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Re: 金色の絆 ( No.114 )
日時: 2011/01/08 23:42
名前: ルシフェル ◆gB/tgam99I (ID: Fn07flnU)

             〜31〜


  苺がいないと、やっぱり授業が退屈だな……
  6時間目のチャイムが鳴り、クラスの人が話しながら帰り支度をしている中で、僕は一人でそう思っ
  た。
  「実っ!」
  「……鏡介」
  きゃーきゃーうるさかったのはこれか……
  鏡介、いいやつだけど猫かぶりすぎだろ……
  かぶらなくてもいい気がするけどなぁ……
  「今日、実の家行ってもいい?」
  ……結局、苺が心配なんだな……
  さらっといっているけど、結構勇気いるんだろうなぁ……
  僕ならぜったい無理だ。
  ……そもそも言う相手いないけどな。
  「……いいよ、苺も待ってるだろうし」
  …わあー……顔が輝いてるよ……
  分かりやすっ!!
  あ、いや、僕だから分かるんだと思うんだけど……
  「実君っ♪」
  ……こっちもか!!
  「俺も苺ちゃんのお見舞い、行きたいんだけど」
  「やだ」
  「えっ!? 即答っ!?」
  「……」
  いや、普通断るでしょ?
  僕、お前のこと嫌いだし。
  うん、大嫌いだし。
  「……いいんじゃない?」
  …………鏡介クン?
  「さすが会長!!」
  …………僕、承諾してないよ?
  「まぁ、苺だってあんな状態でしょ? それに……」
  …………いやいやいやいや……僕の家だよっ!?
  「それに……何? 鏡介」
  「あぁ……いや、気にしないで? いずれ分かることだしさ」
  「……ふぅん」
  別にいいんだけど。
  ……いやいや、よくないよっ!?
  さらっと僕が違うこと聞いたのも悪いんだけど、笹川、お前僕の家にあがりこもうとしてるだ
  ろっ!?
  あぁ……嫌いだっつてんのに……
  ……言ってはいないけどね、思ってるだけ。
  「はぁ……」
  なんだかんだで、僕の意見は全く尊重されないらしい。
  「実、帰ろうよ」
  「……あぁ」
  結局三人で家路につきました……
  その光景を信じられないような眼差しで見ていた、笹川純の存在に気づかずに。

  「久しぶりだな、実の家」
  「ソウデスカ」
  ……帰り道、三人の口数が少なくて、どんなにつまらなかったことか!!
  そりゃあ二人の頭の中は苺のことでいっぱいでしょうよ……
  僕だってそのつもりだったのに、隣に……隣に笹川がいるから沈黙に耐えるしかなくなってしまっ
  たではないか!!
  あーっ
  僕は本当にこんなやつ大嫌いだ!!
  って……
  「あれ……? 鍵あいてる……」
  「……空き巣?」
  「それはいろんな意味で間違ってるよ? 笹川君?」
  「いや、でも……」
  笹川、うるさい。
  鏡介もまともに相手にするなよっ!
  いやいや……今はそれどころじゃない……
  何で鍵開いてるかを考えなくちゃ……
  朝は…鍵かけたな…うん。
  そっからいままで誰も家に用事がある人なんて……
  苺が一人で抜け出す……のは無理だな、うん。
  あんな状態だし……
  合鍵……?
  誰も作ってないし……渡してな…………………………いや、でも……もしかして…………
               ドンっ
  乱暴にドアを開ける僕。
  玄関には一足の靴。
  それも男のだ。
  ……可能性が確信へと変わった。
  「実?」
  鏡介が心配そうに聞いてくる。
  何かあったの、といいたそうな目で。
  「遅かったね〜、みー君!」
  二階の階段からおりてきたやつが明るい声で言う。
  「あっれ〜? 鏡介もいるんだ〜? んん? ……誰? みー君の隣にいるのは」
  鏡介は驚いたように目を見開き、笹川は無表情に近い表情でその男を見ていた。
  「……お前、不法侵入として警察呼ぶよ?」
  「え〜? みー君酷いよ〜? 久しぶりに会ったのに」
  「間違っても不法侵入者と久しぶりに再会して嬉しいとは思わないだろ」
  「みー君酷い!!」
  「お前が、だろ……でもまぁ、本当に久しぶりだな、 空理 」