、話があります……_________?」




メールに当てられた文章を読むと、何だか嫌な予感がした。
古都さんが私に会いたいだなんて少し、心が曇って視界が霞む。

体の色んな所を這いまわる、色々な心の塊。
悔しいって思いとか、恐いって思いとか、苦しいって思いとか。

脳裏まで染みつくように吸い付いてくるこの感情が、苦しくて、恐い。
私は暫く、携帯を握り締めながらその場にしゃがみ込んでいた。

奥から呼ばれる私の名前は、全く届く事はなくて。
耳から耳へすり抜けていくままで、体は震えるばかりで。




頭をぐるぐる回るこの気持ちは、まだ分からない。


Re:   同居人は、旦那様。   ( No.33 )
日時: 2015/09/24 20:40
名前: 悠。 (ID: 0a987INq)



【 第十五話 】






翼さんは疲れたのか、あの後すぐに眠ってしまった。
私は彼の背中に薄い掛布団を掛けて、ソファに腰掛けた。

すうすうと聞こえる寝息と、風の音。
時刻は夜中の一時を指していて、私は立ち上がって窓を開けた。



 「……綺麗、だなあ___________」



無数に並んだ星に、紺色の粗削りの夜空。
窓に映る、後ろで眠っている翼さんの髪が、風に乗って揺れる。

肌寒くなって、灰色のパーカを羽織ってフードを被る。
夜風に揺られて降ってきた流星は、きらきらと眩しく煌めいて。

胸の中で、何かが絡まって解けて。
あの人もこの夜空を見てたらな、なんて願い。





またこの空に、祈ろう。
言えなかった「好き」の言葉も全て、この星空へ。

その日は眠りにつけなくて、気がつくと夜が明けていた。
まだ眠る翼さんを横目で見て、私は朝食作りを始めた。



 「……はよ」

 「あ、起きました? もうすぐ朝ご飯できます」

 「ん、」



軽く頷いた翼さんの前に朝食を置いて、私も席に着いた。
二人で食べ始めると、私の頭にある事が浮かんだ。



(古都さんと会う事、言うべきかな——)



もしかしたら傷ついてしまうかも知れない、そう思うと言えなかった。
何か聞かれても適当に誤魔化してその場を立ち、着替えをした。

制服に着替え終わるとスクールバッグを肩に掛けて、玄関へと向かう。
茶色のローファーに脚を通して、扉を手で押した。

歯ブラシを口に咥えた翼さんが此方を不思議そうに見ている。
私には見えていない振りをして、アパートを後にした。

相変わらず、周りからの視線は酷く冷たいものだけれど。
目の前を通り過ぎた甘栗色の髪を見つけて、私は思わず袖を引いた。




 「……おはよっ、理人」

 「——茉、彩……」




理人は私の方を見て、何かを口籠った。
でもそのまま私の隣に立って、また歩き出した。

今まで通りだ、そう思うとどうしようもなく頬が緩んで。
なのに、私はまだ気づいていなかった。

この゛微笑み ゛が偽りだという事に。
いつでも私に向けられていたこの笑顔が、全部、そう全部。








貴方が吐いた、嘘だという事に。
甘栗色の髪を靡かせる秋の風が、通学路を吹き抜けて。

その一瞬だけの間。
理人の瞳から零れ落ちた涙の理由(わけ)を、知らなかった。




 「今日は何の授業? 芸能科は」

 「芸能用語とかだよ、ははっ」




秋の空へ向かって笑いあったあの言葉も全て。
貴方のこころを埋めている存在自体、全部が全部。

嘘っていう、遊びだったんだね。
あの日私に向けた微笑みも、涙も哀しそうな顔もその言葉も。





(大好き、だなあ……____________)






この言葉が、反対になってしまうなんて。
この言葉が、無効になってしまうなんて。


今は、知る由もなかった。

Re:   同居人は、旦那様。   ( No.34 )
日時: 2015/09/25 21:37
名前: 悠。 (ID: 0a987INq)






