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Re: Last Days ( No.7 )
日時: 2015/08/28 19:54
名前: 久遠 ◆rGcG0.UA8k (ID: 0.f9MyDB)

伊織side

陸上大会が始まって、最初は誰も優月が制覇するなんて思ってなかった。
俺もそのうちの一人だったし。

だけどお昼を過ぎたくらいから、皆が優月へと目を奪われて。
気づいたら応援すらしていた。

そして——優月は本当に全種目一位という異形を達成して、生徒会へ迎えられた。
飛鳥も嫌そうな顔はしてたけど、それが本心でないことは長い付き合いの俺がよく分かっていて。

花房先輩を含めた他の役員も優月の周りに集まる中、一人だけ姿がないことに気が付いて。

そう言えば天海さんは……?

よく良く考えれば、優月がゴールした時にも校庭には居なかったような気がする。
何か嫌な予感がして天海さんの姿を探し始め——



「ここにも居ない……」

人に聞いたりもしながら探すけど、誰も途中から見掛けてないと言うばかりで未だ見つからない。

何処に……?

そう思った時、曲がり角の先で人影を見つけて。
駆け寄ると、青白い顔をした天海さんが地面に倒れていた。

「天海さん!?」

急いで抱き起こすが、目が覚める気配はなく、このまま保健室へ連れていこうとして——

「伊織? こんな所に居たのか。皆探して……」
「飛鳥! いい所にっ天海さんが——」

俺を探していたらしい飛鳥がタイミングよく現れて、天海さんを運ぶのに手を借りようとしたんだけど。

「ちょっと、伊織なにしてるの!?」

腕の中でグッタリとしている天海さんを見た途端、飛鳥は俺を突き飛ばして。

「つっ〜、飛鳥、落ち着けって」

痛みに頭を擦りながら、天海さんの事を説明する。
と、冷静さを取り戻したのか、飛鳥はポツリと言った。

「ごめん、ちょっとどうかしてた」
「俺は気にしてないけど……飛鳥がこんな風に怒ったの初めて見たかも」
「っ、仕方ないだろ。伊織が非道な行いをしてる様に見えたんだから」
「何それ、酷くね!?」

そんなやり取りをしながらも、さっきの飛鳥が本気で怒ってた、というか焦ってたのはよく分かってる。
でも、それを追求する気にはなれなくて、二人で天海さんを保健室へと運んだ。