コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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私の恋は空を掻く
日時: 2020/04/02 23:49
名前: スーフィリタ (ID: wq7vXSlU)

『いやぁぁぁぁぁぁぁ!』
私の家が燃えて行く......!白レンガの壁が焦げて崩れ落ちて、逃げ遅れたお母さんが下敷きになる。
私は必死でお母さんに駆け寄った。
『お母さん......っ...手を!』
右目に火傷を負った感覚を覚えながらも、瓦礫に埋まっているお母さんを助けようとした。
『もう、もういいの。あなただけは生きて。お願い...くっ.....』
『馬鹿言わないで!お母さんが居なかったら私、私......ゴホッ ゴホッ』
忌々しい黒い煙を吸い込んで私の意識は朦朧としてきた。
お母さんは最後の力を振り絞るように、身に付けていた深紅のペンダントをちぎりとり、私ののばした手にそっと乗せた。
『これを。私の形見としてはだ見放さず持っていて......ガハッ...いいから早く!』
お母さん.........。
『わかった。お母さん、安心して。誇り高い私の母は永遠と私の中で生きる。今までも、これからも。』
そう言うとお母さんは、大きく頷き、ゆっくりと目を閉じた。

無我夢中で炎の中を駆け抜け、家から出た。
もう、立っていられない.........。糸の切れた人形のように、膝から崩れ倒れた。
脳内がズキズキと痛むのを感じ、燃え盛る家を眺めていた。
いつの間にか私の意識は飛んでいた。

一話 >>1-1 >>1-2
二話>>2-1

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私の恋は空を掻く 1-1 ( No.1 )
日時: 2016/02/07 09:47
名前: スーフィリタ (ID: 1xlwHmTN)

 「んん。。。。。。」
私はゆっくりと、上半身だけを起こした。
ここはどこだ。病室か?にしては豪華だ。調度品が五ッ星ホテルのような物だが......。
____ガララ____
部屋のドアが重そうな音をたててあいた。入って来たのは、胸までの栗色の髪を3つ編みにして垂らしている、メイドのような姿をした女だった。
「お嬢様!お目覚めになられたのですか?」
お、お嬢様?!なぜだ、お嬢だったのか、私は。思い出せない。
「お前誰だ。お嬢様ってなんだ?私は誰だ。」
そう言うと、メイドは目を見開いた。
「なにも覚えていらっしゃらないのですか?」
「あぁ。なぜここにいるのか、お前が誰なのか。私は誰だったのか。」
そう、何も知らない。思い出せない。
「あなたは神谷家の一人娘様で、ここから数km離れた場所に大きなお屋敷がありました。」
ありました?今はどうなっているのだろうか。
「けれど、ある日突然お屋敷に日が放たれ、跡形もなく燃え尽きました。それがつい五日前です。
お嬢様は奥様を助け出そうとされ、ですが奥様はお嬢様を生かす事を選ばれました。」
ということは.........、母は亡くなったということか?

私は呆然とし、室内はしばらくの間静寂に包まれた。

私の恋は空を掻く 1-2 ( No.2 )
日時: 2016/02/08 19:08
名前: スーフィリタ (ID: YaNMSBwn)

ありえない。私の、私の右目ぇ!火傷で右目を失うだなんて!
〜〜〜〜〜〜
今日は医師による、退院検診だった。
『石田、この右目はどうなっているのだ?』
この間のメイド_イグルと言ったか_が、母の死を告げた時、無意識のうちに涙が出てきた。
涙を拭った時、初めて気付いた事がひとつ。右目に着いている眼帯に疑問を持った。
『先生くらい付けてくれてもいいじゃないk』
『さっさと答えろ。』
やれやれ言うようにと、石田医師は肩をすくめた。
『蘭羅君はお母さんを助けようとして、事故現場にしばらく留まっていた。その時に、焼け落ちた家の一部が蘭羅君の右目に触れ、火傷をした。』
な、な.........。
『右目を見ることはできないのか?』
そう言うと石田医師は、急に険しい顔をし、首を振った。
『見ない方がいい。とてつもなくグロいよ。』
グ、グロい..................。グロいのは苦手だ。
おそらく、目が溶けてしまっていたりするのだろうか。考えると震えが止まらなくなった。
_ガララ_
『お嬢様。退院の用意が整いました。』
イグルが報告に来た。
『分かった。石田、今まで世話になった。』
『検診、忘れるなよー。それから!その男言葉やめろよー!』
私の背中を追うように石田の声がかけてきた。
『余計なお世話だ!_____ありがとな(ボソ』
後ろの方で石田と看護師が微笑んでいるような気がした。

Re: 私の恋は空を掻く ( No.3 )
日時: 2016/02/09 05:54
名前: 暁 ゆら (ID: I1.lOxPt)

始まりが衝撃的でした!
しかも次はお嬢様という。。

展開がぜんぜん予測できなくて、
驚きの連続って感じです。

題名は恋だから、どうなるんだろう!!

私の恋は空を掻く 2-1 ( No.4 )
日時: 2016/02/11 15:14
名前: スーフィリタ (ID: YaNMSBwn)

これは......夢、なのか?
夢にしては、現実味のありすぎるものだ。まるでこの出来事が本当に私の見に起こったことのようで..........。
今、目の前で大柄な男が華奢な女を、握り拳で殴っている。
『ぃ...うぅ、ひゔっ!あな...た、グハッ......』
男は収まりを見せず、殴り続けた。
『お前はっ.....本当にっ、役立たずな...クソ嫁だ!そこの娘が、あんな.....クソみたいな子供に育っ.....たのも、全部、全部お前のせいだ!』
娘?私はこの夫婦の子供なのか。
___バキッ___
ふと、妙な音がした。まるで骨が折れたかのよ......う。
『やめて!お母さんを、お母さんを殺さないで!』
気づくと私は、女の前に立ちはだかっていた。
私はこの女を、母として認識しているのか?
そんなことを考えているうちに、男の顔は先ほどよりますます憤ってきた。
『このっ、子供が出しゃばるんじゃねぇぇ!』
男はそう叫び、その手を私の首にかけた。
ーーーコロサレルーーー
そう思うのも束の間、首を両手で掴まれ、男の頭上に持ち上げられる。
『死ねぇぇぇぇぇぇ!!』
一気に手に力が込められる。
『ぁぐっ!ぐ、ぐるじ、ぁひっ!』
私は幼い、情けない声を上げる。
___ガチャッ バラバラバラ___
ドアの所から扉が開く音と同時に、大勢の足音が家に入ってきた。
男は動揺し、手にかけられた力がなくなった。
私は男の手から落ち、地面に衝突する直前で、左足を骨折した母に抱かれた。
安心した私は、いつの間にか泣きじゃくっていた。
『怖かったね、怖かったね。もう大丈夫よ。ほら見て。かっこいい警察さんいるよー』
と、母があやしてくれた。

警察官たちが男を取り押さえて出て行く直前で、私は男の方を見た。
その時に見た男の顔は、憎しみと憎悪に溢れていた。男の顔は、しばらく私の頭から消えないだろう。


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