*、お知らせ





この度、参照が500突破致しました……!
もう嬉し過ぎるのと感謝で顔がひどい事になっています((汗

番外編もやりたいんですけど、何せ更新が亀さん以下ですので←
また本編が進み次第、すぐに書かせて頂きますね(*^_^*)

いつも「同居人は、旦那様。」の応援本当にありがとうございます!
作者一同、これからも精一杯頑張らせて頂きますね*




Re:   同居人は、旦那様。   ( No.35 )
日時: 2015/09/25 22:20
名前: 悠。 (ID: 0a987INq)



【 第十六話 】






学校に着くと、私たちを取り囲むのは理人のギャラリー。
私を思い切り睨み付ける子もいたりして、思わず俯いてしまった。

そんな私を思うように、理人が私の手を強く引いた。
驚いて下げた顔を上げると、そこにははにかんでいる理人がいた。

二人に吹いてきた秋風は、髪や制服を揺らしていって。
心の中も溶かすように、暖かく、でも肌寒い風が通り過ぎていった。



(この想いが、汚れてるとしても——)




例えこの想いが、汚れていても。
どんな理由(わけ)を付けても私は構わない。

貴方が傷つこうとも、私が傷つこうとも。
この手は、もう絶対に離さないって決めたから。

隣にいるのに、「恋」じゃなきゃいけないなんてルールはないから。
最低だなんて言われても、どうやっても貴方の存在が欲しいから。





 「今日、一緒に帰るよな」

 「うん、靴箱のとこで待ってるね」





そう約束を交わして、私たちは別々の校舎へと進んでいく。
ふと振り返ると、見えなくなるまで手を振っていてくれる彼がいて。

胸がきゅんと鳴って、でも哀しくて。
どんな事をされたって、これが「恋」だとは思えなくて。

こんな思いで彼の隣にいる事が、どれだけ狡(ずる)いか分かってる。
でもどんな方法を使ってでも、この優しさが愛おしくて堪らなくて。

右手を理人に振った後、その手を右手で抑え込んだ。
震えだした肩の揺れが収まるまで、ただそこに立っていた。

私が抱えてきた苦しみとか、恐い思いとかを貰ってくれる人だから。
その優しさにはまり込んでいく私がいるから、怖いんだ。





別のかたちの゛愛 ゛になってしまいそうで。






 「なんだ、あんたまた来てたの——」

 「朝からいい声ね、黛さん? ふふっ」





リーダー格の女子の横を通り過ぎて、椅子に腰掛けた。
後ろから、大きな舌打ちが聞こえてくる。

そんな嫌な音でさえも、今の私には聞こえない音の一つであって。
噂の声も、悪口も全部。






今日の授業が全て終わり、私は靴箱へと走っていた。
でもいくら待っても、理人は来なかった。

心配になって、急いで教室の階段を上がっていく。
でも芸能科の教室の前で声がして、びっくりして中を覗き込んだ。

そこにいたのは、理人ともう一人の経済科の生徒だった。
確か両親が大きなゲーム会社の社長で、息子の生徒はその利益に関する経済を学んでいるらしい。

顔もかなり格好よくて、確か私たちよりも二年先輩だった気がする。
そんな先輩が、なぜここにいるのだろうか。




 「先輩、茉彩に告白するんすか?」

 「ああ、そうだが」





理人の顔が、意地悪に歪んだ。
瞳(め)も夕日色に滲んで、爛々と光る。

虫唾が走り、背筋が固まりその場から動けなくなる。








 「俺のもの、なんですけどねえ」

 「く、」

 「ああ、痛いですか? そりゃ殴ってますもん」

 「お前、な、にして——」








足が、動かない。
まるで人形のように、手足が硬直する。

差し込んでくる夕日が、私の顔を照らして。
吹き込んでくる秋風が、私の体を止まらす。



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