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- Re: ムニキス【リメイク】 ( No.5 )
- 日時: 2015/09/21 14:52
- 名前: はるたろう (ID: pyK84o2R)
 「派手にしてくれたなあ」呆れたように、感心にもとれる声をレンツォはアクセルに漏らした。自慢気に厚い胸板を叩いて笑った。
 「いやあね、手と脚の好きなお客様がいてねえ…」四股を引きちぎられた女を我が子のように見つめ「高く売れるのよん、ねえ?」冗談のような声音でアクセルがウィンクをする。
 レンツォのまだ水が滴る髪を撫で「お世話になりまーす」と耳元で囁いた。
 「ったく、アクセルさんにはかなわないねえ…。人が死ねば儲かる。僧侶かおたくらくらいよ?今の時代」
 「なあになに、アンタらは戦争屋だろ。しかも絶対正義の戦争屋。アンタらの方が人様の死で生きてるようなもんだぜ」
 戦争屋。
 レンツォは心のなかで繰り返す。
 「…おっと。すまん」
 「なにが?」
 「いやあ、こっちの話。てか、ニコちゃん元気?辛いときは俺が話聞くって言っといて」
 「だめだめだめ、アイツは俺の女」
 「……男だろ?アイツ。お前、なに?そーいう趣味…」
 「ばっ、ばかやろう!知ってんのかよ!先に……い…え………」
 「どうした?」アクセルは問う。しかし、レンツォから返事はされない。
 レンツォの方を見ると、辛うじて死んではいないが、奴には死と同じ。固まったまま。針を持つ手だけは震えていた。
 まさか、女が生き返ったなんて…夜中に一人でトイレにもいけないレンツォが見れば、それだけでダメージだ。
 「ア…クセルさぁん……」
 「いい歳した大人が何を言うか。見てみろ、脚と体がひっついていくだけ…」
 「それが怖いんだよぉ!!」
 泣き叫ぶレンツォを見て女は何も言わなかった。死体だから、考えまで読み取れない。アクセルの能力が使い物にならない以上、頭脳戦は難しい。死体相手に肉弾戦もいかがなものだ。
 「…チッ、なんの障害だぁ?こんなの報告されていね…え!?レンツォ、テメェ!ドーピングは俺に使うな!!」
 無言で針を刺し、アクセルの背中に強烈な蹴りをいれる。鋼鉄のような体が宙を舞った。泣きながらもレンツォが針を飛ばすと、女の体は地面にひれ伏し、アクセルの体に挟み込まれる形となり、潰れてしまった。
 戸惑うアクセルをどけ、トマトを地面に叩き付けたように目もあてられない状態の女をレンツォは確認の意をこめて踏み潰す。
 「…一安心だな!」
 「だな…じゃねえ!!これ、お気にの靴だぞ!?お前が死ね!!あーあ、商品が…グチャグチャじゃねーか……」
 レンツォは申し訳なさそうに項垂れる。
 「…だよなあ……ごめん、あと一時間は効果あるから…」
