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　　第三十二章

草「だから…付き合わないか？」

あの日のように、オレンジ色に照らされた屋上。

あの日は、どこか寂しく思えた。

でも今は、小石川のおかげで、優しい気持ちになれる。


モンダイなのは……

草「だ、だから！　俺もお前が好きなんだよ！！」


そりゃあ、オレだって小石川のこと好きだぜ？

だけど…


蓮「お前…バカ？」

草「はぁ？」

蓮「だってさ、お前、緒方のこと心配してたじゃん」


こいつ、ホントにバカ？

勉強は出来ても、友達関係とか、うまく出来てねーんじゃ……。

しかも、オレがこいつに『バカ？』とか言った理由気付けよ。

なんだよ『はぁ？』って。

草「桜田は……俺が嫌い？」

一瞬、冷たい風が流れた。

風が合図したみたいに、沈黙が続いた。

そして、鼓動が速くなる。

蓮「そ、そんなワケねェーじゃん。　だって、オレお前にあんな事言ったんだから…」

草「あんな事って？」


（あんな事って…）

『オレがお前のこと好きだって気持ちは、どうなるんだよ!!』

（こんな事…）

Sめ…。

って、そんなこと考えてる暇ねぇ。

草「あー、嘘嘘」

蓮「……」


草「んで、俺が酷い事言ったから？　あいつの気持ち、考えてやれよって言ったから？」

蓮「うるさいなぁ！　違うよッ、オレもお前が……」


チクショー！！

いざ言う時はなんかこう…スッと出ない…。

草「俺が…？」

蓮「どうしようもねェーくらい、好きなんだよ！！
　　あん時は、『嫌い』って言ったけど、嫌いになんか、なれないんだよ……！！」


草「そんで？」

蓮「うっせーよ！　だからぁ、付き合ってやらぁ！！」


言った。

どうしよう…オレ付き合うとか、未経験。

だいたい、オレは男みたいだし、女っぽくねェーしぃ…。

草「クス…。素直じゃないんだから…」

蓮「は？　今なんか言った？」

草「言ってねェーよぉ」

蓮「嘘つくんじゃねェーよ！」


（こんなんで、やってけんのかよ）


桜田　蓮。この度、小石川の彼女になりました。

　　第三十二章end＋