コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 翼と自転車【更新停止です。】
- 日時: 2016/03/06 22:04
- 名前: ビタミンB2 (ID: f/YDIc1r)
- どこかの世界の、ある場所で。 
 少年は決めた。
 死なない、と。戦う、と。
 一人じゃないから、出来た決断。
 隣に誰もいなくても、一人じゃない。
 どうも! 初めましてのビタミンB2と申します。
 まだ初心者で初めてなので、色々と駄作ですがよろしくお願いします!
 コメントを下さった方々
 詩織さん(キャラ:リーパス)
 せいやさん
 黒い月さん(キャラ:コルヴィス)
 ジルさん
 杏莉さん
 てるてる522さん
 cocoaさん
 星飯 緋奈さん
 どうぞこれからも、よろしくお願いします!
 ぜひぜひ、翼たちの頑張りを見届けてやってほしいです!
 第一章 ドラゴンの卵 >>1
 第二章 昼と夜の王女 >>26
 第三章 十二の天柱 >>35
 第四章 学びの日々 >>100
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- Re: 翼と自転車 ( No.14 )
- 日時: 2015/02/21 10:13
- 名前: ビタミンB2 (ID: RGE11PHh)
- 「おいおい、人に散々中二病って言っておいてその名前かよ!?」 
 「良いじゃねえか! 格好いいし! なあメテオ!」
 翼は真っ赤になってメテオに同意を求めた。メテオは自分の名前が気に入った様子で、翼に向かって鳴いた。
 「ほら! 気に入ってくれただろ!」
 「はいはいはいはい、ムキになるなってー。」
 サジタリウスはそう言って笑った。
 「でさ、もっとその世界のこと教えてくれよ! 早く!」
 翼は名前についての会話を打ち切ろうとサジタリウスを促した。すると、サジタリウスは意外なことを言った。
 「あー、もうすぐ着くから、それについては王女様に聞けよ。」
 「……!? いきなり王女様に会うのか!?」
 「おお、俺の弟子だから紹介しなくちゃだろ。」
 翼の顔は白くなった。
 「こここここんな服装で良いのか!? Tシャツと短パンだぞ!」
 「ん〜別によくねえ? クリュテムストラ様優しいし。」
 「ヘレン様は!?」
 「あー……あれは異常というかなんと言うか……」
 サジタリウスは顔を歪め、頭を掻いた。
 「まあいいよ、その服でも。……お、あったあった。見てみろよ。」
 サジタリウスが指差した方には、大きな黒い裂け目があった。空にぽつんと浮かんでいる。
 「あれを抜けるのか……?」
 「ああ。ちょっとこいつを頼んだ。」
 翼は、右手にメテオを抱き、左手をサジタリウスの腰にまわした。
 「いいか、いくぞ! 怖かったら目ぇつぶってろよ!」
 翼は一応目をつぶった。サジタリウスが、ペダルを踏む。その瞬間、翼の中から音が消えた。
- Re: 翼と自転車 ( No.15 )
- 日時: 2015/02/23 04:59
- 名前: ビタミンB2 (ID: RGE11PHh)
- 何も聞こえない。痛い位の静寂。翼は、目を開けてみた。 
 「すげ……」
 キラキラ輝く光の粒が、自転車の横を物凄い速さで通り過ぎていく。翼の驚愕の呟きは、光の粒の彼方に消えていった。自転車が空気を切る音が聞こえても良さそうなのに、相変わらず何も聞こえない。このほんの数十秒にも満たない体験は、翼にとってとても長い時間だった。
 (いつまでも見ていたい)
 そう思ったとき、前方の一際大きな粒が、光を放った。光はどんどん大きく、眩しくなる。耐えられず、翼は目を閉じた。次の瞬間、体がふわっと軽くなり、数秒、宙に浮いているような感じになった。
 そして、世界に音と重力が戻る。
 目を開けた時、目に飛び込んできた景色に翼は目を見開いた。
 「すっげえ……王都だ……」
 ファンタジーによく出てくる、王都。
 華やかで、美しい、イメージ通りの王都を見下ろし、翼はただただ感動した。
- Re: 翼と自転車 ( No.16 )
- 日時: 2015/02/25 05:34
- 名前: ビタミンB2 (ID: RGE11PHh)
- 「ようこそ、フォルティシュタイン王国へ。」 
 振り返ると、メテオを抱きかかえ自転車を支えているサジタリウスが笑っていた。
