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Re: オレ系女子の内心 ( No.54 )
日時: 2010/06/02 20:18
名前: シェイナ★ ◆1WZThYdb3Q (ID: fOamwJT9)

  第二十六章

刻一刻と迫ってくる。

先生「んじゃあ、今日はここまで。 気ィつけて帰れよな〜」

チャイムが鳴り響く。

今日は大嫌いな数学があったのに、時間が早く感じる。

カバンに、教科書を詰め込みながらそう思う。

すると、前方から小石川が小走りで近づいてくる。

オレは、小石川を見ると、恥ずかしくなって、目をそらす。

草「……放課後…」

小石川は、走りながら小さな声で言った。

もう通り過ぎたと知ったけど、一応…

蓮「うん……」

小さな声で一言。

分かってる。 分かってるよ!

オレは今日、一日中、忘れた事はない。

それで、時間が早く感じたんだ。


クラスメイトはオレ達の事を知っていたかのように、さっさと帰っていった。

教室で一人、鼓動が鳴り響く。

あの野郎、速くきやがれ…


ガラッ——…


草「桜…田…ハァ、ハァ。 悪い…。生徒会があって…」

急に小石川が入ってきたので、余計鼓動が速くなる。

蓮「別にいい……話って」

心の中はあぁなのに、外見は凄く落ち着いていた。

草「あぁ、話はな……拓也の事だ」

蓮「緒方の事?」

小石川が緒方の名前を口にするのは初めてだ。

草「そう。 お前、最近拓也に冷たくないか?」

冷たい? オレが?

そりゃあ、最近あまり喋ってない。

蓮「そんなつもりはない…けど…」

オレンジ色に照らされた二人きりの教室が、どこか寂しく思えた。

草「いいか、よく聞けよ…」

急に小石川の目つきが変わった。

真っ直ぐオレを見ている。

なにを言うんだ……。



草「拓也は、お前が好きなんだ」



蓮「何…言ってんの…。 あいつは、オレが嫌いなんだぜ?」

草「………」

勢いよく言った言葉を耳にもしない。

それでもオレは続ける。

蓮「だ、だって、今日もその前の日も、そのまた前の日も、オレの事無視するし、オレが冷たいと思われているのは、あいつが……あいつのせいなんだよ!!」

草「違う!! あいつは、お前が好きなんだよ。7年も前からだ!!」

7年前……から?

ふと、過去の記憶がよみがえる。

『オナベ!! お前は男だぁ』
『違うよ緒方君! 私は女だもん!!』
『うるせー。 ナベ野郎!!』

草「お前は苦しい思いしたかもいんねぇけど、大雑把なあいつは、他の奴にお前を取られたくなかったんだよ」


違う……

蓮「違う…違う違う違う!!
 あいつは、あいつはオレが嫌いなんだよ!! 昔からそういう奴なんだよ!!」

オレは目に涙をためて言った。

草「あいつは、今のあいつは、お前が他の奴に取られても、お前が幸せだったらいいって思ってんだよ。
 少しはあいつの気持ちも考えてやれよ…」


ダメだ。 もう耐えられない。

蓮「だから何?」

草「え…?」

蓮「だから何だよ…。
 オレが緒方を好きになって付き合えと?
 お前だって、オレの気持ち考えろよ!! 考えてみた事あんのかよ!!」



草「…桜……」

蓮「じゃあ……」


小石川のバカ野郎……!!

蓮「オレがお前のこと好きだって気持ちは、どうなるんだよ!!」

オレは声の限り言った。

声がかれそうだった。

大粒の涙をこぼして。


あんな奴に——…



           惚れるんじゃなかった。

  第二十六章end+