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- いつか始まりの魔法世界
- 日時: 2015/12/15 22:28
- 名前: 九尾桜花 (ID: btNSvKir)
- はじめまして! 九尾桜花(くおおうか)と申します。 
 このたびは、この作品「いつか始まりの魔法世界」をご閲覧頂き、ありがとうございます。
 更新頑張ります! 初作品なので、温かい目で見てやってください!
 
 いつか始まりの魔法世界 ——目次
 <プロローグ>
 第零話 始まりは光と共に——咲花はいずこに?>>01
 第一話 次に来るのは何か——咲花は迷う>>04
 第黒話 世界政府機関は何を狙う——二瑚は異世界へと送られる>>05
 第二話 輝きと闇とこの世界に——咲花は知る>>06-07
 第緑話 目下は輝きに満ちる——二瑚は自由を有する>>08
 
 <第一章どこの世界でも学生は学園へ——咲花は常識を憶える>
 第一話>>09-10
 お詫び…………。>>11
 第二話>>12-13-14-15-16
- Re: いつか始まりの魔法世界 ( No.14 )
- 日時: 2015/12/02 22:37
- 名前: 九尾桜花 (ID: btNSvKir)
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 咲花が、部屋へと向かった直後のこと
 謁見の間には、グレルと国王がいた。
 「陛下、サキカのことですか……」
 「うん、そうだね。少し異常だね」
 話の内容は、さっきのやり取り。咲花の事についてだ。
 「魔力量がSクラス、およそ300万。属性は、ほぼ全属性。やっぱりそういうことなのかな〜」
 この世界では、魔力量ごとに階級が決められている。(ギルドについては、また今度説明致します。まぁ、テンプレです)
 1000以下→E
 1000〜1万→D(学生・一般人)
 1万〜50万→C(優秀な学生)
 50万〜100万→B(一般的な教師)
 100万〜200万→A(ギルドメンバー・軍騎士)
 200万〜300万→S(騎士団団長レベル)
 300万〜400万→X(世界でも指折りの強者)
 それ以上→オーバーランク(歴史的にも数人)
 属性に関しては、無数にあるが、基本的には火・水・土・風の四つ。それ以外に、光・闇・雷・氷・時・空間・生物なども、よく使われる。
 咲花は、闇と土と雷以外の全属性が使えるのだ。
 しかし、普通の人間はそうではない。生まれ持った属性は2〜3.どれだけ努力を重ねたとしても、その後習得できる属性は、1つが限度であろう。
 「俺は、認めたくないのですが」
 「君が認めたくなくとも、もしそうであるのなら“世界政府機関”が黙っちゃいないはずだよ」
 ・・・・・・・・・
 咲花の周りも、気付き始めていたのだ。咲花が普通ではないことに。
 世界政府機関から転送されてきた人類の中に、そんな例外的存在は今まで報告されていない。
 
 「というか、そもそも何なんですか?“世界政府機関”って」
 「いやー、なんていうかなぁ」
 国王は今までのおどけた感じから一転、雰囲気を変えた。
 「世界の支配者、指導者。魔法全典—マギカルート—の所有者。ってところ」
 「そして、その機関があいつを狙っていると」
 「そういうこと。何か、裏があるんだと思う。調べてくれないかい?」
 「それは、近衛騎士団副団長としてですか? それとも——」
 「いや、“終黒の血鬼”として。よろしくお願いしてもいいかい?」
 「了解いたしました」
 びしっと敬礼を決める。
 「本日の所は、これで」
 「明日からは学園に行かなくちゃいけないからね。咲花ちゃんのことも、気に掛けてあげて」
 「はい」
 失礼します、と言葉を残すと足早に部屋を出た。
 バタンっ、と扉が閉まる。
 「さてさて、こちらも動くとしますかね。ただでウチのメイドは渡しませんよ」
 国王は足で床を、タンっと叩く。
 “空間操作(アキラトファネラ)”
 空間属性上級魔法を完全詠唱破棄でこなすと、謁見の間から自室への道を、捻りだした。
- Re: いつか始まりの魔法世界 ( No.15 )
