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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 君ヲ愛スル。 ( No.9 )
- 日時: 2015/09/20 18:39
- 名前: 氷優。 ◆oR8MhqCGDo (ID: UIcegVGm)
 【第1章 彼と大雨。】
 彼は流れる涙を拭う事なく、ただただ泣いていた。
 泣いてる理由が全く分からない私には、蒼柳君を見ている事しか出来なくて。
 頭を優しく撫でてあげようとしても、寄り添って抱き締めてあげようとしても。
 ——私の手足は、硬直して動かなかった。
 ただ唯一出来たのは、泥だらけの傘を彼に差し出した事。
 私は濡れても良い。ただ、彼が濡れてしまえばこの雨と一緒に流れていってしまいそうだったから。
 「……変な奴だな、お前。」
 ずっと俯いていた顔が、ふと上げられた。
 その途端に、目が合って。その時初めて、きちんと彼の瞳を見た気がした。
 悲しみと苦しみと、それから少し嬉しさを含んだ、深い瞳。
 少し驚き私を見上げるその涙目が、私の胸を締め付けて苦しくなった。
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