コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 金色の絆 ( No.21 )
- 日時: 2010/01/11 22:38
- 名前: ルシフェル ◆gB/tgam99I (ID: jd0mxmk6)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.php?mode=view&no=10952
〜20〜
あれから一週間たった。
外は大雨だった。
内ノ宮苺はまた内ノ宮実と一緒にいる。
でも、やっぱり変わってしまったものが、ある。
「内ノ宮さ〜ん♪おっはよ〜ん♪」
「………………はぁ、お早うございます」
彼女はなんだかとても面倒くさそうな顔をして声をかけた少女、寿由梨に返事をした。
「ね〜、あのね〜」
「…………何ですか? 今実と話してるんですが……」
「あ、ごめんね〜」
由梨は私たちのほうを向かない。
やっぱり、少し気まずい。
由梨の好きな人を知ってしまったし、振られたのだって、その場で見てしまったから。
「内ノ宮!」
「……はい?」
少年が一人その輪に入る。
彼こそが由梨の好きな人、五木功輔だ。
「五木じゃ〜んっ! おっはよ〜ん♪」
「おはよ、寿」
「……で? 何ですか?」
「苺、そんな冷たくしたらかわいそうでしょ? 仮にも……」
内ノ宮実が口を挟む。
‘仮にも……’
続きは予想できる。
‘仮にも’苺のことがすきなんだから。
そういいたいんだ。
彼女の存在のせいで、わたしはあの輪に入れないでいる。
内ノ宮実は五木に意味ありげな笑みを向けてからこっちを見た。
正確にはわたしの近くにあるドア、か。
丁度、葵が教室に入るところだった。
たまたま、そっちを見てしまったので葵と目が合ってしまった。
わたしはすぐに目をそらした。
「……純?」
葵が意味がわからない、とい顔をしてわたしに問いかける。
「……あおぃ」
「笹川くーん! おはよー!」
わたしが葵に向かって声を発するのとともに由梨も声を出した。
葵は由梨たちのほうを見た。
わたしの声は
届かない____
「あ、ごめん。純、なんかいった?」
「……」
わたしは黙って目の前にいる”仲間”に話しかけた。
葵は小さなため息をついて由梨や内ノ宮苺のほうへ歩いていった。
わたしは泣きたくなるのをこらえた。
遠くで葵の声がした。
「おはよう、寿さん、五木君、実君……苺ちゃん」
「おっはよ〜ん♪」
「おはよーございます」
「……おはよう」
「…………お早うございます」
「とりあえず、そこどいてくれる? 五木君」
「…あぁ、悪い」
「いーよ、別に。大した事じゃないしね」
「ありがとな」
彼女たちはまた話している。
わたしは遠くから見つめるだけ。
わたしも由梨みたいに素直になっていれば、あの中にいたのかな……
今更そんな事言ったってしょうがないけど、やっぱりそう思ってしまう。
あの中にいる葵はたまに楽しそうに笑う。
今までは私以外の人に心のそこから出る優しい笑いを見せた事がないのに……
葵までわたしから離れていっちゃった……
本当に一人になってしまったのかもしれない。
この一週間、葵とは必要最低限の会話しかしてない。
葵……
葵、葵、葵!!
やだよ!!
葵だけはわたしの味方じゃなかったの!?
葵、葵、葵、葵、葵!!!
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!!!!
葵がいないと駄目なんだよ……
わたしは。
本当に葵が必要なんだ。
味方が……葵がいるからわたしはあの事ができたし、やろうと思った。
葵ならって。
甘えてたんだ。
葵の優しさに。
わたしは、甘えてしまったんだ。
ごめん、ごめんね、葵。
わたし、きちんと自立できるように頑張るから……
努力するから……
だから、もう少し一緒にいてよ……
「…………っ葵ぃ……!」
わたしは俯いて、葵の名を呼んだ。
とても小さな声だった。
小さくて、小さくて、弱々しかったから、
わたしの声は誰にも聞かれずに、
わたしの泣き声や涙もすべて
暗くて底のない闇に飲み込まれていったんだ。