- 日時: 2015/12/13 13:54
- 名前: 九尾桜花 (ID: btNSvKir)
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 薬品のにおいが、全体緑色の手術室のような部屋に充満している。
 『いやだ、いたい! かみをひっぱらないでらないで!!』
 『我慢しなさい×××』
 『これはあなたの為でもあるのだから』
 『でも、おかあさん! おとうさん!』
 『お母さんだなんて、呼ばないで。今は、一、研究員よ』
 『大人しくしていなさい』
 円柱を縦に割ったような透明なカプセルのような所に、乱暴に寝かせられる。
 『世界の為よ。願わくば、あなたが世界の役に立たんことを』
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 静かで、こぢんまりとした一般家庭。
 『お帰り×××』
 『……ただいま、お母さん』
 『あら、元気が無いわね? どうしたの』
 『ううん、なんでもないの。ただ——』
 ——あの時のお母さんと、普段のお母さんが、違う人に見えるの——
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 紅蓮に燃え上がる炎、肺にせり上がってくるような苦しさ。
 『ゴホっ、ゴホっ、お、お兄、ちゃん』
 『逃げろ×××! ここにいちゃだめだ!! あいつらの狙いは——』
 『そんな、いやだ、だって、今逃げたら…………!!』
 ・・・・
 母も、父も、そして兄までもあいつらにうばわれるのかッッ!!
 『もう、きっと、ずっと会えないよぉぉぉぉぉぉぉ!!!!』
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 「はぁはぁはぁ——嫌な夢……」
 今日が転入初日になるのに、縁起の悪い夢を見てしまった。
 こっちの世界に来てから、頻繁に幼いころの夢を見るようになった。夢に出てくるのは決まって母と父と兄だ。しかし、肉親であっても、記憶とは曖昧なもので、顔が上手く思い出せない。
 「こんな日に限ってこんな夢を見るなんて……」
 とりあえずベッドから出る。
 制服——と言っても、決まっているのはボックスプリーツのスカートと、ローブだけだが——に着替える。上は、スカートに合うような白いブラウスに、首元に薄いピンク色のリボンを結んだ。
 「これで、よしっ」
 教科書などなどは、空間属性で仕舞った。いちいち、鞄に入れておくのはめんどくさい。
 「さて、朝ごはんでも食べにいきますか」
- Re: いつか始まりの魔法世界 ( No.16 )
- 日時: 2015/12/13 14:05
- 名前: 九尾桜花 (ID: btNSvKir)
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 お城の中を歩いて食堂を目指す。いつもなら、他のメイドさん達と一緒にご飯を食べているが、今日からグレルと同じ学園に通うことになるから、そこで食事をとる。
 「サキカ、おはようございます。今日からなんでも、学園に通うのでしたか?」
 「ミネルヴァさん、おはようございます。はい、陛下のお気づかいで」
 
 メイド長、ミネルヴァ・オルコットは、ここの世界に来て初めてできた先輩的な立場の人だ。きりっとした顔立ちに、灰色の髪。真っ黒の瞳は、お城でメイド長をしているだけあって、優しさよりも強さの色が強い。
 「わたしも昔通っていた学園です。楽しいところですし、仲間や友達もたくさんできるはずです。こっちの仕事の事は気にしないで、思いっきり学園生活をエンジョイしてくださいね」
 「はい、ありがとうございます」
 「食堂に朝食を運んだところですし、副団長も朝食をとっていると思いますよ」
 「げ、グレル……」
 「グレル副団長と言いなさい」
 
 はぁ、と頭を押さえる。ついつい呼び捨てにしてるけど、結構偉い位についているグレルの事は呼び捨ては基本NGらしい。
 「朝食は食堂でとって下さい。メイド室には用意してありませんから」
 「分かりました」
