コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 金色の絆 ( No.22 )
- 日時: 2010/01/11 22:40
- 名前: ルシフェル ◆gB/tgam99I (ID: jd0mxmk6)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.php?mode=view&no=10952
〜21〜
純がおかしくなったのは、一週間前。
いつものように学校に帰ってきたと思えば、その後自分の部屋へ直行。
まったく何なんだ。
でも、純は何か隠してるんだろうし、それを深く知る必要はないと思うから俺からは聞かない。
もしも、俺が純にそんな事を聞いて、あの事を教えろっていわれても困るからね。
そういや、前にもこんな事あったな……
いつだっけ?
あぁ……小学生に上がる前か。
純が隣の家にボールを投げちゃって、親に怒られるのが嫌だから黙ってたんだ。
あの時は本当に苦労したなぁ……
でも結局、母親が純を丸め込んで……
って、何考えてんだよ、俺。
親なんて……何考えてんだよ。
母親?
ふざけんじゃねぇ。
あぁ……まったく、何なんだよ。
外は大雨だし、昔の事は思い出しちゃうし、本当何なんだよ。
「……笹川、聞いてる?」
俺の小さなため息を聞いてか、今まで話していた五木功輔がこっちを向いた。
それにつられて寿由梨、内ノ宮実、内ノ宮苺までもがこっちを向いた。
「……聞いてはいなかったけど、ずっと見てた」
「? 何を?」
「……苺ちゃん」
「はぁ!? お前、まさか……」
後ずさりする五木功輔。
丁度、その近辺に机があったので、運悪く足をぶつけてしまった。
「っいってぇぇぇぇ!!!???」
「……大丈夫?」
いきなり大声を出されると、流石に驚いてしまう。
っていうか、自分で下がっときながら叫ぶのはあんまりじゃないか?
それに”苺ちゃん”って言っただけなのに、反応が良すぎな気がするんだけど……?
俺はただ、校庭を見ていて、その方向に苺ちゃんがいただけなんだけど……
まぁ、あの状況じゃ、話したところで分かってくれるとは思いにくいが……
「え? え? まじで? うっそ、え? 本気で?」
「……何が?」
「いや、あの、え? や、まじで?」
「……五木。笹川、困ってんじゃん。五木がそうなのは彼知らないんでしょ? それとも、何? ば
らしたいの?」
見るに見かねて、寿由梨が助け舟を出した。
「……そ、そうだよな……いや、ばらしたくないです……」
「それなら、黙ってなさい」
「……ハイ……」
五木功輔は顔を赤くしながらチラッと苺ちゃんを見て俯いた。
……なぜだろう?
全然面白くない。
今までならそういう光景を見ると面白い事になってんな、とか思ってたけど、今のは違う。
まったく面白くない。
自分でもわかんないけど、腹が立つ。
まぁ当の本人が完全無視じゃあ、多少の同情はしてあげるけどね。
とまぁ、あーだこーだ話しているうちにチャイムが鳴り、各自席に着いた。
もちろん純も戻ってくるわけだが……
こっちを全然見ようとしなかった。
……俺、マジでなんかやったかな……
うわ、だんだん心配になってきた……
うわー……
やっべー……
って……ん?
「な、何? 苺ちゃん?」
苺ちゃんがこっちを見ていた。
「……別に」
そういって彼女は目をそらしたけれど……
「……?」
気になる。
てか、何でこっち見てたの?
っていう、ふっつーの会話さえもためらっちゃうんだけど?
何でかなぁ……
そんな事を考えていると、先生が教室に入ってきた。
「おっはよーございまーすっ♪」
今、このテンションうざいな……
ぶっちゃけね。
「もー。みんな元気ないなぁ」
怒りながら(?)教壇へとあがる。
「えーっと……あ、そうそう」
……何か忘れてたんですか? 先生。
一応ツッコミをいれる俺。
「6校時の総合は地域清掃ボランティアの班決めするから、ある程度決めといてね〜」
「先生ー! それって何人班?」
「何人班ですかー? でしょー。5〜6人班がいいんだけど〜」
って、結局答えるんかい。
「男女混合班ー? ……ですかー?」
「基本的にはそれがいいんだけど……」
「「「「「「「男女混合、大賛成!!!!!」」」」」」」
……うっるせー……
いや、本当に。
5〜6人ねぇ……
苺ちゃん&実君は決定だろうな。
五木功輔も多分こんなか入るんだろーな。
つーことは、寿由梨もかな。
俺もこんなか入れてもらうか。
他のやつらはあんまり好きじゃないからな。
……純はどうするんだろう?
友達と一緒にやんのかな……
まぁ、好きにすりゃいいか。
俺と一緒にいなくちゃいけないっていう決まりはないし、そもそも俺には関係ないし?
「それじゃ、今日も勉強頑張ってね〜」
そういって先生は消えた。
そのとたん、俺の周りに人だかりができた。
授業が始まるのには、あと5分はあるし……
「笹川君〜♪一緒にやらない?」
「ちょ…やめてよっ! 笹川君は私とやるんだからぁ!!」
「何言ってんの!? うちやし!!」
「いやいや、私だから!!」
……なんでまた……面倒な事をしだすかなぁ……
丁度、前を向いたら、苺ちゃんを見ている五木功輔と目が合った。
……いい事考えた……(俺にとってね)
「……ごめんね。俺……」
眠そうな苺ちゃんの手をとって俺のほうに引き寄せた。
「苺ちゃんと行くから」
「はぁ!?」
実君の叫び声。続いて女子の声。
「「「「「「「えぇぇぇぇえぇぇぇぇぇぇぇぇぇえぇぇぇぇ!?!?!?!?!?」」」」」」」
放心状態の五木功輔。
それを生き返らせている寿由梨。
いらいらしたような目つきで見てくる実君。
驚いたように見てくる純。
は? 何やってんの? え? これってどういうこと? っていう目で見てくる苺ちゃん。
「ね?」
「……”ね?”じゃねーよ!!」
「やだなぁ……いいじゃん。ね? 苺ちゃん?」
「……実がいいって言ったら、別に」
実君かぁ……
許してくれなさそー……
「……いいよ。別に」
「……え?」
「だから、一緒に行くんだろ? あのときの借りもあるからな。今回だけ許してやるよ」
「あのとき……」
あぁ…苺ちゃんを家に連れてったときのことか……
「……実君って、律儀だよね」
「……」
睨まれた。
丁度そのときにチャイムが鳴った。
女子たちは自分の席に戻っていく。
男子も1時間目の準備を急いでしている。
純の事もあるし、なんか大変だなぁ……
まったく、なんなんだよ。
でもまぁ、あんまり楽しい事ばっかりじゃなかったけど、
『結果よければすべてよし』かな。