 「4862年の歴史を持つこの王国は、昼と夜の王女2人が司り、いろんな種族が仲良く暮らしています。」
 種族、という言葉に素早く反応した翼だった。
 「どんな奴らがいるんだ?」
 「ほとんど皆、人間型だ。エルフ、魚人、天使、ハーフオーガ……吸血鬼なんてのもいるぞ。」
 「ふーん」
 「でも、人間はとても少ない。この王国だけでも、俺含め6人……だったはずだ。」
 「そんな少ねえのか……じゃ、俺が7人目ってことか。」
 「そう。だから……」
 すると、いきなりサジタリウスは翼の髪をぐしゃぐしゃっ、とかきまわした。そして、爽やかな笑顔を作る。
 「人間の仲間が増えて、師匠はとっっても嬉しいぞ!」
 「うわっ、ちょっと……別にセットもしてないけど止めろ!」
 「ははははは!」
 表向きはふざけているが、サジタリウスにとって「人間」とふざけるのは久しぶりなんだろう。そう思った翼は、サジタリウスの髪をかきまわすことに集中した。
- Re: 翼と自転車 ( No.17 )
- 日時: 2015/02/27 22:12
- 名前: ビタミンB2 (ID: RGE11PHh)
- 「ははははは……よし! 遊んだし行くか!」 
 「王城に?」
 「おう! もちろん……だ?」
 「……? どうした?」
 サジタリウスが見ている方を翼も見た。すると、王城から黒い点が飛んでくるのが見える。近づいてくるにつれ、点が大きな鳥だということも、上に緑の長い髪の人が乗っているのも見えた。風を受け、鮮やかな緑が宙を舞う。
 「なあ、あの人何か叫んでねえか?」
 「ああ……」
 「『とおまあれえええええ! こんの思春期グリフォンがああ!』って叫んでるぞ?」
 「っ! 最悪だ……隠れるぞ!」
 「何処に?」
 サジタリウスは頭を抱えた。ここは何もない崖の上だったからだ。
 「とにかく! ここは避けるしかない!」
 「だからどうやって!?」
 「ええいうるさい!」
 翼たちが揉めている間も、グリフォンはこっちに近づいてくる。二人は頷き合い、身を翻し逃げ出した。
 「きゃあああああっ!」
 上に乗っていた人は、グリフォンの激しい動きに耐えられず翼たちを追い越し、翼たちの前に吹っ飛んだ。
 「ぐお!?」
 そして、グリフォンの突進を受けたサジタリウスも、吹っ飛んだ人の上へ飛ばされた。
 「お、重いわよお……早くどいて……」
 「おお……悪りぃ。」
 起き上がったサジタリウスの下から、美女が現れた。
- Re: 翼と自転車 ( No.18 )
- 日時: 2015/03/05 22:33
- 名前: ビタミンB2 (ID: RGE11PHh)
- その美人に向かって、サジタリウスが文句を言う。 
 「お前なあ、もうちょっと自分のグリフォンうまく扱えねえの? こっちは何度も被害に……」
 「言っとくけど、全部あんたのせいだからね! だいたい、グリフォンに惚れられる男の方がどうかしてるから!」
 「惚れられたのは仕方ねぇよ! あっちが勝手に俺のこと好きになったんだろ!?」
 いつ息継ぎしてるのかと思うほどの激しいやり取りだ。お陰で翼はすっかり空気になっている。
 「……お〜い。」
 ……応答無し。
 「お〜〜〜〜い!」
 ようやく2人が振り向いた。
 「あぁ、いたんだっけ。」
 「酷いぞそれ。」
 美人も振り返り、翼の事をまじまじと見つめた。
 「へえ、この子かあ。まあ良さそう。」
 翼も、美人の事をしっかり見てみた。
 真っ白い肌が、菜の花のような鮮やかな黄色の瞳を際立たせている。RPGなどでよく見る、尖った耳。一番綺麗なのは、新緑の森のような腰辺りまである髪だった。
 「私、アリエス。君の名前は?」
 「翼だ。」
 「ふ〜ん、いい名前! それにしても、翼も災難ね。こんな奴の弟子になるなんて!」
 こんな奴、の部分で、アリエスはサジタリウスを指差した。
 「なっ……! 言ったな!」
 このままにしておくと面倒な事になりかねない。翼はとっさに話題を変えた。
 「あ、アリエスって人間なのか?」
 すると、アリエスはにこっと笑い、自分の耳を指差した。
 「これで分かる?」
 「あ……エルフ!」
 「そっ! 大正解!」
 翼は元の世界でRPGが好きだった。エルフのことはもちろん知っている。
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