 普段は、お城のメイド(さらに国王専属)として働いている為、グレルといっしょに食堂でご飯を食べる事はない。しかし、今日からはグレルと同じく学校に通うため、同じ席で食事する。
 「早くしないと、遅刻しますよ」
 「はい、それでは」
- Re: いつか始まりの魔法世界 ( No.17 )
- 日時: 2015/12/15 22:27
- 名前: 九尾桜花 (ID: btNSvKir)
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 「それでは、行ってきます陛下」
 「うん、行ってらっしゃいサキカちゃん。あ、あとグレル、サキカちゃんに乱暴しちゃダメだからね」
 「しません、そんな事」
 お城の前まで、陛下が出てきて、わざわざ見送ってくれるようだった。
 一国の国王が、こうもあっさり外に出るのはどうかと思いグレルに尋ねたところ、
 「陛下を倒せる奴はそうそういないからな、心配は無用だ」
 とのことだった。
 「どうする、“転移”で行くのかい? それとも徒歩かい? 馬車とかは、用意していないけど」
 「“転移”で向かいますよ。徒歩では、少し遠いので」
 “転移”は“空間転移”の略称である。
 グレルがそう陛下に言うと、私の手をつかむ。
 「ふぇ!?」
 「いくぞ、お前はまだ、場所を良く知らないだろう」
 「ぅ、はい……」
 “転移”は正直私だってできる。だが、場所を詳しく知らない為、とんでもない所(海とか森とか)に飛んでしまうこともあるのだ。
 「じゃ、じゃあ行ってきます、陛下。ちゃんと仕事して下さいね」
 「はーい、分かってるよ」
 次の瞬間、グレルは“転移”を発動させた。
 二人が収まる程度の大きさの魔法陣と、銀色の魔法粒子(マナ)がふわりと舞った。
- Re: いつか始まりの魔法世界 ( No.18 )
- 日時: 2016/01/05 23:16
- 名前: 九尾桜花 (ID: Cyszi9Sv)
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 「うわ、おっきー」
 「そうか? このくらいは、普通だと思うのだが」
 “転移”によって学校の前まで移ってきたのだが、うん、広くて大きい。
 赤レンガと白塗りの壁が特徴的な校舎、ふと横の方を見ると、円形の闘技場のようなものも見える。
 「なんていうか、大学みたいというか……」
 私の独り言は、グレルの耳には入っていないようで、一人スタスタと歩いて行く。
 遅れないように、いたるところをきょろきょろしながらグレルについて行く。
 学校の中に入ると、外観と同じような赤レンガと白塗りの壁。それに付け加えて温かみのある木目の床や天井。あっちの世界の、コンクリート造りの校舎と違って高級感がある。
 「何やってるんだ? 早くいかないと他の生徒たちが登校してきて、大変だぞ」
 「あ、うん。分かった」
 自分でも気付かないうちに立ち止まっていたらしく、グレルとの間はまた広がっていた。
 トコトコと、床に靴が擦れる音が、廊下に響いた。
 転移用魔法陣を使って職員室に行き、そこから学園長室に向かう。
 「いちいち職員室に行かないと学園長室にいけないのって、不便じゃない?」
 「そこまで不便と感じた事はない。他の生徒は、学園長室になんか用事はないからな。あと、あんなところに行くような奴は、大体“転移”が出来るし」
 「あー、なるほど。じゃあ、なんで私たちはお城からいちいちこんな方法で来たの? グレルなら、出来るでしょ」
 「いや、あそこは“転移許可”が無いと入れないからな。俺たちは、“転移許可”を持っているから、まぁ、出来ない訳じゃないが……」
 「あー、正体ばれちゃうか」
 「そういうことだ」
 “転移許可”というのは、“空間転移”が制限されている所(お城とか、その他国の重要な所)に“転移”することが出来る資格のこと。
 私もグレルもある事情から、その“転移許可”を持っているが、諸事情によりそれを今
 使うことはできない。
 それはさておき。
 グレルと私は学園長室の前に着いた。
 目の前には大きな扉。左右を見ても何もなく、ただ壁があるだけ。
 「失礼します、入りますよ」
 ——ガチャ
 「あ、何勝手に入って——」
