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Re: 金色の絆 ( No.120 )
日時: 2011/02/27 23:44
名前: ルシフェル ◆gB/tgam99I (ID: Fn07flnU)

〜32〜

  空理……
  前に、苺ちゃんが何か言ってたかも……
  親友? だったっけ?
  でもさぁ、普通、合鍵なんて持ってないよね?
  じゃあ、どうして彼がそんなものを持ってて……
  なんで実君の家にいるの?
  そのことに対して、実君はどうして驚いていないのだろう?
  あぁ、もう、どうしてこんなに疑問が浮かんでくるかな……
  自分で自分が嫌になるよ……
  いや、そりゃあ気になるよ?
  でもさ、聞いていいの?
  聞いたら、駄目……てのもあるよね?
  俺にだってあるんだし。
  心の奥深いところを抉らないと分からないってのもあるよね?
  抉らなくちゃいけないような傷につながるような会話っていうのはできるだけ避けたい。
  俺なら、絶対に聞かれたくないから。
  その傷は誰にも見せたくないから。
  家族だろうと、友達だろうと、知ったこっちゃない。
  嫌なものは、嫌。
  そういうもんだろ?
  それに、聞いたって何も教えてくれないだろうし。
  「……で? 誰? その人」
  「え?」
  顔を上げる。
  妙にきつく睨まれているような感じを受けたから、顔を上げたんだけど……
  上げなければ良かった。
  何で空理ってやつは俺を睨んでるの?
  ……俺、悪いことしてないんだけど。
  イライラするなぁ……
  「あぁ、こいつは……」
  「どうも、こんにちは……いや、初めましてかな? 空理君。俺は笹川葵、実君と苺ちゃんのクラ
  スメイト兼……恩人です、ね?実君」
  間違ってないから、否定、できないよね? 実君。
  ぶっちゃけこれ、敵意むき出しの人に向けての挑発……みたいなものなんだけどね。
  いきなり君付けとか、馴れ馴れしいし、実君、苺ちゃんって、さらっと名前呼んでみたり、恩人っ
  て言ってみたり、ね?
  「……まぁ、間違ってないな」
  実君が言う。
  ふうん、と空理君は俺のことをめちゃくちゃ睨んでるけど、もういいや。
  どうしようもないし。
  それ以上に何もできないし。
  「で、さ。空理、お前、何でここにいるんだよ? 電気代とか高かった?」
  「いや? そこは全然。むしろ、もっと使ってくれていいよ?」
  「まぁ、使わないけどさ……」
  ……?
  まるで空理君に電気代とか払ってるみたいな、そんな違和感を感じる……んだけど……?
  あぁ、勿論聞かないけどね。
  「みのる…………………………………?」
  「い、苺っ!」
  実君ってこんなに焦るんだー……
  「……」
  え?
  会長は無言なの?
  「な、なんでこんなとこいるんだよっ! 寝てろって……!」
  「熱……………下がった……………」
  「そーれーがー! それがやばいんだってばっ!!!!」
  大声出してるし……
  苺ちゃんは首傾げてるし……
  って、ん?
  なんか、妙に静かじゃない? 苺ちゃん……
  顔も赤いみたいだし……
  え?
  てか、待って?
  なにこれ……?
  (めちゃくちゃ可愛い)小動物が……目の前にいる!?
……俺でもこんなに素直に感想言えるんだからね?
  小動物好きなのは認めるけどさ……
  いやいや、あんなに可愛くて癒される小動物を好きにならないやつなんているのか!?
  とも思うが……
  そんなことより、だ……
  目の前にいるのは……何?
  まるでウサギの擬人化的な……
  ……こんなこというのはあれだけどさ……
  でも、仕方ないよね?
  思うだけなら勝手だよね?
  …………抱きしめたい!!
  え? てか、家持って帰ろうかな!?
  うん、まじで……口が裂けてもいわないけどね。
  「いぃちぃごぉ!! 早く部屋にもどれって!」
  「や」
  ……ふいって頬を膨らませたままそっぽを向く苺ちゃん……
  倒れそうだなぁ……
  「う?」
  やっと俺達に気づいたらしい苺ちゃんがぼーっとした目で俺らを見て、そのまま名前を呼んだ。
  「鏡介…………に、実、空理に…………? 葵………君?」
  うん。
  俺今なら死ねるかな。
  一瞬俺の名前を忘れたらしい苺ちゃんは俺を君付けで呼んだ。
  しかも下の名前で!!
  何だろう……
  背が低くて、雰囲気がほんわかしていて、可愛くて……
  もう、小動物ってことでいいよね?
  こんなに可愛い苺ちゃんをみたことあるのが、この二人か……それとも三人か……?
  実君は置いといて、会長に空理と呼ばれた男。
  それから、二人のもう一人の親友、天理と呼ばれる人。
  ふう……
  なかなか大変だなぁ……
  この人たちの中に入るのはさ。
  うん、でもまぁ……

  手加減はしない方向で、ね。