コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: センセイ×セイト ( No.10 )
- 日時: 2017/01/07 04:59
- 名前: 鐶 ◆u8YacDeZBU (ID: qToThS8B)
第6話
次の日、私は見てしまったのだ。
「風間…先生…」
夕日が差し込む美術室
そこに1人椅子に持たれ俯く
風間先生がいた。
静かな美術室
私は目を瞬かせた。
「泣いてるの…?」
その言葉が静かに響き渡る。
ビクッと肩を震わせる風間先生
チラッと見える顔には涙が流れている
「ど、どうしたんだ倉西?」
顔を隠し風間先生がたずねてくる。
私はただただドアの前に
立ち尽くしていた。
ハッと我に返ったように私は
頭を軽く掻きながら
「わ、忘れ物したから取りに来ただけ。」
キャンパスの近くに置いてある
筆箱を私は取りに帰ってきた。
風間先生は何も言わずそこに居た。
「先生…?」
私はゆっくりと近く。
風間先生は顔を上げようとしない。
フッと横目で外をみた。
(あ……。)
私は何かを感じた。
外には2人の教師の姿が目に入る。
「春奈、頭ぶつけるなよ?」
「えぇ。ありがとう」
助手席に座る1人の女性
山吉春奈先生
養護教諭
その隣には我が美術部顧問
植田征爾先生
美術教師
2人は最近、婚約をしたと
全校生徒の前で報告をした。
チラッと風間先生を見やる。
ずっと下を向きビクともしない。
ただキラキラと涙が光っている。
「風間先生…まさかとは思うけど」
風間先生の前にしゃがみ込み
顔を覗かした。
「山吉先生が好きだったの?」
ビクッと肩を震わせる。
私は目を小さく見開いた。
「山吉先生が好きで好きでたまらないの?」
風間先生は何も答えない。
ズキズキッと胸が軋んだ。
私は胸が痛むのが分かった。
(あ〜…そうか)
私は軽く唇を噛み締めた。
(風間先生は山吉先生が好きんだ)
キューッと締め付けられる胸
「何言ってるんだ倉西」
顔を隠したまま風間先生は
答える。震えた声で
「好きなんかじゃないって。」
必死に笑顔を作ろうとする。
私は締め付ける胸の痛みを
抑えながら風間先生を見上げ
「先生…嘘つかないで。」
私はソッと風間先生の手を優しく握る
「もう分かってるんだから
嘘なんかつかないでよ」
その言葉に子供みたいに肩を震わせ
強く手を握り返してくる
「分かってたんだ。」
ボロボロと涙を流す。
「好きになった時にはもう遅かったって
分かってたけど…抑えきれなかった。」
私は泣いている風間先生を
ただただ手を握りながら
見つめる事しかできなかった。