 「ノックぐらいしなさい、グレル・アキメスくん。楓ちゃんが構えてるじゃない」
 「グレルでございますか、やめてください攻撃当てますわよ」
 「悪意だろ、それ」
 扉の中にいたのは、一人の女性と一人の少女。
 「後ろにいるのが、リメル——じゃなくて、陛下付きの侍女だとかいう咲花ちゃんね」
 鶯色のロングストレートの髪を揺らしながら近づいてくるその女性、おそらく学園長と思われる。咲花、という呼び方があっちの世界にいたときと同じ綺麗な発音だ。
 「私はライラ・イグネシア、ここの学園長よ。よろしくね」
 
 微笑みかける学園長に対して私は、こっち式の礼で返した。
 「サキカ・リシィ、いえ、霧島咲花です」
 手のひらを交差させ左の腰付近に持って行き、右足を引いて綺麗に礼をする。
 リシィ、というファミリーネームはこちらに来てから、陛下に付けていただいた名前だ。
 もちろん偽名だし、元の名字をもじっただけの物だけど、こちらの戸籍上は、リシィの名で登録してある。
 「あら、ごめんなさい。こちらに来て間もないと思って礼をしていなかったのだけど……。さすが、城に仕えるメイドね、教育がしっかり行き届いている」
 そういうと、同じように礼をした。きれいな髪がはらりと肩にかかる。
 「いえ、こちらこそ、学園長ともあろう方に気を使わせてしまうとは。すみませんでした」
 こちらに非がある訳ではないが、形だけでも謝っておく。年上に、後から礼をさせるという行為は、ほめられたことではないからだ。
 「ま、堅ぐるしいことはここまでにしましょう。ようこそ“グレルフ学園”へ。こっちの女の子は、神楽坂楓(かぐらさか かえで)。私の秘書兼一般学生」
 「楓にございます」
 黒髪に陶磁器のように白い肌。まさしく、人形のような少女——という印象を与える楓は、見た目からしても私と変わらないくらいの背丈。
 「楓ちゃんは、咲花ちゃんとグレル君のクラスメイトだから、これからもよろしくやっていってね。
 はい、それとこれが学生証ね。寮の鍵と、身分証と、通信機器も兼ねてるから出来るだけいつも持っているようにしてね」
 執務用の机の引き出しからそっと取り出したのは、高級感あふれる黒色の革のカバーのかかった小さなカードだった。
 カバーをとると自分の顔写真と名前、戸籍上の住所が記されていた。
 と、いうよりも——いつの間に顔写真をとられたんだろ……。
 笑顔を引きつらせながら、スカートのポケットに学生証を仕舞った。
 「あ、ありがとうございます……」
 「あと、必要な事は——ないかな?」
 「ライラ様、彼女の教室についての説明はよろしいのですか?」
 すかさず、楓が学園長に聞いた。
 「ああ、そうそう。咲花ちゃんのクラスなんだけど、陛下から伺ったあなたの実力だと、Sクラス——つまり最上級クラスに編入してもらうことになったの」
 「最上級クラス、ですか?」
 「そう、最上級クラス」
 学園長の説明によると、Sクラスは身分、実力などの点から優れている生徒の所属するクラスらしい。城の、しかも陛下付きのメイドでそれなりの実力がある(らしい)私は晴れてSクラス、となったらしい。
 「なるほど、そういうことで……」
 「じゃあ、そろそろ始業のベルが鳴るから、教室に向かったほうがいいかも。教室までは、私が“転移”させるから、さ、みんな魔法陣に乗った乗った。あ、でも咲花ちゃんは担任の先生がここまで来るからそれを待っててね」
 グレルと楓は学園長の出した魔法陣に乗り、教室へと消えた。
 「担任の先生はどんな方なのでしょうか?」
 私は、学園長に問いかけた。
 「強くて、速い人かな——って、なんだ来たかねレノ先生」
 「これが、噂の転校生さんですね、早速ですが教室に向かいますよサキカさん。始業に間に合わなくなりますからね」
 銀ぶち眼鏡に丁寧に撫でつけた深緑の頭髪、真面目そうな印象の先生が姿を現した。
 レノ先生はぱっと魔法陣を展開した。
 「それじゃ、咲花ちゃんこれからの学園生活、楽しんでいってね」
 「はい、ありがとうございます」
 その言葉だけを告げると、レノ先生の展開した魔法陣が発動した。
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