コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 金色の絆 ( No.18 )
- 日時: 2010/01/11 22:34
- 名前: ルシフェル ◆gB/tgam99I (ID: jd0mxmk6)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.php?mode=view&no=10952
〜17〜
「由梨〜? 今日は一緒にいんの〜?」
「うーん……今日はまだ残ってたいかも……純は?」
「まぁ……由梨がそういうなら……」
「ありがと。純」
由梨……いつもになく元気がないように見える。
何があったの? どうして話してくれないの?
聞きたいことはたくさんある。でも、聞けない。理由は…恐いから。
知ることを恐れているから。
葵と同じような関係になることが
とても恐いから。
葵のようにしたくない。
葵と同じ思いをさせたくない。
葵と同じ感情を抱かないでほしい。
葵みたいにわたしを一人にしないでほしい。
葵のようにしてほしくない。
葵がわたしを否定するように、彼女にもわたしを否定してほしくない。
葵。
葵。
葵。
葵に否定されたくなかった。
葵。
葵。
葵。
葵に嫌われたくなかった。
葵。
葵。
葵。
葵と一緒にいたかった。
葵。
葵。
葵。
葵はどうしてあの時私にあんなことを言ったの?
「純? どうしたの?」
由梨の声で我に返った。
「う、ううん。なんでもないの。少し疲れてたみたい。由梨も……顔色悪いよ?」
「……あ、私? 私は平気よ?」
反応が遅い。寝不足+ダイエット。多分そうだと思う。
あの痩せ方は食事制限、危険なダイエット法だ。
なぜそこまでするのか……それなら分かる。
五木功輔だ。
全ては彼のため。
13秒で走ることができないから、せめてかわいくなろうとする、
純粋な乙女心。
わたしには、ない。
でも、そこまでする必要はないと思う。
確かに由梨は痩せていわけではないけれど、雰囲気が穏やかで、そこに憧れる男も多い。
由梨は少しやりすぎている。
すべての原因は……
内ノ宮 苺。
彼女が断らなければ……
彼女が良いよといえば……
そう考えるだけで怒りがわいてくる。
だから、わたしはいじめに加わった。
すべての執筆は、わたし。
でも、わたしは執筆しただけ。
実際にやってはいない。
だから、いじめをするのは今日が初めてということだ。
「はじめるよ?」
「あ、うん」
わたしが答えてから、少しの間いじめをいつもする人……
つまり、わたしにっとっては物語のCASTが話していた。
聞き取れたのは「あいついつもよりいそいでない?」という言葉だった。
それを聞いて彼女を見た。
確かに急いでいるようにも見える。
「ま、いきますか」
CASTのリーダーが
先頭になって歩き出した。
わたしと由梨はその後をついていく。
「なにやってんの?」
「……帰りのしたく」
彼女はリーダーを一瞥して言った。
「今日は急いでるんです。邪魔しないでくださいますかね?」
少しイラっときた。
かなりの人数に囲まれても、物怖じしない様子に。
彼女の強い意思に。
リーダーが頬を叩いた。
数発叩くと、彼女はバランスを崩した。
そのとき、彼女のポケットから何かが出た。
わたしはそれをすっと拾い上げると、急に変な気持ちが湧き上がってきた。
なんだか分からないけれど、純粋できれいなものではない。
汚く、醜いものだ。
「これなぁに?」
「それっ!!」
彼女は慌てていた。
わたしは気持ちが舞い上がった。
気分がよかった。
「手紙ね。読むよー!」
「純読んでー!」
まわりが読むようにと促す。
「『今日の4時、教室で待ってます。
内ノ宮なら多分察することができると思う。
これがどんな意味を示すか。
だから、望みがなければ、帰ってくださって結構です。
待っていてくれる事を願ってます。』」
「ラブレターじゃん!」
「あんたでもくるんだねー!」
そういうとまわりは笑った。
彼女は青い顔をしていた。
帰り支度をしていたことから、断るつもりだったのだろう。
「純! 相手は?」
「そうだよ! 相手は?」
まわりが迫ってくる。
わたしは自分が注目されているような気がして、とても気分がよかった。
「相手は〜……」
わたしは続きを言うことができなかった。
こんなことってあるのだろうか?
「純〜?」
まわりが不思議がっている。
そのときドアのところで声がした。
「俺だよ。その手紙を出したのは、俺」
その場が凍りついた。
由梨は今にも倒れそうだった。
まったく、なんという皮肉だろう。
今日じゃなくてもよかっただろうに。
なぜ、今日なのだ。
なぜ、由梨のいる今日なのか。
でも、そんなことを彼に聞いたって無駄だった。
だって知らないんだ。
いじめのことを。
ここにいる人以外は。
勿論、この場に来た彼も。
「い……五木……?」
由梨の涙声に似た震えた声で彼……五木功輔に聞いた。
ちょうどそのとき、四時を知らせる鐘が鳴った。